椎名林檎だったとは

NHK朝ドラ「カーネーション」の主題歌を歌うのは、椎名林檎だと知ったが、作詞作曲が椎名林檎だとは知らなかった。

小生がこの主題歌の作曲が、誰なのか調べようと思ったのはある理由による。

最初はこの曲のメロディライン、よくつかめなかったが、最近ではモウすっかり頭に入るようになった。

と同時に、ある曲と非常に似たものを持っていて、最近ではこの主題曲と、その曲が入り交じってしまうようになってきた。

最近の作曲家は既存の有名曲をすこしモディファイ、3拍子を4拍子に変えて細部をすこしいじるだけだったり、よく聞くとメロディラインの一部の音の上下を反対にするとか、原曲と同じ音型だが使い所を変えてみたり、色々な小賢しい手管を使って、オリジナル曲のように見せかける技法が蔓延しているようで、その事はとくに劇伴音楽に多くて、サスペンス2時間ドラマには、その典型が多く登場する。

コンピューターに記億させ、パーツに分けたものをランダムに」配置したり音型を逆にしたり、人間が思いつく以上のことをコンピューターにやらせて、その中から気に入ったものを繋げてしまうといった方法をとっているらしいと推測させるような作品が多くなっているような気がしてならない。

だからよく聞くと、どこかで聴いた曲に似ているという現象が起こるのではないか。

昔のことならば、引用か模倣かという議論は有るだろうが、単純ナそれは、何か後ろめたさを感じるような所があったし、それが楽曲にも表れてくるから、そういうものは評価の対象にはならないことが多かった。

しかしいまはどうだろう、そういう作曲技法(そう呼ぶことが正しいかどうか別にして)を、あからさまに使ったと思われる曲がヒットしたり評価される時代になった。

今や作曲家が芸術の担い主の一人であるという感覚などは無くなっていて、マスコミ傘下のドラマ作成要員の一人という感覚が強くなってしまった。

スピードが楽曲の質よりも優先されてる時代であるから、むかしのように1つ1つ気を入れて丁寧に曲作りしていたら、商売にならないのだろう。

その意味では、先人の作った、そして評価がある楽曲を土台にして作ってしまえば、早く簡単に、そしてうまく化粧すれば、模倣あるいは寸借だとはバレることなく、オリジナルとして、ひょっとすると評価がついてきて、金になるかも知れないから、思わずやってしまう人もいることだろう。

イヤそういう方法を後ろめたいなどとはまったく思わないで、売れれば評価が定まったと同じだからと、そう言う手法で多作に走る人がいてもおかしくない時代なのだ。

先ほど調べて椎名林檎の自作自演とわかり、驚いたのだが、このカーネーションの主題歌、プッチーニの『ジャンニ・スキッキ』の中の、娘ラウレッタのアリア「私のお父さん」と、非常によく似ている。

うまく応用したという感じでチョット聴いただけでは、なかなか難しいが、もうすっかり頭に入った昨今の段階で聞くと、「私のお父さん」が潜んでいることが見えてきて、今や頭の中で両者の混同すら覚えるようになってきている。

椎名林檎が意図してやったとは思いたくないが、「私のお父さん」が彼女の耳に馴染んでいて、思いついたメロディが、結果として酷似したのかも知れないが、使われている音は殆ど同じだし、途中までは実にソックリさんで、拍子が変わるところを除けば、二卵性双生児と言ってもおかしくはない曲に聞こえる。

「娘とお父さん」が、隠れテーマで共通性がある、「ジャンニ・スキッキ」と「カーネーション」。

愛娘ラウレッタの結婚のために、莫大な遺産を横領したスキッキ。
娘のデパートの制服の仕事を支えるため、後先を考えないで、店の反物を全部売り払ってミシンを買ってしまう頑固親父。

いつもは娘の言うことなど絶対に聴きはしない頑固おやじだが、実は娘を愛していて、世間から何を言われるかも知れないことを承知で、娘のために、思っても見ないことをやってしまう父親、というところで共通性を持つ2つのドラマだから、その代表である「私のお父さん」を真似るのは筋は通っている。

椎名林檎が意識してやったとすれば、彼女は別の意味での天才と評価しないでもない。
「私のお父さん」には、それだけの力があると思うし、椎名林檎はきっとこのアリアをよく聴いていたのだと思っている。

単純メロディ寸借詐欺ならばモンダイであるが、共通フレーズ「私のお父さん」からの発想となると、にわかに違う意味を持ち、そして椎名林檎というSSWの才能が窺えることになる。

小生は椎名林檎のことも歌のことも詳しくは知らないが、プロフィール情報から、今まで作った曲のタイトルや、吉田戦車の漫画の笑いの要素が分かる女性なら、「私のお父さん」が有名なジャンニ・スキッキ、プッチーニのブッファオペラの隠された笑いの意味を、理解していたことと推定するのである。

