.バッハ2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043

サブウーファーの効果を確認するために、いろいろな音楽で試してきたが、モノーラル録音では聴いてなかったので、コンヴィチュニーがオイストラフ親子と録音したものを聴いてみた。

以前は、バイオリンの音がギスギスしていたが、サブウーファーのおかげで、低音が締まったので、中高音もその効果で音が丸くなり、バイオリンの艶の音を聞き取れるようになった。
1950年代後期の録音としては、ステレオ録音だったなら、今のデジタル録音より優れているのではないかと思うぐらい非常に優秀で音楽的だ。

オイストラフ親子のこの曲はグーセンス/ロイヤルフィルとのDGステレオ盤があるが、コンヴィチュニー盤での演奏、軟弱さは皆無だがのびのびとして、聴いていて気持ちが良い。
対位法を意識してなのか、二人が競いあうような演奏も見かけるが、この演奏は二人の良さが倍増されたような感じを受ける。

今回聞き直しているうちに、新たな疑問が湧いてきた。
それというのは二人のバイオリン、どちらが1番で2番はだれかということだ。

恐らく通常は、先輩もしくは腕の立つと思われる方が1番を弾くことが多い。
昔この音盤が発売される以前には、グーセンス盤でそのことが話題になり、1番が父親、2番を息子が弾いているという結論となった。
オイストラフ父の太めの音、子供イーゴリの高域の音の繊細さから、断定度は100%ではないが、恐らくそうであろうという衆意の結論だった。

今聴いているコンヴィチュニー盤でもクレジットには表記されてないが、音が以前よりも良くなったことから、聞きわけようと試みた。
一般的にはグーセンス盤と同じように1番が父親、2番を子供とするのだが、コンヴィチュニー盤での両者のバイオリン、技術的にも音色も、グーセンス盤で2番を弾くイーゴリの高域の悪い意味での繊細さもここでは聞こえてこない。

楽器の音色の違いはあれど、バイオリンの技術も表現力もほとんど互角だ。

再生装置の変化のせいかもしれないと、もう一度グーセンス盤で聞き直したが、バイオリンに関しては、以前と同じ印象だったので、装置のせいでは無さそうだ。

もちろん録音マスターの状態というものも考慮に入れないといけないが、生演奏で聞くことが出来ない以上、残された音盤での判断になることは仕方ないこと。

他の演奏で父親の音盤も、息子の音盤も聴いてきたが、音盤によってバイオリンの聞こえ方が違うので、技術的なもの、あるいは癖などを考慮したいところだが、両者はとても良く似ている。
ブラインドテストをやったら結果は物過ごくバラツクのではないだろうか。
イーゴリの腕前は父親に肉薄し、場合によっては凌駕することさえ有るし、楽器もいつも同じとは限らない。

1楽章だけを何度かリピートして聴いているのだが、未だに判断がつかないでいる。
両者のバイオリンは、どちらが腕前が良いとか悪いとかのレベルではない。
グーセンス盤でそれとわかる息子の線の細さが、コンヴィチュニー盤では感じられなく、両者ともに悠々とした音楽を作っているから、どちらが1番か簡単に判断がつくものではない。

昔の掲示板で小生は、グーセンス盤は1番を父、2番を息子と聴感を根拠に言ったことがあり、コンヴィチュニー盤ではその逆に聞こえると言う投稿をしたことがあった。

今聞き直してみると、1番は少し濃い音色でテンポが少し揺れる、2番は比較的ストレートで鋭さが加わっているように聞こえる、しかしこのことは、演奏表現かの知れないが、使用楽器の差ということもあり得る。

グーセンス盤は多くの人も聴いていたから、同じ反応があったが、コンヴィチュニー盤に関しては反応が全くなかったことを覚えているので、そのまま結論らしきものはなく現在に至っている。

2002年だったか、コンヴィチュニーの芸術というBOX盤かなり売れたそうだから、中に収録された同曲をお聞きになられた諸氏も多いと思われる。

オイストラフ親子は、コンヴィチュニーとの共演は少なくないし、非常に仲が良かったという。
それに技術力音楽性も親に肉薄し、場合によっては凌駕することから、1番2番を交代した可能性もある。
はたして真相はいかに。


演奏が違うから、直接の参考にはならないが、1961年ロシア録画があった。オケはあまり良いとはいえないが、オイストラフ親子のバイオリンがよく分かる映像だ。
最初に出るのがセカンドバイオリン、それと同調して弾いているのが父親、次に出るのがファーストバイオリン。
ソロでは最初が1番次が2番という順。
ここでは父が2番子が1番を受け持っていると思うが。

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by noanoa1970 | 2012-11-25 15:38 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(8)

Commented by ベイ at 2012-11-25 23:49 x
わたしはこの画像どおり、グーセンス盤も第1ヴァイオリンは息子、第2ヴァイオリンを父が弾いていると思います。グーセンスのCDだと右チャンネルが父です。音はやはり父がまろやかです。特に第2楽章が顕著。
Commented by noanoa1970 at 2012-11-26 12:15
ベイさん
そう思われるフシは確かにありますね。
確かに2番のほうが音が少し太く聞こえますね。ダヴィッドの特徴と目されている1つであるといういわば定石なのでしょう。右側から聞こえるバイオリンの高域のビブラート処理と、ほんの少しですが、高域音程のやや不安定さは、それまで小生が聴いてきたダヴィッドのものとは少し違うような気がします。左=1番の音色は、直線的に聞こえることがありましたが、QUADで聞くとしっとり感と美しさ気品があります。右は少し間のとり方が入りますから、父親であるという根拠にはなりますね。技術的には互角ですから断定は難しいのですが、この件は昔掲示板で大きな議論になり、両方の意見に割れました。耳や再生装置それに父子のそれぞれの録音への関わり方でだいぶ変化すると思います。今聴き直しましたがポイント的な視点では、どちらとも言えるという印象、すなわち両者のバイオリン技術はほとんど互角であるということは言えると思います。楽器も録音によって変えている可能性もありますから、音色も変化している可能性があります。断定することが出来ない以上、それぞれの思いがあって良いと思います。
Commented by HABABI at 2012-11-27 11:19 x
sawyerさん、おはようございます

