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ALBERNI SQ

小生は以前のブログ、「ブラームス弦楽六重奏曲追加視聴」で、アルバーニSQを初聴きといったことがあるが、実はそれは小生の勘違いであったことに気が付いた。

機会を見て訂正しようと思っていたが、つい億劫になってそのままとなっていたので、本日改めてそうではなかったことを書いておこうと思う。

このCDを入手したのは、CDでショップではなく、駅売りと呼ばれる通路などにワゴンに積まれて販売されているものからであった。

ALBERNI SQ_d0063263_1221380.jpg
collins classicsというレーベルのCDで、外観はDGソックリの金色が多く使われているジャケットのCDだ。
今でも時折DGのCDと間違えて取り出すことがある。

ボロディンとチャイコの弦楽四重奏曲がカップリングされたCDで、購入当初はBGM的扱いであったが、聴くに連れて、「悪くない」から「かなり良い」そして「これは良い」という具合に印象が変化していった。

このSQの1番の特徴は、弦楽器の音色の美しさであると思うのだが、当初は録音が優れているせいだとおもっていた。

それは、このSQ、名前も評判も経歴も出身国も知らなかった、小生にとっては初めての、しかも投げ売り状態のものを、たまたま入手しただけのものであったから、マイナスの付加価値が付いていたからであった。

それがどうだろう、聴く毎に妙に気が合い始めてきて、無名のSQにしては素晴らしすぎるという評価をするに至ったのが、購入後半年を過ぎ、ブリリアントから発売されたブラームス室内楽のBOXを入手した後のことであった。

その時はアルバーニというSQの名前も覚えてない状態の時であったから、ブリリアントBOXの演奏を初聴きとしてしまったらしい。

ブリリアントの室内楽全集にはアルバーニ四重奏団他による弦楽六重奏があって、聴いた印象を、小生は「1978年録音だから、今のようにそうはいい環境下の録音ではないと思うのだが、中低弦の柔らかさと、ヴァイオリンの最高音域の音色も美しい。」とブログで述べているが、その印象はこのボロディンとチャイコの四重奏の演奏にも当てはまる。

となると、アルバーニSQの音色の美しさは、録音に依存するものだけではなく、他に大きな要因があるのではないかと推察される。

小生はCDの解説をほとんど読まないが、とくに輸入盤の場合は絶対に読むことはない。
白内障の手術をしてよく見えるようになった最近でこそ、必要があれば、読むようにはするが、あの極小の文字は読み手の情熱が必要だ。

そんな訳で何かヒントが無いかと、初めてジャケット裏の解説を見るが、こんな情報の存在を知った。

メンバー紹介は珍しくはないが、このように個々のメンバーの使用楽器を掲載するものは、そう多くはない。

それによると、全員がそれぞれの分野で歴史上定評の高い、職人の手になる楽器を使用していることが分かった。

第1バイオリン担当の、ハワード・デイビスの楽器は「クレモナ」のストラディバリウス「THEMAURIN」1718を、ロンドン王立アカデミーから貸与されて使用したと書かれてある。

その他の使用する楽器も1600年から1700年代に造られた楽器を使用したと書かれてあることを発見した。
ALBERNI SQ_d0063263_11594312.jpg


このSQの音色がとくに美しいのは、使用楽器による所があるのかも知れない。
柔くて良く響き、倍音成分の乗りが良いのだろうか、音に深みもある。

バイオリンの最高音もビンビンすることなく、なめらかで、極上の女性ボーカルを聴いているような気分になる。

音色の美しいSQは、他にも多いが、アルバーニSQは、その中でも抜群の音色の素晴らしさを誇るSQではないだろうか。

解説は、恐らく英国人の音楽研究学者、PETER AVISという人によるものだが、使用楽器に付いての情報をわざわざ書いたということは、何か深い意味があるものと思われ、小生はその事とアルバーニSQの音色と関係があるのではないかと思っている。

アルバーニSQは、イギリスで一番長く続いているSQで、最近ではベートーヴェンの四重奏曲全曲をSMIF教会で録音したと言う情報があった。

このCDの録音は1990年となっている。


by noanoa1970 | 2011-11-17 12:24 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(24)

Commented by こぶちゃん at 2011-11-17 22:00 x
>購入当初はBGM的扱いであったが、聴くに連れて、「悪くない」から「かなり良い」そして「これは良い」という具合に印象が変化していった。

