赤とんぼ騒動

山田耕筰とシューマンと題した先のブログで「赤とんぼ」と」シューマンの「ピアノと管弦楽のための序奏と協奏的アレグロ」作品134の類似性の「’さわり」について触れたので、その後について書き留めておこうと思う。
以下の3点についての諸問題を提示したのだが、今回はその1点目を取り上げる。
1.山田耕筰のシューマン盗用説
2.山田耕筰の作曲法上の問題点の指摘
3.三木露風の「赤とんぼ」の詩についての疑問

これについては吉行淳之介がその著書「赤とんぼ騒動」で書いているのでかいつまんで紹介する。
吉行はあるとき問題となるシューマンの作品134を聴き、「三木露風」が詩を作り、「山田耕筰」が作曲した日本人なら誰でも知っていて、今や日本の童謡にもなっている「赤とんぼ」に余りにも似ているフレーズが都合18回も出てくることを指摘し、(何度も聴いて数えたらしい)
ひょっとしたら、「山田耕筰」がシューマンを盗用したのではないかとの疑いを持つ。
「ゆうやけこやけのあかとんぼ」
(ソ・ド・ド・レ・ミ・ソ・ド・ラ・ソ・ラ・ド・ド・レ・ミ)・・・・が「赤とんぼ」の最初のメロディである。
「移動ド」だがシューマンの作品134は
(ソ・ド・ド・レ・ミ・ソ・ド・ラ・ソ・ラ・ド・ド・レ・ミ)(ソ・ラ・ファ・ミ)・・・・後の(  )のソ・ラ・ファ・ミの4つの音が連なる以外は全く同じである。

何回か聴いてみたが、山田耕筰のものは、その第一メロディとそれに続く第2メロディ・・・ABで完結していて其れが、4回繰り返されるのに対して、シューマンのは、突然前触れなく出てきて、しかも18回(途中で調性が変わるが)しつこく登場する。なんと言っても大きく違うのは、(ソ・ド・ド・レ・ミ・ソ・ド・ラ・ソ・ラ・ド・ド・レ・ミ)(ソ・ラ・ファ・ミ)・・・・後の(  )のソ・ラ・ファ・ミの4つの音がもつ意味で、シューマンには連続性があり、次につながろうとするのであるが、しかしなかなかつながらない。
そういう意味でシューマンのこのメロディは、当然やってきたしつこいストーカーみたいで、曲全体に及ぼす意味は、メロディの美しさ(日本人にはもう少し違う意味を持つが)以外には乏しい。そういう意味でこの作品はシューマンファンの期待にそぐわない。

石原槇太郎が「赤とんぼ」をドイツ人の友人に聞かせたら、「これはドイツの民謡と同じだ」といったという話や、「イスラエル」にも同じメロディがあるとか、このメロディのオリジナルの謎はさらに深まるばかり、いまや全世界を駆け巡るまでになってしまったのである。。

しかし小生は長年耳についてきたメロディでもあるからか、「国産である」という風に信じたい。
せめても「山田耕筰」がシューマンを盗用したのではなく、ドイツ民謡を応用したと思いたいのである。
去年面白そうなCDが発売されたので紹介しよう。
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山田耕筰が指揮をしたもの、カルメンマキ、賠償千恵子、JAZZのハンク・ジョーンズ、イ・ムジチ、ゲーリーカー、三宅榛名、ジャン=ピエール・ランパル/リリー・ラスキーヌ、仏語歌唱英語歌唱、など全篇「赤とんぼ」・・・シューマンの作品134曲も収録されている。
キング (KICG-3080)
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by noanoa1970 | 2005-08-29 07:34 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(3)

Commented by 望 岳人 at 2006-10-03 10:20 x
初めまして。赤とんぼ騒動について興味深く読ませていただきました。
記事をアップしてから「山田耕筰、赤とんぼ、シューマン」で検索したところ貴記事を発見しましたが、この問題は奥が深そうですね。コード進行までも同じだということですが、どうなのでしょうか?なお、拙記事で「ライプツィヒ音楽院」とあるのは、「ベルリン音楽院」の間違いでした。
Commented by sawyer at 2006-10-03 12:34 x
望 岳人 さんコメントありがとうございます。あなたの記事を拝見しようとしましたが、あいにくリンクが切れているのか、開くことができません。
よろしければ再度教えていただけないでしょうか。
Commented by 望 岳人 at 2006-10-03 18:43 x
どうも失礼いたしました。改めてトラックバックを送らせていただきました。私の記事自体、シューマンの「序奏とアレグロ」作品134の紹介ですので、取り立てて新たな内容はないとは思いますが、よろしくお願いします。