人気ブログランキング | 話題のタグを見る

リストのレクイエム

リストのレクイエム_d0063263_16202246.jpg

余り聴く機会がなく眠っていた音盤を聴いてみようと思った。15年ほど前に京都の老舗の店で入手したもので、数回聞いただけで長いことしまいっぱなしになっていた。しかも小生、「リスト」は交響詩やピアノ曲を聴くだけで、決して熱心な聞き手ではない。いわば「リスト」初心者である。ただどういうわけか宗教曲はかなり好きなほうで、一時集中して聴いていた。リストのレクイエムもそのときに入手したものである。

1868年に初演されたこのレクイエム。編成はテノール×2、バリトン×2、男声コーラス、オルガン、トランペット×2、2トロンボーン×2、ティンパニと小編成。。恐らくこのレクイエムはコンサートで演奏するのが主目的ではなく、教会内で演奏されることを目的に作曲されたものかもしれない。
リストのレクイエムは次の6曲からなり。通常のレクイエムの典礼文をかなり省いたこの頃のレクイエム以上に簡素化されている。

1.レクイエム(レクイエム・エターナム)
2.怒りの日(ディエス・イレ)
3.ドミネ・イエズ(オッフェルトリウム)
4.サンクトゥス
5.神の小羊(アニュス・デイ)
6.リベラ・メ
以下は通常のレクイエムの典礼文である。
1.Introitus(入祭唱、Requiem aeternam dona eis Domine..... Te decet hymnus Deus in Sion....)
2.KYRIE
3.Graduale(昇階唱、Requiem aeternam..... In memoriam aeterna erit justus....)
4.Tractus(詠唱、Absolve Domine, animas omnium fidelium defunctorum....)
5.Sequentia(続唱、Dies irae, dies illa....)
6.Offertorium(奉献唱、Domine Jesu ChristeHostias et preces tibiDomine..)
7..SANCTUS
8.AGNUS DEI
9.Communio(聖体拝領唱、Lux aeterna luceat eis, DomineRequiemaeternam
リストのレクイエムも19世紀のほかの作曲家「シューベルト」「シューマン」あるいは「ベルリオーズ」「ヴェルディ」「ドヴォルザーク」などと同じように順序を入れ替えたり、省略していることが分かる。しかしいかに省略といえども、「キリエ」がないことには、いささか驚かされた。
19世紀以降は、フォーレとデュリフレを代表的例外とし、ヴェルディ、ドヴォルザークに顕著なように、Sequentia「Dies irae」の比重が大きくなる傾向が強く、リストのレクイエムもドラマチックには仕上げられている部分はあるが、なにぶん小編成過ぎて、「交響詩」で見せるようなリストではない。

グレゴリオ聖歌風のフレーズがいたるところで登場し、その編成からも「グレゴリオ聖歌」を思わせるようなところがたぶんにあり、宗教曲が好きな人なら、サン=サーンスのレクイエムと同様、聞いておきたい曲のうちの一つである。

聴いているうちに気づいたのだが、「教会で演奏されたものであろう」・・・という推論はひょっとして間違いかもしれないと思った。小編成で、音量はさほど大きくなく、あたかもグレゴリオ聖歌を髣髴させるが、ところどころにオルガンの強奏部があり、かなりドラマチックに作られているので、「演奏の仕方で・・・両用可能に仕上げた」・・・・という推理にしておくことにしたほうが良いのかもしれない。

CDはハンガリー出身の職人的堅実指揮者
ヤーノシュ・フェレンチェク(指揮)/ハンガリー国民軍男声合唱団
アルフォンズ・バルタ(Ten)、ソルト・ベント(Bar)

by noanoa1970 | 2005-08-26 17:48 | 宗教曲を聴く | Comments(0)