樋口某「音楽で人は・・・」愛と対立のクラシック

BOOKOFFであさっていたら、この本が見つかった。
愛と対立のクラシックというサブタイトイルから、どの様な展開があるのか興味があり読みかけた。
少し前、ある方と善悪の対立がクラシック音楽の通奏低音という意見にかなり議論しあったことがあったのも影響した。

対立のクラシックとは、彼が言うには「ワーグナー派とブラームス派」のこと、ロマン派の作曲家のおもな人物を取り上げてどちらに属するのかのという私論を述べたもの。

ところが、この内容が華々しく根拠の薄いもので、なにを根拠にそういう分類をするのかが、それぞれによって拠り所とするものが異なるから、全く説得力に欠ける。

尊敬していたから、だとか遠縁だからとか、誰かの記述の一部を根拠にした、いわば、バッタものだ。

大前提がベートーヴェンの5番と9番で、その音楽的な違いから派生したのが両者ブラームスとワーグナーの対立概念であるとし、登場する人物は、シューベルト、メンデルスゾーン、シューマン、ベルリオーズ、リスト、シュトラウスファミリー、ドヴォルザーク、ブルックナー、Rシュトラウス、マーラー、ヴォルフ、新ウイーン派。
それぞれがどちらに組するかをああでもないこうでもないと述べているが、わかりやすいと思ってやったのかもしれないが、こんな二元論に終始するのは、彼の音楽に対する接し方の限界だろう。

要するに根拠レスであり、したがって全く説得力がなく、おおよそ音楽を聴いていて直観でわかりそうな部分のほうが多いと思われる人物だけを取り上げてるから、大きくはまちがいはないが、わざわざ出版する価値があろうか。

仏印象派は全く出てこないし、ロシアの音楽家も全く出てこない。

そもそもなぜ「対立」をキーワードにして分類する必要があるのか、音楽の中身や傾向によるものよりも、尊敬したということや、誰かの妹を嫁にしたとか、ユダヤ人だったとか、読みかけたがいったいこの人物は、何の目的でこの本を書いたのかがさっぱり見えてこない。

すでに言及されつくした感のあるエピソードや、ハンスリックの著述からいいとこどり、・・・この二元論に似合うものばかり引っ張り出して書いているのが気に食わないし、分類しやすい作曲家ばかりをあげつらっていることから見ると、この人はまともな音楽の聴き方をしてないと思わざるを得なくなってくる。

このような本を読んでそれが本当のことだと思い、それぞれの作曲家をもしそういう目で見たら、見られたほうが困惑してしまうに違いない。

3分の1読んで胸糞が悪くなってしまった。
こんな内容の本は読まないほうがよい。

ウイキペディアで過去の著作を見ると、この人物がよく見えてくる。
著作の一部を上げると以下のようになる。
『受かる小論文の書き方 YesかNoか、まず結論から決めろ』
『Yesと言わせる文章術 自分の意見が面白いほど伝わる』
『人の心を動かす文章術』
『頭がよくなるクラシック入門』
『大人のための名曲案内64選 人生を深く味わう』
『頭がよくなるオペラ 品位を高める、知性を磨く』
『笑えるクラシック 不真面目な名曲案内』
『ヤバいクラシック』
『ヴァーグナー 西洋近代の黄昏』

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by noanoa1970 | 2013-02-28 14:01 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(21)

