シューベルトの「鱒」は、本当に「鱒」なのか?

小生は「フライフィッシャー」である。正確には、現在休眠中だから・・・
であったということになる。それでもこの釣をははじめてから15年ほどになる。
「フライイッシング」とは「西洋式毛毛鉤釣」、気取って言うとそういう釣師のことを「フライマン」という。「ルアー」釣の「ルアーマン」とはいろいろな意味で一線を画すこだわり人の釣である。
小さく軽い・・・獣毛や鳥の羽などで作った毛鉤を遠くへ飛ばすために、ムチのようにロッド(さお)をしならせて、毛鉤=フライを遠くに飛ばすために重量の有るライン(糸ではない)のさきに結んだ細い糸の先につけた毛鉤=フライを魚の居そうな場所に投げる釣である。

たいていのフライマンはそのために日夜キャスティングの練習をしたり、毛鉤=フライを自作するために、各種の獣毛や鳥の羽などを沢山買い込み、夜ともなれば、ひそやかに毛鉤を・・・この毛鉤でイワナやヤマメ、レインボウを釣るぞとばかり、夢を抱いて作成に励むのである。
実は小生のHN「sawyer」はイギリスのリバーキーパーで、フライマン、そして「ニンフ」という水生昆虫の幼虫を模したフライの考案者の名前をいただいたものである。
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さて問題のシューベルトの「鱒」はいったいどのような「鱒」なのだろうか?
音楽分野からの意見では・・・いろいろといわれているが、結局は根拠の全く無い憶測か、当たり障りの無い推測ばかりで、結局は「不明」のままであるのが現状だ。

そこで今回、音楽・・・其れもシューベルトが好きな元フライフィッシャーマンの小生、意地を掛けて「鱒」の種類を特定しようと試みることにした。
この曲の少し変わっている点は、弦楽器で、シューベルトはピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロと「コントラバス」で5重奏を作ったこと。その制で低音部が充実しかなり重心が低く安定し、その上でピアノ=「鱒」が泳ぐ姿が目に浮かぶようである。これは成功ではないだろうか。
またコントラバスの効果はオーストリアの高地の山岳地帯の、ガッチリしたな黒い山肌を思わせ、その間を・・日本の渓流の流れの様ではない清らかさで・、たまたま少しよどんだところ=小さなプールを髣髴とさせるようだ。

そのようなところに釣師は狙いを定め、そして「鱒」はそこにいたのである。釣師は恐らく職業釣師であろう。ストーキングしてこっそり近づいて様子を見る。「鱒」はそれに気づかず、その美しい姿態を透明な水に映して自由に泳ぐ。成虫の水生昆虫=カゲロウを食べる鱒もいて時々水面近くまでライズしてフライを捕食する。そのプール=流れがたまったところ、には恐らく3・4匹の鱒が泳いでいたのだろう。

その「鱒」の体側にある円い斑点は、太陽の光に反射してキラと光り、「鱒」が水中を反転するたびに、その美しい斑点は、白くあるいは朱色に光るのである。

釣師は餌をつけて釣ろうとするが、鱒は「カゲロウ」の幼虫」を盛んに食べていたので、釣師の差し出す餌には見向きもしない、いろいろ手を変え品を変えては見たが、思うようにならない。そしてついにに、・・・そこでこの釣師が「職業釣師」であることが分かるるのであるが、・・・水をかき混ぜ濁らせて、鱒に水生昆虫が見えない状態にしておいて、「匂いの強い餌」・・・例えば「ミミズ」をつけて匂いで誘って鱒を全部釣り上げてしまう。
多少小生の追加脚色が入っているが、このようなストーリーである。

フライマンの常から考えれば、・・・というのは、オーストリア地方に生息したであろうの「トラウト」種は、いまやどの「管理釣り場」にも放流されていて、フライマンはシーズンオフともなると、「自然の川」から「管理釣り場」へと行き先を変えて腕を磨くのであるから、小生もご多分に漏れず通って、さまざまな種類の種のトラウトを釣った経験があるのだ。

其れは経験と自学習から2種類に絞られ、一つは「ブラウン・トラウト」そしてもう一つが「ブルック・トラウト」であると思われるのであった。シューベッルトの「鱒」はこの2つのうちのどれかであう。

学術的には「マス」というくくりは、実は存在しない、「サーモン」=「サケ科」と大きくくくられ、その中で「イワナ属」「サケ属」「サルモ属」に別れ分類される。
ちなみに「ブラウントラウト」は「サルモ属」であり、「ブルックトラウト」は「イワナ属」である。
一般に「鱒」と呼んでいるものは「サケ」を含め全て」「サケ属」に分類される。
「鱒」は俗称ということになるのである。

結論から言えば小生はこの鱒は「ブルック・トラウト」であると考える。
其れはその容姿であり斑点の美しさであり、斑点の色でもある。一方の「ブラウン・トラウト」も釣り味は良い魚であるが、いかにも「獰猛」「狡猾」「警戒心が特に強烈」斑点の色は「しろ」のみ、やや美しさに書けるところがあり、魚対の大きさは大きいものでは70センチを超える。小生は57センチの「ブラウン・トラウト」を釣ったことがある。

「ブラウン・トラウト」を男性の魚とすれば「ブルック・トラウト」は女性的で優雅な局面を見せることがあり、体調もせいぜい40センチ。朱色の斑点のある魚体も見られ、とても美しい魚である。「ショーバー」がもし、「鱒」に「女性」を投影したと仮定すれば・・・・たぶんにこれはありそうである・・この「鱒」は「ブルック・トラウト」もしくはその仲間・・・「イワナ属」ということになる。

<ブラウン・トラウト>
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<ブルック・トラウト>
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これに決定!!シューベルトの「鱒」=<ブルック・トラウトの一種アルプスイワナ
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アルザス地方の伝統料理に、「オンブルシュバリエ」(アルプスイワナ)の天日焼き リースリングバターソースという料理がある。「アルザス」 はドイツになったり、フランスになったりしてきた地方だが、その伝統料理というより山岳地方の川魚料理は、フランス料理として引き継がれており、いまやフランスでも幻の食材とのことらしい。一昔前にわが国で「幻の魚」=「岩魚」といわれていたように、天然物を入手することは難しいのであろう。
シューベルトの時代にもウイーンの宮廷などではこの「料理」が珍重され、「アルプスイワナ」 を捕獲するための職業釣師が存在したものと推測される。
食べて余り美味しくない「ブラウントラウト」ではなく、非常に美味しい「ブルックトラウト」あるいはその仲間の「アルプスイワナ」がシューベルトの「鱒」であると断定する理由はそこにもある。

ちなみに料理、「オンブルシュバリエ」(アルプスイワナ)の天日焼きは、上品でパワフルな身の味わいが素晴らしい.白ワイン「リースリング」を使ったソースが軽やかでよくあう.・・と評価される。
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by noanoa1970 | 2005-10-25 08:55 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)