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by noanoa1970 | 2011-11-04 10:13 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(6)

Commented by こぶちゃん at 2011-11-04 12:06 x
椎名林檎からプッチーニを連想するとは驚きました。

椎名林檎は間違いなく天才だと思いますが、どこか病んでます。
ウィキで彼女の略歴を辿るとそれは一目瞭然だと思いますが、クラシックにも造詣があると思わせたのが、以下の曲でした。

茎(STEM)〜大名遊ビ編〜
http://www.youtube.com/watch?v=K58hOW2ZdRs

ある一定以上の装置を持っている人には、好ましくない音質。全編英語詞ですが、オーケストレーションの中に揺蕩うメロディが好きで今もたまに聴いています。

確か10年位前同僚だった女性が好きでカラオケで歌ったのを聴いて原曲が聴いてみたくなったと記憶してますが、どこかオペラ=蝶々夫人を連想するような映像がYouTubeで観れます。
Commented by noanoa1970 at 2011-11-04 12:47
こぶちゃん さん
今聞きました。
ペンタトニックスケールの単純な曲ですが、ドビュッシーの和声ライクなものを巧みに使った編曲のすばらしさとあいまって、彼女の歌声の気だるさがリアルに伝わって来ました。
大名遊びといってますが、浄瑠璃の語りと歌劇マダムバタフライを意識していると、小生も思いました。
「語り」のような歌が特徴のような気がします。
Commented by Abend at 2011-11-04 22:10 x
sawyer様、こんばんは。
40年前にNHK「みんなのうた」でペギー葉山が歌って有名になった「小さな木の実」は、ビゼーのオペラ「美しきパースの娘」のセレナーデをアレンジしたものですが、その後もクラシック系女性歌手が多くカヴァーした中で、椎名林檎が歌ったこの曲を聴いた時は衝撃的でした。これも含めて、YouTubeから幾つか挙げます。
1 ビゼーの原曲
http://www.youtube.com/watch?v=FF5a5Yk6TwU
2 ペギー葉山
http://www.youtube.com/watch?v=3deM19KySes
3 蒲原史子
http://www.youtube.com/watch?v=hBqoHIW9hoE&feature=related
4 鮫島有美子
http://www.youtube.com/watch?v=Gx9mUyg3rFU&feature=related
5 椎名林檎
http://www.youtube.com/watch?v=ykna0LFRnVM
Commented by noanoa1970 at 2011-11-05 08:55
Abend さま、おはようございます。先ほどきかせていただきました。それぞれに良さがあります。40年前の「みんなのうた」でしたか、これは懐かしですね。パースの娘はウォルター・スコットの原作ですが、少年期ラジオ番組でやっていた「アイヴァンホー」はよく聴いていました。ウォルター・スコット原作「アイヴァンホー」と言うところから始まるので記億があるのでしょう。椎名林檎は、名前だけ知っているSSWでしたが、なかなか面白そうな、今の若者とはすこしベクトルが異なる人種のように思います。エリック・サティを密かに愛好しているような気がします。
気になってアイヴァンホーを検索すると、ノルマン人とサクソン人、ユダヤ人、十字軍などの歴史上重要なことや、ロビンフットも登場するといったもののようです。小生は冒険話しとして聴いていたような記億がありましたが、スコティッシュの作家はいずれもが根に深い歴史を背負っているような気がします。
Commented by Abend at 2011-11-05 21:51 x
sawyer様、こんばんは。
ウォルター・スコットは、ドニゼッティの『ルチア』やロッシーニの『湖上の美女』の原作者としても有名ですね。『アイヴァンホー』は、私が生まれた頃に、若き日のロジャー・ムーア主演のTVドラマがありましたが、ラジオドラマにもあったとは初めて知りました。人気ラジオドラマの多くは、TVドラマにリメイクされましたね。
椎名林檎はアイスランド出身の歌手ビョークのファンらしいのですが、声も歌い方も似ています。
Commented by noanoa1970 at 2011-11-06 08:34
Abendさま、おはようございます。
新諸国物語という架空時代劇ドラマがありました。それと平行して、西欧の話をドラマ化した番組があって、「三銃士」「岩窟王」などのシーリーズに「アイヴァンホー」もありました。
新諸国物語の大半はTVや映画化されましたので、アイヴァンホーなどもそうだったのでしょう。西欧の物語は登場人物の名前を覚えるのが難しく混乱も大きかったので中味はよく覚えてません。原作者の名前は、最初にナレーションされるので、今でも憶えていました。
後に知ることとなったのですが、福田蘭童を知ったのも笛吹童子のナレーションからで、福田蘭童は「海の幸」を描いた天才画家青木繁のたった一人の遺児であり、福田蘭童の子供がクレジーキャッツのピアニスト石橋エータローであったとは驚きでした。石橋は青木の孫ということになりますね。