私の愛聴盤・・・ブラームス交響曲3番
この音盤を上げるために、今一度聞き直そうと思って探したが、見つからない。
大体この付近にあるはずと思って探したのがいけなかったかと、非常に面倒だが音盤を1枚ずつチェックしてみたがそれも徒労に終わった。
見逃しがあるに違いないと、最終手段はメーカー別に並べ替える決心をして、作業に取り掛かった。
目指す音盤は、「ロンドン」だから、例外もあるが白赤青の帯模様があるから、その中にあるはず。
半日かかりで、メーカー別に並べ替えしてみたが、いまだに発見できない。
もちろん棚の奥や並ぶCDの後ろ、非クラシック音楽の棚もチェックした。
残念なことにいまだ見つかってない。
つい数年前も、ドビュッシーの前奏曲全曲盤を探していたが、見つからず諦めていたら、少し大きな地震があって、落ちてきたCDがの中にそれを発見したことがあったから、どこか尋常でないところに隠れているのだろう。
探している音盤は、カラヤン/VPOの60年代のDECCA録音、小生のはドヴォ8とカップリングされている廉価盤だ。
ブラ3はこのカラヤン盤をLP,CD合わせて一番数多く聞いた。
甘く切なくそして哀愁を帯びた演奏で、4つの交響曲の中ではカラヤンに一番良く似合う曲と小生は思っている。
VPOの弦もホルンもきわめて柔らかく、しかも合奏では、音の厚みを感じることができる。
和声の中にこっそりと秘めた思い・・・・そんなブラームスのプラトニック面が表現されるようなカラヤンは、素晴らしく思った。
映画で使われたから、ということではないことは、映画をいまだに見たことがないことで明らかだが、特にカラヤンの3楽章は見事ととしか言いようがない。
ここだけ取り出してリピートして聞きたいものだ。
かつて小生はまだウォークマンがカセットの時代、手持ちの音盤すべての3楽章を録音し、持ち歩いては聞いたことがあった。
ベームもシューリヒトも、ザンダーリンクも、トスカニーニもマズアも収録し、さらにMDに落としてランダム再生までして聞いた。
中でよかったのが、バンスタ、バルビ、カラヤン、そしてケルテスで、今考えればすべてがVPOとの演奏であるのが不思議なこと。
当然愛聴盤はカラヤン/VPOということになるが、今一度聞き直すことができないため、今回はバルビローリ/VPOに譲ることにした。
バルビローリ盤は2番とのカップリング。
この2番も相当な演奏だが、親子ほど年齢が離れているにもかかわらず、バルビのようなコントロールでVPOを操縦した、ケルテスに敬意を表した。
いずれも自我を殺し、オケに裁量の余地を多分に残して、このオケの良いところを自然に引き出した演奏だ。
アインザッツが難しのだろう。
1楽章冒頭の弦がピッタリそろった演奏を聴いたことがあまりないが、VPOの演奏はいずれもが弦のアラが目立たない。
いつも思うのだが、数ある管弦楽団の中で、低弦の音がもっとも安定しきっているのはVPOではないだろうか。低域をしっかりさせると、高域もそれにつれて良くなっていくオーディオに似ているように、管弦楽団では、やはり低域の確固とした支えが特に重要なのだということを思い知らさせる。
ブラームスはここぞという素晴らしいメロディを、低弦に任せることが多いが、低弦で奏される3楽章は、ブラームスの真骨頂であり指揮者のそれでもある。弦はもちろん金管木管のセンスがハイライトされやすい曲で、しっかりした低弦のささえで、高弦にすすり泣くようなボウイングをされるともうたまらない。
優しく包み込む男性の腕の中ですすり泣く女性、しかしブラームスには、男女逆転したところもある。
紺のあたりをいかに表現する加賀、面白いところ、指揮者のブラームス観がでやすいところだ。
また指揮者の性格や持ち味が演奏に反映され、それがわかりそうな楽曲があるとすれば、ブラームスではないかとも思ってさえいる。
単体での演奏はもとより4曲通しての演奏になると、それがよくわかるような気がする。
バルビは、2番3番が出色の出来だ。
しかしカラヤンは3番しかもVPOとの60年代DECCA録音だけが突出してよい。
ケルテスは高水準を維持しながらも、4番がはたしてケルテスの解釈通りうまくいった演奏なのか、聴いているとやや不安さが乗っかっているようだ。
ブラームスは、ドイツのオケと指揮者が一番という前に、いや後でも良いからバルビを聴いていただくと、ブラームス像や音楽イメージに変化があるかもしれません。
by noanoa1970 | 2012-06-10 12:55 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(7)
私もバルビローリのものを愛聴盤のひとつに挙げました。4曲を初めて揃えたのも、バルビローリ盤のLPでした。
ブラームスを熱心に聴いたのは、中学・高校時代でした。思春期前後の男子の心に沁みるものがあるのでしょうね。弦六1番の2楽章も3番の3楽章も恋愛映画に使われましたし、3番の方は歌詞をつけられてラヴ・ソングにもなっていますね。ブラームスは劇音楽を作りませんでしたが、彼が50年遅く生まれていたら、映画音楽を作曲したかも知れませんね。
ブラームスは聞けば聞くほど奥が深くなってゆき、尽きせぬ思いの存在感が強いです。3番の交響曲、小生はなぜか甘い香りとそれを否定するような矛盾したカラヤン盤がお気に入りですが、弦6になると途端に辛口なってベルリン弦楽合奏団のものを好んでいます。次回は小生が一番理解に苦しんでいる4番ですが、これをどの様に扱うか、頭が痛いです。
追伸
ブラームス終了後の次の楽曲チョイスはAbend様にお任せしてもよいでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。
お探しのカラヤンのCDの背表紙は、無地(ほとんど白)に黒で文字(日本語)が書かれているものだろうと思います。我が家にあるドヴォ8とのセットや、ブラ1は、赤とか、青とか使っていません。至ってシンプルです。HABABI