Commented by こぶちゃん at 2013-02-28 18:01 x
根拠レスなら、それなりに自分の基軸を明確にして、仮説として書くべき話ですよね。
ワグナー書いて、フランス音楽への影響を書かないなんて、自分基軸の典型ですが、要はフランス印象派が全くわかっていない人なのでしょうし、結論ありきでページが決められた中でまとめるのが上手いだけの人なのでしょう。
今時、露骨に胸糞悪くなる本…それも音楽本はある意味稀有な存在かもしれません(笑)。
ただ、一緒に話したところで何の意味も無さそう…
Commented by Abend5522 at 2013-02-28 18:35
sawyer様、こんばんは。
樋口某の本は、『笑えるクラシック』と『ヤバいクラシック』を持っています。著者自身に笑い、ヤバいと思いました。そして、文章術の本を書いているわりには、文章が上手くありません。また、YesかNoかというのは小論文の核ではありません。
Commented by noanoa1970 at 2013-02-28 23:50
こぶちゃんさん
基軸はさっぱりわかりませんというかありませんね。対立概念を引っ張り出してくれば、小生の様にカン違いして読むやつがいると思って書いたとしか言いようがありません。こんな本でも出版できてしまう嫌な時代になりましたね。
Commented by noanoa1970 at 2013-02-28 23:53
Abendさま。
ほかの著書を調べたら、小論文の書き方他文章に関する著作?がいっぱい出てきたのには驚きました。ハウツーにもなってないハウツー本がやたら多そうです。集英社新書も落ち目ですね。
Commented by Abend5522 at 2013-03-01 00:07
sawyer様
著者には、共通点がないと対立はありえないという当たり前のことがわかっていないのではと思います。トンデモ本としてもレベルが低いですね。
Commented by HABABI at 2013-03-01 04:14 x
sawyerさん、おはようございます
最大公約数的な切り口で整理して表現してくれれば、比較的少ない妥協をすることで、話が頭に入って来ますが、そうでないと、それぞれの利益のために議論している時のように、都合の悪い点ばかりが目立ちがちですね。

ところで、以前、音楽における善と悪の対立、左と右のことを言っておられた方とのことは、どうなったのですか?
出張から帰ってみると、記事が消えていたので、どうなったのかなと思っていました。HABABI
Commented by noanoa1970 at 2013-03-01 10:14
HABABIさま。
趣味人のブログ記事ならばともかく、著述を出版して金銭に変えるプロの仕事ですから、安易な文章にに対して文句も言いたくなります。
blog記事の件ですが、今確認しましたが、消した覚えはないのですが、どうも記事が消えているようです。結論としては、お相手の方が、小生の音楽遍歴や同年代であるなどを理解していただいた時からかなり態度が変わってきて、最後のやり取りは、上から目線をよしたようでした。それよりも、彼の理論的根拠が書いてある日記があるとおっしゃってますので、興味をお持ちであればご覧いただければと思います。
Commented by noanoa1970 at 2013-03-01 10:23
Abendさま。
一番後ろには推薦盤が記載されてますが、何故これが今までの経過からの推薦盤に相当するのかがさっぱりわからないのと、彼がコーディネートしたといっているラ・フォル・ジュネのものすごい文字通りの熱狂ぶりが、著述内容を補完するように記載されてます。
Commented by noanoa1970 at 2013-03-01 10:29
HABABIさん、続きです。
小生はすべて読んだわけではありませんが。今その後のことを見てみると、第3者の方が入ってきて、そちらの方とのやり取り人ってるようです。1つだけ面白いと思ったのは、バイロイトでのオケ配置のことで、カラヤンがバイロイトの規則を破ったために追放されたということが書いてありました。事実がどうかわかりませんが、またフルヴェン/バイロイトの第9も逆対抗配置だったかなどに議論が及んでました。ピットならともかく、舞台での演奏するのに逆対抗配置などあり得ないと小生は思うのですが、長くなりますので、コメントはしていません。思わぬことに気が付くこともありますが、善悪二元論の限界があるということに、いまだお気づきになられないようでした。
もっとも、これが彼の主原理ですから、之を崩すとすべてがくるいますから致し方ないのでしょうね。宗教と密にかかわっていた時代と少なくともロマン派以降の音楽とを同じ軸で見ていらっしゃるので、時間軸という概念に乏しいよいうに小生は思ってます。ただしとても面白い切り口ではありました。以下が彼の日記です。
http://mixi.jp/list_diary.pl?id=19347649&from=navi
Commented by HABABI at 2013-03-01 15:48 x
sawyerさん
当該の日記を少し見てみました。ご自身のご経験及びお考えで進んで来られた様子が、少し分かりました。私の方からは、特にこの方のことについて、調べてみようというような積りはありません。HABABI
Commented by Abend5522 at 2013-03-01 22:11
sawyer様、こんばんは。
調べてみますと、カラヤンが初めてバイロイトに出た時に1st.Vnを右から左に移していますね。しかし、彼は次の年もバイロイトに出ています。この時に、演出をめぐってヴィーラント・ワーグナーと対立し、カラヤンの方から以降はバイロイトに出ることを拒否したようです。1st.Vnの配置を替えて追放されたのではありませんね。左右=善悪という偏見に都合良く合わせているに過ぎないと思います。
Commented by noanoa1970 at 2013-03-02 07:35
HABABIさん
真理への探究(哲学・宗教・倫理編)という項目は興味がおありかと思いましたが、お読みになられましたでしょうか。
Commented by noanoa1970 at 2013-03-02 07:49
Abendさま。
たった1ツの論理的基軸で、変化する事象をとらえることは、TVにもよく登場する田嶋陽子氏がよくやる手法ですね。其のほうが楽ですし、そういうことが自分の信念であるという勘違いは事象の見方や考え方おかしくする元ですね。バイロイトでのカラヤンの話も、ピット上でのことか舞台かでまったく違うものになってしまいます。フルヴェンだって第9は舞台上ですから、舞台上では対抗配置か近代配置プラスαがせいぜいで、逆対抗配置などほとんどありえないと考えるのが普通ではないかと思います。現在のホールでも正面から聞く人とオケの後ろで聞く人とは真反対の配置になります。
Commented by HABABI at 2013-03-02 10:05 x
sawyerさん、おはようございます
>真理への探究・・・
ざっと見ましたが、特にコメントすることはありません。
HABABI
Commented by Abend5522 at 2013-03-02 15:46
ご両兄、こんにちは。
私もmixiを始めました。友人にさせていただいていいでしょうか。sawyer様のページは見つけましたが、HABABI様はmixiをなさっておられますでしょうか。
Commented by noanoa1970 at 2013-03-02 17:29
Abendさま。
もちろんOKです。
小生はMIXIに参加はしておりますが、ブログをリンクさせているだけと、あと数人の方へのコメントを時々するだけです。ブログの意タイトルがMIXIに表示されます。一方小生もHABABIさんも、FBに参加しています。FBですと趣味以外の方にもフレンドができます。たぶんHABABIさんはMIXIに参加されてないと思いますが。ちなみにFBのアドレアスは以下の通りです。コメントにもyoutubeの動画を張ることができますし、もちろん写真も張れます。どちらかと言われればFBを推薦しますが、すでに参加されましたので、FBを新たにいかがでしょうか。一度ご覧になってみてください。
http://www.facebook.com/hsoyano
Commented by HABABI at 2013-03-02 20:41 x
sawyer様、Abend様

