モーツァルトの「運命」

いささかキャッチーなタイトルだが、本当の意味はベートーヴェンで有名な「運命の動機」が、モーツァルトによって大々的に使われていたということである。

このことから「運命の動機」そのものは、何もベートーヴェンが編み出した音型ではないという事が導き出される。
以前のブログに、この動機はグレゴリアンチャントによるものか、あるいはギリシャローマの古い音楽など、果てまた非キリスト教文化の民族音楽化、出自はそんなところだろうという仮説をン立てたことがあったが、いまだに解明されてないようだ。

それはともかく、モーツァルトが大胆に「運命の動機」を主題として作った音楽が身近に存在する。
音楽史上「運命の動機」を」使用した音楽は少なくないから、べつに驚くことはないとおもわれるかもしれないが、実際に聞いていてそれを発見したという意味で、小生には大発見的な意味があった。

そんなことはすでに、誰かによって指摘されているかもしれないが、とにかく小生自ら聴いている中で発見したという事は、過去から楽しみの1つであった、「怒りの日」「運命の動機」が引用されている楽曲を探す旅に、新しいものが加わったという事になる。

モーツァルトの数多い作品の中、しかもそれはかなり身近な曲で、種を明かすと、「ピアノ協奏曲25番ハ長調」だ。

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ペライアの演奏は律儀すぎていて、あまり好きではないが、下手な細工をしないから、録音はもちろんだが、それが細部までバrンスの良い明瞭な響きとなっている感がある。

運命交響曲の「運命の動機」がハ短調だから発見しやすかったのかもしれないが、第1楽章の序奏からそれは出現する。

タタタタターンというリズムパターンは随所に登場するが、小生が気が付いたのは、第2主題でのこと、とても印象的なメロディの最後に出現した運命の動機は、ピアノがタタタターン・タタタターンと奏でる中間部以降頻繁に転調をしながら展開されるが、終局まじかになってピアノの強打によって、強く2度にわたり奏でられるから印象付けられる。

先程それらしき記述はないかと調べるが、25番の運命の動機についての記事は見当たらないので、小生だけが勝手に思っているのかもしれないが、小生は之は明らかに「運命の動機」であると思う。
当然のことだが、モーツァルトは運命の…云々は意識などはしてない。

しかし単調に転調するところなど、ひょっとしたらベートーヴェンがモーツァルトから引用したのではないかという可能性があるように思うがいかがであろう。


32秒からの弦の刻み、そして1分28秒あたりからのやや強めに2度奏されるところ、12分から13分までにわたるピアノの連続演奏が極め付けだが、1楽章全体が「運命の動機」に支配されているといってよいのではないかと小生は思う所だ。

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by noanoa1970 | 2012-04-01 09:32 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(4)

Commented by Abend5522 at 2012-04-01 21:52
sawyer様、こんばんは。
私の愛聴盤はグルダ&アバド/VPOですが、おっしゃるとおり第1楽章は運命の動機に支配されていますね。交響曲第41番終楽章の主題もそうだと思います。
ベートーヴェンが5番の1楽章でやって見せたのは、リズムがメロディーになるということだったと思いますが、モーツァルトにはそれが既に窺えますね。では、モーツァルトからかというとそうではなく、ハイドンの104番第1楽章の展開部で序奏の「パーンパーンパパー」が「パーンパーンパー」となって表れるところなどにも感じるところです。
Commented by HABABI at 2012-04-02 06:27 x
sawyerさん、おはようございます。

「運命の動機」は、この曲から確かに聴こえて来ます。しかし、どうも他にも関連のある曲がありそうに思い、心当たりを調べてみました。弦楽五重奏曲ハ短調K.406(516b)(原曲は、セレナーデK.388)の第1楽章にベートーヴェンの第5を髣髴とさせる箇所が出て来ます。また、「ドン・ジョヴァンニ」の最後の方で、騎士長の亡霊を見たレポレロが「タッタッタッタ、タッタッタッタ」と歌う音型は、ピアノ協奏曲第25番に出てきます。これらの3曲は、比較的近い時期に作曲(弦楽五重奏曲は編曲)されています。
手許に、面白いLPがあります。バレンボイムのピアノ、クレンペラー指揮/ニューフィルハーモニア管弦楽団による同協奏曲の演奏録音です。そのLPに、上記のK.388がクレンペラー指揮で入っています。今まで、どのような意図で企画したのか、よく分かりませんが、今、分かった気がします。HABABI
Commented by noanoa1970 at 2012-04-02 07:36
Abend様、 HABABI 様、おはようございます。
お二人とも、同じように思われましたこと、心強く思います。
モーツァルトのほかの曲に存在したり、クレンペラーの音盤となって意図されたような形跡があるのも、とても面白いと思います。小生は以前三越のブライダル関係のCMで、「私たち運命だからね」というセリフとともに、ベト「運命」の動機がワーグナーの「結婚行進曲」に繋がるというのを見て、奥が深いと思ったことがありました。偶然なのか、意図的なのかわかりませんが、「結婚行進曲」と言われる音楽、メンデルスゾーンにも運命の同動機が使われているので何かありそうな予感がします。
Commented by noanoa1970 at 2012-04-02 07:36
しかもワーグナーはメンデルスゾーンを毛嫌いしたわけですから、単に模倣したとは考えにくいですから、宗教的な出自があるのではないかとも思います。小生も運名の動機はハイドンまではなんとか確認しましたが、それ以前の音楽については今後の課題としたいと思います。しかしこのリズムの発症は、出自はなんなのでしょう。グレゴリオ聖歌を当たってみましたが、残念ながら小生には発見できませんでした。新し情報が判明したらぜひご教示ください。