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第9いろいろ・・・アルテュール・ローター

小生は第9が好きである。そしてこの曲を演奏家の「試金石」と位置づけていた時期が相当長い間続いた。オケの、コーラスの、独唱の技量はもちろん彼らを束ねる指揮者の技量が聞き取れると思うからである。第9の下手な指揮者は小生のコレクションからは消えていくことになった。
今ではそのようなことは昔ほどではないが・・・というより「指揮者の技量確認」を行うことに余り意味を見つけられなくなったのと、第9に限らずたいていの場合、どんな曲でもその演奏を聴けば大体自分好みか否かがわかるようになってきたことによる。

長い時間を掛けて音楽となじんできたことによるものであろうと思っているのであるが、
さて、今日あたりから今まで集まっただい9をあれこれ聴いてみることにした。
ひょっとしたらむかしの好みが大きく変化しているかもしれない・・・・と思うと其れもまた楽しみの一つである。

順不同、アトランダムにレコードの棚に並べてあるものを順に聴くことにするが、最初だけは
生まれて始めて全曲を聴いたレコードを取り上げるこちにした。

ご存じない方がほとんどだと思われるのだが、
アルテュール(アルトゥール)・ローター指揮
ハンブルグ国立フィルの演奏
カップリングには若い日の「ケルテス」がレオノーレ3番とエグモントの序曲を指揮している。
1950年代中期から後期の録音と思われる。

1962年12月にこのレコードが発売され、同時に入手したもので、全50枚のクラシックレコード全集である。クラシック音楽入門全集としてコロムビアから発売された。ジャケットは経年変化でボロボロになってしまっている。
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演奏は
大仰なところが一切無く、淡々と進める、ほんの少しアゴーギグがある。弦楽器のボウイングに独特のものを感じる。例えば「シューリヒト」の演奏のように、長く聴いても飽きない演奏で、万人好みではないが、とても渋い・・・いわばツウ好みの演奏である。
多分彼はオペラが得意な指揮者なのであろう。別アルバムのベルディなどのオペラの抜粋を聴くとそんな気がしてくる。4楽章の「フォーゴッド」と合唱が歌う部分、通常4拍以上長く伸ばすことが多いのであるが、ローターは3泊ほどで終わっている。この辺りも合唱の技量を読み取り一番「いい加減」のところで終え、それ以上無理して引き伸ばすことをしなかった。
これはこれで聴いていて特に違和感は無くかえって好感がもてる。

残念ながら合唱は余り上手とはいえないが懸命に歌っているのがいいし、独唱陣の中ではバスの「フランツ・クラス」が歌唱法に独特の間合いがあって面白く聞ける。

3楽章にやや失速するところはあるが、4楽章はこの指揮者の底力を見せる好演である。

小生が一番気に入っているのは1楽章冒頭の弦の「漣」のようなボウイングがかなり強調され、其れが他にも随所に出現するところである。

by noanoa1970 | 2005-12-04 08:55 | 第9を聴く | Comments(0)