一番愛聴盤になるパターンですね。
しかも、室内楽のジャンルでは余り有名ではない曲ですから相当良いSQなのでしょう。
英国のSQでベートーヴェンの上手いSQは知りませんが、関心が出ました。調べてみますね。
Commented by Abend at 2011-11-17 22:14 x
sawyer様、こんばんは。
アルバーニSQの演奏は未聴ですが、確かに使用楽器の記載があるのは珍しいですね。調べてみますと、ヴェルディ、プッチーニ、ドニゼッティの弦四を収めたCDがあって、欲しいと思ったのですが、HMVでは入手困難とありました。
チャイコフスキーの1番とボロディンの2番のカップル盤で愛聴しているのは、CD化がされていませんが、ドロルツSQ盤です。
Commented by noanoa1970 at 2011-11-17 22:21
こぶちゃんさん
アルバーニSQは、何しろ滑らかなボウイングによる、ヴィンテージ楽器の音色が素晴らしいです。しかしほとんど情報がないようで、発売する会社がマイナーなのか、大手CDショップにもあまり記載がないようです。情報あればご教示ください。
Commented by noanoa1970 at 2011-11-17 22:33
Abendさま、こんばんは
なぜか恵まれないようで、音盤購入のチャンスが殆ど無いようです。小生は他にはアマデウスSQ盤しか所有していませんが、音色ではアルバーニに軍配を上げます。ノクターンの優雅さはさすがアマデウスSQだとは思いますが。
ドロルツSQは「アメリカ」「死と乙女」のカップリングを所有しています。「死と乙女」は死を怖がるというのでなく、どこか憧れのようなものを予感させる演奏でした。オケのメンバーによるSQ(室内楽団)は、どちらかと言うと、厳格な演奏をすることが多いようですが、BPOメンバーであるドロルツは硬軟併せ持つ魅力があります。
Commented by こぶちゃん at 2011-11-17 22:34 x
調べてみました。残念ながらリーダーのHoward Davis氏は2008.2.5に67歳でお亡くなりになったようです。
現在も活動はメンバーを補充して活動しているようですが、貸与されたThe Maurinが誰に渡ったのかまではわかりません。
ウィキペディアの英語とDavis氏について書かれた英語サイトが確認出来ただけでディスコグラフィの詳細はすぐに出て来ませんでした。
Commented by Abend at 2011-11-17 22:59 x
sawyer様
ドロルツの「アメリカ」は、廉価盤LPではコンヴィチュニーの『新世界』とのカップリングで、スメタナの『わが生涯より』とのカップリングでヴィンテージシリーズから出た時にはすぐに買いました。
ノクターンだけに限りますと、オーマンディ/フィラルデルフィアの弦楽合奏版を愛聴しています。40年前に放送していたNHK-FM『夜の調べ』を毎週聴いていたので、私の原点のひとつとなっている演奏です。
Commented by noanoa1970 at 2011-11-17 23:12
こぶちゃんさん
情報有り難うございます。
Howard Davis氏は若くして亡くなったとのこと、残念なことです。小生も調べてみますが、ネットで彼らについて書いているものは、今のところないようです。CRDレーベルCRD3351に、ショスタコのP五重奏が、クリフォード・ベンソン(P)アルバーニSQのCDが記載されてました。CRDレーベルはイギリスのマイナーレーベルですが、ピノックが在籍し、その後アルヒーブに移ったそうです。レコード会社がマイナーすぎて、日の当たる場所には登場出来なかったのではないでしょうか。
Commented by Abend at 2011-11-17 23:25 x
sawyer様
アルベルニSQという表記もされているようです。
下記のLPには、若き日の4人の写真があります。
http://www.hifido.co.jp/KW/G5003/J/0-10/C10-48822-55566-60/
Commented by noanoa1970 at 2011-11-17 23:32
Abendさま
失礼致しました。
「アメリカ」とのカップリングは「我が生涯より」でした。この演奏はアメリカを凌ぐもので、緊張感あふれる演奏でした。「死と乙女」は、カール・エンゲルがピアノを弾いた「鱒」とのカップリングです。どうも混同してしまったようですみません。
いずれもオイロディスクヴインテージにありますね。ノクターン弦楽合奏盤は聴いたことが無いですが、オーマンディ/フィラデルフィアであれば、美音を聴かせることでしょう。バイオリンの最高音の音色のロマンチシズムあふれる、瞑想の表現が勝負のような気がします。
Commented by noanoa1970 at 2011-11-17 23:41
Abendさま
当初小生もアルベルニと呼ぶとおもっていて、イタリアのSQかとおもっていました。写真を拝見しますと、クラシック畑とは思えないような、かなりの自由奔放、ラフさを感じました。とてもあの美音を聴かせるSQとは思えません。サングラスにやや長髪ですから・・・まるで60年代後期から70年代のイギリスのリバプールサウンド・マージービートのバンドのようです。
Commented by noanoa1970 at 2011-11-17 23:47
Abendさま
追伸です。
ジャケットの絵は何ものなのでしょう。とても変わった絵のように思います。シューマンにはロベルト表記はないのに、メンデルスゾーンにバルトルディをわざわざ記したのは何故かも気になります。
Commented by noanoa1970 at 2011-11-17 23:52
アルベルニSQで検索したら、下記URLのブログ記事を見つけました。http://49907771.at.webry.info/200804/article_9.html
Commented by Abend at 2011-11-18 00:22 x
sawyer様
情報、ありがとうございます。1960年代に結成されたのですね。collinsレーベルには、けっこう彼等の演奏があるのではないでしょうか。
ジャケの絵を見た時「ボッシュ?」と思ったのですが、絵には疎いのでわかりません。妻がそこそこ絵のことは知っていますので、きいてみたいと思います。
メンデルスゾーン・バルトルディという記名は、少し調べましたらヨーロッパではよくされているようです。ライプツィヒのフェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ音楽演劇大学や、ベルリンのメンデルスゾーン・バルトルディ公園などがありました。
Commented by こぶちゃん at 2011-11-18 02:55 x
CRDは英国のマイナーレーベルですが、フォーレのピアノ曲全集をPaul Crossleyで録音。彼は後にSonyでドビュッシーのピアノ曲全集を録音します。
室内楽でもNash Ensembleを起用する他、Hyperionに負けず劣らず良いコレクションを持っています。
最近ちょっと弱含みなのと80~90年代のCDのプレスレベルが低く(委託工場が最悪だった)アルミ反射膜が腐食して再生不可となるCDが続出してます。

