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ワルターの音盤、音質がいいのは

ブルーノ・ワルターといえば、小生の少年時代憧れの指揮者であった。

トスカニーニやフルトヴェングラーの演奏がいかによくても、音盤はモーラルばかり、家庭用の一体型ステレオ装置から出てくるステレオ録音の音響は、非常に魅力的であった。

しかも演奏云々などからはまだまだ遠い存在であったから、音のよい音盤が宝物のように大事にされた。

しかしその時代は、おいそれと新譜レコード盤が買えなかったから、出始めた廉価盤を購入してもらうか、穴空き盤を狙うか、コンサートホールソサエティの配送を待つかしかなかった。

それでもなんとしてもワルターのレコードが欲しくてたまらなく、友達の家にあるのを頼み込んで貸してもらったりした。

運命/未完成のカップリングで、未完成はNYPとの録音であった。
1958年録音で、小生がが聴けたのは1961.2年のことだから、当時の国内レコード発売事情からすれば、そんなに遅いことではなかったようだ。

少し残響を伴い、ステレオ装置から出てきた音は、それまで溜まったどの音盤よりも素晴らしかったので、子供ながら感動し興奮したことを思い出す。

結局大学生になるまでワルターの音盤を買うことがかなわず、大地の歌、モーツァルト後期交響曲集、序曲集、レクイエム、ワーグナーハイライトあたりにとどまることとなり、CD時代に入って買い増しをした。

しかしどの音盤を聴いても、少年期の家庭用のステレオ装置から、出てきた音に勝る音質の音盤が無かった。
それがステレオ録音に最初に接したという、非日常的体験がもたらした錯覚、幻想の思い出でだったとは思うが、今聞いてもあのときの瑞々しい音響が聞こえてこないのlは事実である。

学生時代に購入したキンピカの醜いジャケットのCBSコロムビア発売の、モーツァルトの39.36.40番はジャケットに似合わない結構よい音がしたが、それに比べてもCD初期に発売になった、いずれのワルターの音盤も、がっかりしてしまうほど質のよくないものばかりであった。
360soundというキャッチで売りだされたCBSコロムビアの一連のレコード。
初期のものに近いためか、マスターの状態がよかったせいで音質は結構よかったが、詰め込み過ぎの欠点である内周歪が強かった。
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そんなわけで小生は、ワルターの音盤から遠ざかり、ほかの演奏家のものを聴くようになって久しいある日のこと、転勤した職場の友人から荷物が届いた。

彼はアナログ再生をすっかりやめてしまい、CDオンリーの、しかもCDPをパッシブプリアンプを経由して、パワーアンプに接続するというシンプルなものに買えたので、不必要となったレコードを小生に送ってくれたというわけだった。

中にワルターがベートーヴェンを振ったものが3枚あって、「田園」、そして「運命/未完成」それに「英雄」で、昔とはジャケットは全く違うが、中身は定評ある憧れの音盤だ。
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いずれもCBSコロムビアからSONYになって発売された音盤だが、「田園」と後の2つでは、ジャケットデザイン、レーベルデザインもさることながら、音質に明らかな違いがあることに気がついた。

「田園」はレーベルが、あの白と青の配色のブルーノートに似た、SONY初期からのものだったが、ほかは2枚ともにCBSコロムビア時代を髣髴させる落ち着いたトーンのものになっていた。
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これまで聴くのを躊躇っていたのだが、今まで余り聴いてなかった音盤を積極的に聴いてみようと思い立った先月から聴き始めていたが、どうやらワルターの音盤の出番となったというわけだ。

一聴してすぐに分かったことは、3枚ともに1958年録音とは思えないほどの音質であったが、「田園」とそのほか2枚では、明らかに質が異なっていて、「田園」はアナログ的よさは感じるものの、今一歩透明感と定位が甘く、優れた録音だとは思うが、50年代後期のステレオ録音の限界かという様相を呈した。
そして「田園」は、カッティングヘッドを、従来使用していたSX-68Ⅱから最新鋭のSX-74に代えての製作であるということであった。