私は、MIXIにログイン出来ますが、あまり知っている人や団体がいないので、特に何かする気がなく、手を広げないよう何も表示していません。なお、プロフィールでHABABIという人は、他にもいます。若い人のようです。
フェースブックは、息子がやっている関係で、時々写真を載せたりしています。そこでは実名を使っていて職場の人も見ていますので、私の場合は、あまりブログとリンクさせない様にしています。HABABI
Commented by noanoa1970 at 2013-03-02 23:20
小生もMIXIにはリンクさせておりますが、FBには内容をを判断して、シェアするか、改めて貼り付けをしています。MIXIはどちらかとかというと、コミュニティ分野がひろいので、加入すると趣味が共通する人と知りあうチャンスが多いようで菅、あまりどれも活発ではないように思います。FBの場合は同窓や職場の仲間から始まり、仲間が仲間を呼んでひろがっていくという感じです、諸外国のひととも知り合えます。趣味もそうですが日常のことが多いように思います。SNSのアプリはスパムjが多いのでいずれにしても使用しないほうが良いと思います。
Commented by Abend5522 at 2013-03-03 00:03
sawyer様
FBも始めました。友人登録をさせていただきました。
http://www.facebook.com/koji.sawada.3139
Commented by cyubaki3 at 2013-03-03 12:47 x
この著者に限らず最近はクラシック関連の怪しげな本が多いですね。面白ければいい、売れればいいというスタンスなのでしょう。
Commented by noanoa1970 at 2013-03-03 13:17
cyubaki3さんこんにちは。
こういう著者が増えることは、購読層のレベルも下がってているのではないかという気がすると同時に、なんでも出版可能という、今の出版社の現状が後押しするのでしょうね。