11月22日は

最近では「いい夫婦の日」となってしまった感があるが、1963年の今日は、ケネディ大統領が暗殺された月命日である。

思い起こせばあのホは、MHKが日本初の衛生中継の実験の日であったが、回線が通過した直後息を切ったようなアナンウンサーの声で告げられたのが、ケネディの死であった。

学校が休みだったのか小生が休んだのか、小生はリアルタイムでこのアメリカからの衛星中継を見て、其の衝撃のあまり、国語の教科書に「ケネディ死す」と書いた覚えがある。

今でこそ真相が暴露されているようだが,、その頃ケネディは、1962年キューバ危機を発端とした米ソ核戦争突入の危機を回避した政治家として、英雄視されていて、小生も尊敬の念を持っていたのだった。

「国が諸君らに何をしてやれるかではなく、諸君らが国のために何ができるのかを 考えたまえ。」というケネディの名文句があって、あの頃は素晴らしい言葉だとおもっていたが、今では批判的に受け取らざるをえないところだ。

偉人や英雄を尊敬できた時代が懐かしい。

しかしながら、ケネディは米国史いや世界史上、いろいろな意味においてエポックメイキングな大統領としての位置は、不変であるのだろう。

普段はほとんど聞くことがなく、音楽だけではなく、歴史遺産としての価値がより高い、ケネディ葬儀のモツレクを聴くことにした。

内容については過去の記事に書いたので省略するが、この音盤は1964年か5年に発売となったのだが、5000円という価格でとても高校生には手が出なく、いつか入手しようと決めていたが、それからしばらくして廃盤となってしまった。

中古LPを探したがなかなか見つからずにいたところを、ようやく海外在住のレコードコレクターの人から譲っていただいたのが7年ほど前。

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掲示板の復刻希望欄に投稿もしたが、内容が内容だけに復刻は無理だという意見が圧倒的だったが、やはりこういう時代なのか、数年前のこと復刻発売されることとなった。

典礼通りの葬儀進行の中で、ラインスドルフ/ボストン響がモーツァルトのレクイエムを演奏するというスタイルで、開始の鐘の音も、神父の祈祷も、ときどき場にいる人達が席を立ち上がるがる様子も聴こえてくる。

解説者は野村良男氏で、1964年、最初の音盤が出た時のものであるが、その一節にはこう記されている。

「これは誠に歴史的であると同時に、感動的な録音である。最前列の「書簡側」すなわち向かって右側に、祭壇着席し、聖体拝礼を受けて神と故人の永遠的一致を他の誰よりも祈ったに違いない、ジャクリーン夫人の涙と心の震えをわれわれは感じないではいられない。」

残念ながら録音には無いが、カッシング枢機卿のミサ終焉にあたっての説教が記されているが、なかで、モツレクが選択された意義を以下のように言及している。

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「何人も傑出した合唱団、有能な指揮者のもとに、世界に知られたボストン交響楽団によって、モーツァルトのレクイエムがアメリカに一新を捧げた大統領のために選ばれたことの適切さを指摘しないではいないでしょう、芸術の天才と指導の天才がこの歴史的出来事で出会ったのです。」

芸術の天才とはラインスドルフ/ボストン響、そして指導の天才とはケネディ大統領であることは明らかである。このあとしばらくモーツァルトとケネディ大統領両者の共通項について詳細に持論を述べている。

ボストングローブ紙のロバート・ヒーリー氏は、威厳とびとスタイルト素質有るミサは、大統領とそっくりであったといい、ラインスドルフが枢機卿に言った言葉を引用した、それによると「大切なのは心であって、声ではないのです」と。

またジャクリーン夫人はミサ終結部が近づくと前に進み出て、ラインスドルフにお礼を言い、「magnificent」
だといったと伝えた。

最も著名なボストン響の後援者は「国中のどこの教会でも、あれほど素晴らしい物を見たことがなかった」との弁を伝えた。

時が時事が事場所が場所だから、誇張された所があるのは承知ではあるが、クリスチャンでも無い小生が音盤だけで聴くものとは、雲泥の差。があることは十分推測できることだ。

演奏会場という場かスタジオでの録音でしか聴いてない者にとって、モツレクは宗教とは縁遠い音楽になってしまっているが、こういう実録の音盤を聴くとまたベクトルの違う感慨が湧いてくるものだ。

集中とか一心不乱とか緊張度の高いと言う表現をすることがあるが、まさにこの音盤はそれらに加え、ケネディが、迷わずに天国にいけるようにとの真摯な祈りそのものである。

こういう録音は聴く方も心を正して効かねばならないし、そうやたらに聞けるものではない。

本日はそういう言わば1年に1回の日でもある。
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by noanoa1970 | 2011-11-22 15:08 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)