ピノックは自身の主催していた団体からレイチェル・ポッジャーが独立(?)してChannel ClassicsからVivaldi~J.S.Bach~Mozartまで多数録音して気を吐いてます。
ピノック本人もアルヒーフからマイナーレーベルからブランデンブルク協奏曲を再録音するなど頑張ってますね。
Commented by noanoa1970 at 2011-11-18 09:07
Abend さま、おはようございます。
絵について情報何かわかりましたら、ご教示願います。
細部までがわかりにくいので苦労すると思いますが、小生もなんとか調べてみようと思います。
バルトルディはキリスト教に改宗した証のような名前ですから、メンデルスゾーン自身はあまり好んでなかったと聴いています。
フェリックス・メンデルスゾーンではなくバルトルディを持ってくるのには,何か特別な意味合いがあるのではと思いましたが、そういうことは関係なしに使われているとのこと。
思い過ごしであったことは喜ばしい限りです。
Commented by noanoa1970 at 2011-11-18 09:19
こぶちゃんさん
CRD情報有難う御座います。
関係ない話ですが、務めていた会社でCRDは「集中印刷室」を表す略語でした。
多分小生のコレクションの中には存在しないと思います。
HyperionはLP終焉時のものを幾つか所有しています。
通好みのレーベルのようで、一度発売されたものを確認してみます。しかしこのレーベル、後に有名になる人材を手放すことが多そうです、広宣活動が弱いのでしょうか。ピノックはイングリッシュコンソートのものがありますが、アルヒーブ盤でした。
Commented by Abend at 2011-11-18 18:18 x
sawyer様、こんばんは。
ジャケの画像を妻に見せたところ、最初はブリューゲルみたいだと言っていましたが、いや、もっと新しい、それも絵ではなくパペットを置いた舞台か何かの写真ではないかと言い直しておりました。ジャケ画像が拡大できませんので、それ以上の推測は無理なようです。
メンデルスゾーンに関しては、父が彼に名刺を作ってやる時に「フェリックス・M・バルトルディ」にしようとしたら激しく拒否し、「M」を「メンデルスゾーン」と正表記することで妥協したというエピソードがありますね。ヤーコプ・フリードリヒ・フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディが正式の氏名のようです。
Commented by noanoa1970 at 2011-11-18 22:30
Abendさま
ご苦労かけました。奥様にも感謝いたします。
やはり正体をつかむのは難しいですね。白い花模様がたくさんあるように見えますし、人形がいるようにも見えます。
シューマンの3番の四重奏はメンデルスゾーンに献呈された曲でもあり、ドイツロマン主義の権化のような存在ですから、それに関係があるか、または共通の都市ドレスデン、ライプツイッヒに関係有るロマン派以降の画家の作品かとも思ったのですが、該当するものにはめぐり逢えませんでした。フリッツ・フォン・ウーデかと思いましたがどうも違うようです。
Commented by こぶちゃん at 2011-11-18 23:09 x
CRDは手放すというより手放さざるを得なかったのでしょうね。
マイナーレーベル イコール ギャラが安いので有名アーティストを使えない…新人を探す。
新人が良い演奏をして有名になり、高額契約金でメジャーへ移籍、一定の活躍をしてメジャーから又マイナーへ…とプロ野球ではありませんが、ブラジルやアルゼンチンのサッカー選手みたいな展開です。
ピノックもアルヒーフで活躍しましたが、その後はAVIEというマイナーに移籍してます。
DG系専属で続くアーティストは極めて稀ですし、1980年頃一世風靡した古楽アンサンブルによるモーツァルト交響曲全集のホグウッドですら、独の廉価レーベルARTE NOVAからリリースしています。
Commented by Abend at 2011-11-19 00:25 x
sawyer様
ジャケ画像を、画像編集ソフトで拡大し、画質調整をしてみました。元画像の解像度が低いのでもうひとつ判断がしにくいのですが、中央にあるのは天蓋ベッドと思われます。誰か寝ているようです。ベッドの左に、シルクハットを被った犬人間、しゃがんだ白髯の小さな老人、脚が2本の双身美女、そして、老人の上に数体の小人が見えます。手前には、甲冑をつけた3人の騎士。バックには、
右から帽子を被った中世風衣装の男と羽根のある天使、槍を持った騎士が2人、竪琴のようなものを弾いている女とトランペットを吹いている男。これらが見て取れました。画家の名も作品名もわかりませんが、私は『真夏の夜の夢』をイメージした絵画ではないかと推測いたします。
Commented by noanoa1970 at 2011-11-19 08:01
Abendさま、おはようございます。
有難う御座います。
『真夏の夜の夢』・・シューマンの「トロイメライ」、夢つがりですからあり得るかも知れません。
Commented by noanoa1970 at 2011-11-19 08:06
こぶちゃんさん、おはようこざいます。
音楽業界の知られざる一面を見たような気分です。
レコード会社移籍はやりたいことができると言うより、金銭的なものが強いのでしょう。芸術家も一般人も同じですね。

