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難題のブランデンブルク協奏曲

HABABIさんからのリクエストだが、小生は大のバッハ苦手である。
こんなにすごい人なのに、有名曲しか聞いてない。
それもほとんど演奏家を選ぶことはなく、ロ短調ミサ以外はほとんどが1種類しか所有してもいない。

会社を辞めたらジックリ聴こうと思っていたが、まだその機会を見つけてない。
大全集も発売されてることだから、そろそろかとも思うが、有名曲の異演奏も捨てがたいので目下思案中だ。

ブランデンブルク協奏曲は、1962年に購入してもらった初心者向けの全集に収録されていたので、3・4・5番はよく聞いたが、6曲ある全集盤は2種類しか聞いていない。

したがって愛聴盤というには、たいへんおこがましいが、長く聞いてきたものは、ハンス・シュタートルマイヤーとミュンヘン室内管弦楽団の演奏だ。

実はこの演奏について書こうと思っていて聞き直したのだが、これという特徴があるわけでも、何かが秀でているようにも思えなく、まあ、無難にこなしてるといったところに思えるので、指揮者のプロフィールでもと思ったが、この人の資料が全く見つからない。

ミュンヘンシ室内管弦楽団についても同じで、ミュンヘンフィルのピックアップメンバーか何かだとの想像もできないから、シュタートルマイヤーについてほかのの録音を探すが、非常に少なくて、ダンツィ:フルート協奏曲が出ているぐらいであった。

全集の解説書にはバロック音楽を得意とする、としか書かれてないし、ダンツイはベートーヴェン時代のひとだから、「得意」というのはなんだか怪しいが、それほど情報がないマイナーな人なのだろう。

めずらしいということと、長く聞いてきたものというだけのことでしかない。

そこで皆さんとダブル可能性が大いにあるが、小生のバロック音楽の数少ない愛聴盤といえる、バッハの管弦楽組曲と同じ演奏家を選ぶことにした。

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それはクルト・レーデルとミュンヘンプロアルテ室内管弦楽団の演奏である。

実はこの音盤を購入するとき、思い描いたのは、クルト・レーデルが管弦楽組曲で見せた、フルートの洒脱な装飾音符を自由気ままに…といってもそれが実によくマッチングしたアドリブとなっていて、バッハの固いイメージを払しょくさせてくれたから、ブランデンブルクでもきっとそういう演奏であろうと想像してのことであった。

さらに登場する人がその道の名手ばかりで、よくぞこれだけの人を一堂に会することができたものと感心したことであった。

もうすでにご存知かと思われるが、主なメンバーは、
フルート:クルト・レーデル他
オーボエ:ピエール・ピエルロ、ザイヘルト
トランペット:モーリス・アンドレ
チェンバロ:ロベール・ベイロン=ラクロア
ヴァイオリン:ラインホルト、パルヒェット
そのほか
これだけの名手がそろった演奏は、きっと素晴らしいだろうとの予想をしたからであった。

比較対象が、先のハンス・シュタートルマイヤーと、ルドルフ・バウムガルトナー/ルッェルン弦楽合奏団だけなので、何ともならないが、バウムガルトナーによく似た演奏である。

5番でのチェンバロのアドリブがさえわたるのが、ラクロアのレーデル盤。
ビオラと珍しいビオリーノピッコロを1番で使用したのが、ヨゼフスークの演奏のバウムガルトナー盤だ。
しかしパルヒェットもスーク以上にバイオリンでは活躍し、この人の柔らかい音にはスークと対照的だ。

モーリス・アンドレは素晴らしい奏者だが、バロックトランペットは刺激的な音を出すのが小生には気に入らない。
フルートで指揮もするレーデルは、ここでは慎重に吹いていて、組曲のような遊び心が全くないのが残念だ。

バウムガルトナー盤の2番5番でのフルートはオーレルニコレ、ニコレは端正で、しかもノンビブラ-トで吹いているようで、好感が持てる。

バウムガルトナーは初期の録音ではザッハリッヒな演奏だったと解説は言うが、この録音ではそんな気配もなく、テンポもゆったりとしていて、レーデルと似通った演奏になった。

ザッハリヒなのは、一番長く聞いたシュタートルマイヤー盤。
バッハに遊び心なんか不必要と言わんばかりの生真面目な演奏である。

ほかにも聞いてないわけではないが、印象に残るものは、変な意味でカラヤン盤しかない。
カセットテープを購入し、車ではかなり聞いたが、少々大仰で迫力がある演奏で、これもいいものだと当時は思っていた時代があった。

これぐらいしかかけないので、あとはお二方にお任せすることにして、これからのバッハ視聴の参考にさせていただければ幸いだ。

by noanoa1970 | 2012-07-28 19:09 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(5)

Commented by HABABI at 2012-07-29 08:23 x
sawyerさん、おはようございます

私が持っているレーデル盤は、第1回目の録音の方で、トランペットはアンドレではありません。
バウムガルトナーの最初の録音を持っています。大物演奏家が揃っていますが、特に強い印象を受けなかったので、私のブログでは触れませんでした。HABABI
Commented by noanoa1970 at 2012-07-29 13:56
HABABIさん
レーデル盤小生のは1962年盤なのですが、それより古いのは何年盤なのでしょう。それも聞いてみたいです。フルートは普通に吹いてますでしょうか。
バウムガルトナ版はス-クとニコレの名前だけで購入したのでしたが、どうもバッハは演奏家による差別化が難しそうに思います。それに反してジャズでもロックでもなんでも編曲ができて、しかも夫々がいいのは実に不思議なことではありますが。
Commented by HABABI at 2012-07-29 21:05 x
sawyerさん、こんばんは

レーデルの最初の録音は、探しても録音日のデータが出てこないので分かりません。ステレオですが、いかにも古い録音という音です。バッハの演奏ですので、時代に合った装飾音は入っているでしょうが、特に大きな変化は付いていない様に思います。

教会カンタータの場合には、随分違う演奏がありますが、多くの場合、バッハの曲は音と音の間に演奏者の情感が入ることが少ないようなので、その意味では演奏者の解釈の分かる要素が少ないと思います。
ブランデンブルク協奏曲の場合、自分の好きな演奏を持っていてそれを基準にしないと、違いの説明が難しいと思います。この曲は、ビッグバンド・オーケストラ・ジャズみたいなものなので、各奏者の音や表現が聴きものの一つなのだろうと思います。それと、指揮者がどこまで支配して音楽を作っているのかも、聴ける様に思います。カラヤンのものは、私は聴いたことはありませんが、カラヤンのサービス精神が聴かれて、きっと面白いものだろうと思います。
Commented by noanoa1970 at 2012-07-29 21:23
HABABIさん、御足労かけました。
60年代以前のLPにはデータがないものがたくさんありますからね。
バッハ演奏に関しては、おっしゃるような感想を小生も持ちました。おそらくは、指揮者なしでも演奏可能なのではないでしょうか。もし強いて聞くならば、シューリヒトかシェルヒェンをと思います。
Commented by Abend5522 at 2012-07-29 22:10
sawyer様、こんばんは。
私もつい今アップしましたので、読ませていただきました。レーデル盤を挙げておられ、喜んでおります。また、HABABI様よりのご教示も有り難く拝見しました。大オケでのブランデンブルクを聴いたことは殆どないのですが、フルトヴェングラーがピアノを担当し、VPOを指揮した1950年のザルツブルク音楽祭ライヴの5番が好きです。