ある解決案

以前小生は、「モーツァルトP協奏曲20番、23番演奏の疑問」と題するブログ記事を書いたことがあったが、そのときの疑問は、ついぞ解決が出来無いままにいた。

しかしごく最近、おそらくそういう理由であろうと思われるものを、見つけることが出来た。

以前のブログ記事になった疑問が、いかなるものだったかを簡単に説明すると、通常演奏されるのは、序奏の後にピアノが徐に出るものだが、グルダ/アーノンクール盤での23番、(一般的ではないので恐縮だが、)パウムガルトナー/ブレンデルの20番の音盤では、いずれもオケの開始と同時にピアノが演奏されている。(本日改めてグルダ/アーノンクールで26番を聞きなおしてみたところ、少々分かりにくいが、ここでもピアノが冒頭から参加していることが判明した)

ブレンデル/パウムガルトナー盤が、一般的でないというのは、「ザルツブルグモーツァルティウム管弦楽団創立50周年記念アルバム」廃盤に収録されているからであり、本CD意外には発売されてないようで、聴くチャンスが殆どないと思われるからである。
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オケと同時にピアノが弾かれる演奏は、特殊な演奏のように思えるが、かつてのブログ記事は、「いったいなぜに、このような演奏法を採用したのか」その理由が知りたいと言う内容であった。
さらに別記事にもこのことに関連した記事を書いているから、よほど気になっていたことだったのだろう。。

指揮者かピアニストかと言う、かつての推論が目に、浮かぶが、同じ指揮者でも同じピアニストでも、そういう演奏法ばかりを採用しているわけではないことから、そのとき採用した楽譜によるものかもしれないと推理をしてみたが、楽譜に記載があるものは、発見できなかったから楽譜によるものでもなっそうだ。

さまざまな情報の中に、100%信用して断定してよいものではないが、一番説得力有るものを取り挙げることにした。

モーツァルトは、自身の曲を自ら弾くことが多かったようで、そのことからオケとピアニストが分離された関係性を嫌っており、自分のオケであるかのように、振る舞い扱うことを好んだとされる。(指揮振りをやったとも考えることが出来るが、検証はしていない)

其れがゆえに、序奏が終了するまで、何もしないで、ピアノの前に座ってじっとしていることが我慢できなかったという。

(小生は音響効果が背景に有ったのではないかと思っていて、少ない人数のオケの音の隙間を、ピアノが埋めることで、音の幅が広がると言う相乗効果を狙ったのではないか)

だからオケの入りと同時にピアノのモーツァルトが弾くことで、その両方の思いをかなえたこと、それに音楽的には、カデンツァにあたる即興性の強いものが、冒頭にも聞こえるから、キャッチーで、観客も熱心に聴くだろうし、結果十分な満足感を得やすい。

目鼻をつけると、つまりは、モーツァルトのワガママと、カデンツァライクのものを前に持ってくると言う発想は、大事な観衆の視覚と音響効果アップを考えたことが導いた結果であったと言うことになる。

それらの仕掛けは、相互作用となり、新しい曲が評価を得易くなるであろうことを、モーツァルトはよく知っていたのだろう。
以上がモーツァルトのピアノがオケと一緒にスタートする背景であると理屈付けことが出来るものだ。

もちろん楽譜にも記されてないから、モーツァルト時代の演奏上の慣習であると言う説、モーツァルト固有の方法だとする説があり、断定は出来ないが、どちらもいちおう考慮に値する。

ともあれ、小生が奇異に感じた演奏をした彼等の誰かが、こういう研究成果から、モーツァルトの演奏法であろうものを踏襲しと言うことになるが、其れが可能であった人物は、グルダでありパウムガルトナーであり、自アーノンクールでもあり、自身のカデンツァを書いているハスキルであったということなのか。

ブレンデルは、了解の上、パウウガルトナーに従ったのではないだろうか。

推測だが、そのような研究成果を知っていると思われる、自ら研究熱心な演奏家、グルダであり、パウムガルトナーであり、アーノンクールならば、モーツァルトの方法を使用したであろう可能性は、確かにありそうだ。

共演者やオケと合意が出来れば、この時代の慣習説、モーツァルトの個人趣味説の演奏法を、実行するのは決して困難なことではない。

つまりは彼らは、モーツァルトの研究成果を、実によく捕らえ知っていた積極的な演奏家だったと言うことがいえる。

小生もそうであったが、初めてこの演奏を聴いた時には、奇妙なところなどは無く、遊びの要素を限りなく味わうことが出来、音楽がすごく身近で親しみ易くなったように感じたものだったが、其れに似たような感触を、当時の聴衆も感じたかもしれないと思うと、とても楽しい気分になれた。

もちろん以上は推理の部分が相当存在するから、断定は出来ないが、それでも今のところ、一応は合理的な推論で、其れを信じるに足るのではないだろうか。

検証に近いものとして、(小生自身は、昨今流行のピリオド系統の演奏は、一分を除き殆ど聴いたことがないが)、もし研究熱心なピリオド系統の彼らが、モーツァルト研究の成果としてこのことを反映していれば、上で挙げたものと同じスタイルの演奏が存在していたとしてもおかしくない。