Commented by Abend at 2011-11-20 00:24 x
sawyer様、こんばんは。
ワゴン売りされているクラシックCDを見ると、ついつい1枚でも「救済」したくなって見てしまいます。有名な曲ばかりですが、幽霊指揮者や幽霊オケを思わせるものがあって、好奇心をそそります。こういうのを出しているマイナーレーベルというのは、世界にどれぐらいあるのでしょうね。メジャーレーベルでも、知らぬ間に吸収合併が行われていて、複雑極まりないですね。CDに幾つものレーベルのロゴマークが入っているのも珍しくなくなりました。
Commented by noanoa1970 at 2011-11-20 08:15
Abendさまおはようございます。
>メジャーレーベルでも、知らぬ間に吸収合併が行われていて、複雑極まりないですね。CDに幾つものレーベルのロゴマークが入っているのも珍しくなくなりました。

小生が所有する輸入盤ではEMIとHMVのニッパー犬が共存しているものがると思えば、ニッパー犬の上からシールを貼って隠してあるものもあって、不思議に思っていました。
ワゴン売りの中にもレア盤がなくはないので、かつては興味がありましたが、今や価格差がほとんどなくなってきたし、相次いで幻の音源が復刻されつつ有る現在、商売として成り立つものなのか、消えていく運命に有るのかも知れません。