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BAX・・・「黄昏に」他

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BAXは未知の作曲家であったが、あるとき「アイルランド」関連の音楽や文学を調べていたら、イギリス出身でアイルランドが好きだという音楽家「BAX]を発見した。
この作曲家の音盤は、「ハンドリー」とBBC交響楽団の全集が出ていたが、とても高価、手を出せないままでいたのだが、とあるCDショップで偶然見つけたのが、NAXOSから出ているものだった。
4番と6番のCDがそれぞれあったのだが、6番の交響曲にカップリングされている「黄昏に」、そして「夏の音楽」がこの季節に合っていたので入手した。

BAX(1883-1953) ;アーノルド・エドワード・トレヴァー・バックスといい、音楽学校時代にアイルランドの作家「イエイツ」の作品を読み、「ケルト」、「アイルランド」に興味を持ち、実際にアイルランドに住み着いて音楽活動をしたという。
「ホルスト」あるいは「スタンフォード」の影響を強く受けたと記される人である。

「黄昏に」は13分足らずの小曲であるが、「ホルスト」、「スタンフォード」というよりも、ロマン主義的であり、印象主義的であり、土着的であり、そういったさまざまな音楽の「坩堝」といったものが聞こえてくる。

この音楽と類似したものに小生は1950年から、60年代にかけての日本人の作品・・・三善、芥川、矢代、外山、柴田といった人たちの、日本のクラシック音楽創造へのチャレンジと挫折、苦悩、といったものを思わず想起じてしまう。

多くの作品を聴いたわけではないので、なんともいえないが、この録音を聞く限りにおいては、「ディーリアス」のような悟りに似た有る種「あきらめ」「開き直り」みたいなところがなく、そういう意味ではもっと多くの作品を聞いてみたい音楽家である。

アイルランドの伝統音楽を単に材料として使ったのか、そうでないのかは、この録音だけでは分からないが、矢代秋雄の交響曲とBAXの6番の交響曲とても近い距離にあるように思われる。
この人、ディケンズの原作を「第三の男」の名匠キャロリ・リード監督が映画化した「オリヴァー・ツイスト」の映画音楽も担当している。

by noanoa1970 | 2005-09-15 10:56 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)