オイストラフ父子の演奏するこの曲については、グーゼンス指揮のものと、バルシャイ指揮のモノラル録音を持っています。あまり聴いていません。両方とも、二つのヴァイオリンの音量バランスが良くないように思われ、高音が目立つヴァイオン側(多分、第1ヴァイオリン)が大きくて、伴奏に回っているときなど、少々邪魔に感じるところがあります。また、バルシャイ指揮の方では、第3楽章で、その高音が目立つヴァイオリン側が、少し走り気味になっているように感じますので、こちらの場合には、イーゴリが弾いているのではないかと想像します。グーゼンス盤の方については、どちらなのか自信がありません。
Commented by noanoa1970 at 2012-11-27 15:02
HABABIさん、こんにちは。
パルシャイ盤では1番をイーゴリが担当したということですね。
映像で見るロストロポーヴィッチ盤はメニューヒンとダヴィッドオイストラフの共演ですが、オイストラフは2番を弾いてます。その昔も、父子どちらかという時に、より上手な方がダヴィッドであるという前提での議論がされたように記憶します。親のネームヴァリューの影に隠れてしまってますがイーゴリ、技術や音楽性も父親に負けてないと小生は思います。グーセンス番もコンヴィチュニー盤も実際のところ断定は難しいですね。今まで聴いてきた音源から自分の耳によって推測するにとどまるでしょう。解答得られないものはなんとも歯がゆいですからクレジットには明記していただきたいですね。
Commented by Abend5522 at 2012-11-27 18:48
sawyer様、こんばんは。
聴き直してみようと思ったら、CDで買い直していないことがわかりました。レコードは手元にありませんので、いやはや困ったという気持ちです。
WEITBLICKのSSS0019-2の5CDボックスには、ダヴィッドが弾いたBWV1042しか入っていないのに、箱の裏には親子で弾いているライヴの画像が載っていますね。それでの立ち位置は、ダヴィッドが右、イーゴリが左です。入ってもいない曲の演奏画像がついているのは変ですが、話題にされているのは1957年のスタジオセッションのものですから、この画像とは違いますね。
http://ml.naxos.jp/album/0021302BC
ナクソスのページにあるベルリンクラシックス盤のジャケでは、立ち位置が逆になっています。これが録音時の画像で、右が1stであるならば、イーゴリがそうだということになりますが。
Commented by Abend5522 at 2012-11-27 19:04
続きです。
『レコード名演奏家全集 5 器楽奏者』でイーゴリの項を読みますと、執筆者の志鳥栄八郎は次のように書いています。

バッハの「二つのヴァイオリンのための協奏曲」(G)はこの父子の仲のよいところをみせたレコードだが、残念ながらイーゴリは父のかげにかくれている。

また、同書にあるDGの広告ページには、ステレオ盤が次のように紹介されています。

イーゴル及びダヴィッド・オイストラフ(V)
ジョージ・マルコム(チェンバロ)/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

指揮者の名が記されていないのも変ですが、それ以上に、ここではイーゴリの名が先に記されているのが特徴的です。
Commented by noanoa1970 at 2012-11-27 22:43
Abendさま、こんばんは。
植えのブログ記事のNO2を書いたのですが、未投稿状態にしていたのに、先程気が付きました。おっしゃるようにジャケットの立ち位置が正しいとして、なおかつ1番が向かって左(写真で見る左)2番が右に立つというのが一般的であるならば、コンヴィチュニー盤は1番が父、2番が子ということになります。DGのジャケットでも同じ立ち位置ですが、こちらは少し当てにならないように見受けました。
Commented by noanoa1970 at 2012-11-27 23:22
つづきです。
グーセンス盤はステレオ録音で分かり易いははずなのに、昔から1番と2番について触れられたものがありません。志鳥栄八郎のイーゴリが隠れているというのは名声ではなく、この演奏録音でのことだと思われます。しかしどちらがどうといことには口をつむっています。通常ならと言うとおかしいですが、例えば、オイストラフとメニューヒンの共演の音盤があれば、どちらがどうだということに絶対なるはずですが、オイストラフ親子の2つの音盤で言及されたものが無いのは不思議です。指揮者の名前が不明で表記されなかったのか、発売元との契約の関係で名前を出せなかったのかわかりませんが、表記が子親の順となってるのは、1番2番の順に従ったといえないことはないと考えると、1番がイーゴリ2番がダヴィッドということになります。どこかにデータが無い限り断定を避けたとしか思えません。専門家の耳をもってしても、判断が困難だったのでしょう。第1バイオリンの前が1番第2バイオリンの前が2番に立つというのは、自然なことだと思いますから、演奏風景の写真であれば、立ち位置で決めることは可能だと思います。