カーターファミリー

カーター・ファミリーの初めての録音、「ブリストル・セッション」は今からおよそ80年も前のこと。このブリストルという町は、アパラチアの山間部、ヴァージニア州とテネシー州の境にある。
300年くらい前にアイルランドやスコットランドからの移民がもたらした音楽は、彼らの日常生活のなかで演奏されていたマウンテンミュージックと呼ばれるアパラチアの山岳地域に根付いた音楽であった。その音楽は、故郷のの言い伝え、出来事、物語、宗教、などを語ったバラードが多い。彼ら移民たちの間で、宗教その他の伝承を伝える役割も果たしたのである。楽器は、マウンテン・ダルシマー、フィドル、バンジョー等が代表的である。ダルシマーは細長い弓で弾く琴のような楽器。フィドル(バイオリン)は、アパラチアでは顎の下で弾くのではなく膝の上で弾かれることが多かったようだ。これは非常に古いスタイルを引き継ぐものである。
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アパラチアはバージニア、ウェストバージニア、ノースキャロライナ、サウスキャロライナ、テネシー、北部ジョージア、ケンタッキー州とアメリカ合衆国の東部を走る大きな山脈である。カナダ南部にも程近い。この山地に根を張ったカントリーのミュージシャンの多くがアパラチア出身であることも興味深いことである。この地域には、チェロキーなど土着の人々が住んでいたが、そこにスコットランド、アイルランド、英国、ウェールズ等のヨーロッパからの移民が住み着いた。この地域の人々の多くは、農業や木こり、鉱山労働者などとして貧しい生活を送った。人々の生活習慣、風俗、文化などが昔ながらに残ってきた。遥か故郷を思いながら、新しい生活の中に溶け込んでいった暮らしの中の音楽は、素朴さの有る伝統的スタイル・・・いわば古典音楽を数多く残すことになる。

ブルーグラスは彼ら移民の音楽を継承しつつも、少し洗練して、ビル・モンローたちが作り上げてきた音楽であった。ブルーグラス&カントリーのミュージシャンの多くがアパラチア出身であり「カーターファミリー」もヴァージニアの出身である。

オリジナルカーターファミリーは、「A. P. Carter」、彼の妻「Sara D. Carter、「A. P. Carter」の義理の妹である「Maybelle A. Carter」の3人により結成された。リードギターをMaybelleが弾き、Saraがセカンドギター、オートハープを演奏するスタイル。Maybelleはギターをリズム演奏の楽器から旋律楽器に昇華させた。その演奏方法は「カーターファミリー奏法」として広く知られることになり、多くのミュージシャンたちがその奏法=「カーターファミリーピッキング」をまねた。

メイベルの娘、「ジューン・カーター」は後にカントリー界の大物、「ジョニー・キャッシュ」の奥さんとなる。メイベル&サラ・カーターを偲んで、ジョニー・キャッシュが自作自演で歌う「ホルスト・リヴァー」は「永遠の絆-3」で聞くことができる。

小生も真似てみたが、低音部の6弦でメロディを引きながら、他の弦でリズムとハーモニーを刻むという、まるで2人の奏者がいるように聞こえる奏法で、なかなか難しい。
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憧れの「マーティンD-28]を5年前に漸く入手することが出来たが、腕前はサッパリ上達していない。
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by noanoa1970 | 2005-09-07 07:57 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)