もしあったとすれば、上記の推論は、おおよそ当たっているということになるのではないか。

(他の番手でもかまわないですが)特に20番23番で、もしピアノオケ同時進行する演奏ご存知あれば、ぜひともご教示いただきたいと願うものです。

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by noanoa1970 | 2011-10-16 00:01 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(7)

Commented by Abend at 2011-10-16 15:33 x
sawyer様、こんばんは。
フンメルによる室内楽編曲版を使っているのではないでしょうか。
ピアニストの白神典子が、この版で3枚のCDを出しています。
http://www.hmv.co.jp/news/article/511180064/

ナクソスで20・22・25・26番が聴けます。試聴してみましたが、室内楽版ですとピアノで補強する方がいいですね。


http://ml.naxos.jp/album/BIS-CD-1147
Commented by noanoa1970 at 2011-10-16 18:06
Abend さま
ご教示ありがとうございます。
フンメルとは意外でした。グルダ/アバドの3楽章がフンメルのカデンツァです。先ほどサンプルを聴きました。
よく似ていますから其の可能性は大と思いますが、すべてフンメルを踏襲したのか、カデンツァで比較しようとしましたが、時間時間切れでかないませんでした。しかしモーツァルト研究の権威、パウムガルトナーのことですから、モーツァルトの弟子の楽譜を研究したと推定することは容易でしょう。室内楽編を応用した可能性は大ですね。フンメルの編曲の意図が大事になってくるようですが、手っ取り早く演奏できる協奏曲風のピアノ四重奏といったところでしょうか。フルート入りピアノ四重奏とすることが可能ならば、ピアノがすぐ参加するのは当然ですね。補強という音響的意味合いもあることでしょう。モーツァルトがオケとの共演で自身でやったことを踏襲したと言う考えも成り立ちます。パウムガルトナーやグルダは、フンメルを通してモーツァルトのピアノの当初から参加の意図を汲み取ったとも言えるのではないでしょうか。
Commented by HABABI at 2011-10-16 21:18 x
sawyerさん、こんばんは

(先に届いたコメントは、書き込み中のものが、操作ミスで届けられたものですので、削除して頂けると幸いです。)
パウムガルトナー/ハスキル/ウィーン交響楽団が1954年10月11日に録音した20番のLP(FG-211)を持っていますが、それではピアノは序奏部からは弾いておらず、普通のものになっています。多分、別な録音なのだろうと思います。
演奏者が、独自に音符を変えて弾くことは珍しくありませんが、元々の楽譜にない音をオケに被せるのには、何か特別の意図があったのでしょうから、それを探るのも、面白いと思います。HABABI
Commented by noanoa1970 at 2011-10-16 21:58
HABABI さんこんばんは
先のコメント今気がつき削除しておきましたが、其の前に少し心配になり、聴きなおしたり以前書いた記事に付けられたコメントを読み返したりしました。なぜか特に冒頭の録音状態がよくないので気がつきにくいかと思われますが、オーディオ、音楽ともに造詣が深いSNSの友人も、ピアノが弾かれることを確認したようでしたので、自信を持ったというわけです。ただ何度も言うようですが、ネットからのDLですし、録音が芳しくないので、判別がむずかしいのは確かで、ひょっとすると、弾かれてなくほかの音がそのように聞こえるのかもしれません。同じようなポロロンポロロンという低い音は再現部で単独で出てきますが、小生には冒頭で弾かれるものと同じに聴こえました。http://sawyer.exblog.jp/10635204/ハスキル盤のコメントはここから
録音年は月表示は無く、1954とだけなっていますが同じ音源の可能性は大きいでしょう。加工の仕方やマスターリングが違うことはありえますね。
Commented by noanoa1970 at 2011-10-16 21:59
続きです
グルダ/アーノンクールの20番にしても当初は気がつかなかったでしたが、どうもそうらしいと気がつき掲示板にその旨書き込むと、ただ一人からそのとおりと言う答えが返ってきましたので、気がつかない人もいるのではないかと思いました。微妙な聴こえ方ですから、環境によっては何かとかぶり、聴こえないこともあるでしょう。26番は実に分かりにくかったですが、CDPを変えてからようやく分かるようになったところです。いずれにしてもハスキル/パウムガルトナー盤、正解を出すにはかなりむずかしい音源です。念のためハスキル/スボボダ盤1951を聴きましたが、やはりパウムガルトナー盤は違う音が混ざっているように聴きました。いろいろ条件も違いますから同じ音源でも違って聴こえて当然かもしれません。
Commented by HABABI at 2011-10-16 23:36 x
sawyerさん、ご返事ありがとうございます。

書いて頂いた次のことろで、音源(ソース)が違うのではないかと思いました:
>特に冒頭の録音状態がよくないので・・・
>ネットからのDLですし・・・

録音状態は、途中で変わってはいません。ホールの響きを感じさせる自然な残響を伴ったモノラル録音で、少し大きめの音にすると、意外と臨場感のある録音です。この録音では、管の音がよく聴こえて来ます。ハスキルのピアノは、大きい音ではありませんが、音に陰影を付けながら堂々と奏でています。これも、味わいのあるいい演奏です。HABABI
Commented by noanoa1970 at 2011-10-17 01:37
HABABI さんお手数です。
別音源かどうかはわかりませんが、別ソースであることは間違いないようですね。
お時間をとっていただきありがとうございました。
またのご指摘ご指導よろしくお願いいたします。