なぜにかくも違う音質の音盤となるのか、その秘密を探ろうと付記された資料他から、「田園」ではSX-74ノイマンカッティングヘッドを使って、プレス方法はダイレクトメタルスタンパーという方法で製作されたとあった。

専門的になってしまうが、(デジタル)マスターよりカッティングしたラッカー盤に、メッキをかけて作った最初の金属原盤を、そのままスタンパーとしてプレス機にかけたもので、限定枚数しか製作できない方法であるという。
そういえば音盤の音質のよさを表現するのに、カッティングマシンの型番を使う宣伝は、SONY始めそこそこあったような記憶がある。当時は意味さえ分からないまま納得した、というより、させられたというほうが当たっていた。

「田園」はワルターの数々の再販の中では、相当ましな音質であったのだと思うが、今でも通用するものを持っているのが確認できた。
ただあえて言えば先に書いたようなところが少々不足している。
50年代後期の録音にしては上出来だが、音楽的雰囲気が物足りないというのが小生の総合印象である。

「田園」に比べ「運命」、「英雄」では、さらに音質がよくなり、音の鮮烈さ、透明感、音場感、個と全体のバランスが優れた立体感、奥行き感が加わり、50年代後半とは決して思えない見事な音質であった。
ジャケットのそっけなさとは逆の、中身の濃いレコードとなった。

上のの2枚に、なにか音質面を改善した特徴があるのか探ってみると、ジャケットの下部右側に、金文字でNEW REMIXED MASTERと表記があった。

何を意味しているかと解説を読むと、CBS倉庫に眠っていた4チャネルオリジナルマスターテープを、録音製作を手がけたプロデューサー、ジョン・マックルーアが改めてトラックダウンし、デジタルリマスターを製作したものをプレスしたのだという。仕様機材は最新とあるだけでSX-74云々の説明は無いが、違いはオリジナルマスターをトラックダウンしたこと、ワルターの演奏録音に多く携わったという、ジョン・マックルーアの耳と技術によって、デジタルリマスターリングされたということだった。

其れまでの音盤のキャッチに現れているように、音盤製作の機材を売りにしていた広報戦略から、マスターリングエンジニアの耳と技術、そして最初からワルターの録音に携わったというお墨付き戦略へと変化したことに答えがあるように思う。

「田園」もわるくない音質の音盤であったが、「運命未完成」、「英雄」では、「田園」に少々あった不満はほとんどなくなって、音量を上げ気味にして聴くと、ヒスノイズは仕方ないとすれば、最新デジタル録音のCDに勝るとも劣らない質の高さをを発揮した。

ブラインドテストをしたら、アナログの音とは絶対に分からないと思う。

むしろ小生はデジタル録音デジタル処理されたCDよりも、こちらの方のシャープだが柔らかい音色と、SPをいっぱいに広げつつも、楽器の定位がよく、オケの配置が見えてきそうな再現性を伴い、角が取れ響きの柔らかい弦と、鋭い金管、そして木管の鄙びた音、どこにいるのか分かりにくい低音楽器、打楽器陣の位置などがよく見えてくるこれらの音盤が好みである。

定位と上下左右の立体感、絵画の遠近法ライクなものこそが、たとえば掛け合いにおいて、対抗する音の距離間でが分かり、合奏の際にハ-モニーの裏の音がよく分かる、つまり演奏空間と和声の本来の音の形がハッキリと分かるような性質を持っていることがよく分かる。
よい音で鳴っているというばかりでなく、珍しくもアトモスフィアを感じさせる音響空間が存在するということである。

モーツァルトではすぐに其れと分かるルフトパウゼ・・・小生はワルターパウゼと呼ぶことにしているが、今まで気づかなかったが、ベートーヴェン演奏にも存在することが分かるのは、変な残響を抑え、楽器の自然な響き、ホールトーンのようなものに主眼を置いたマスターリングによるものであろうか。

そういえばついこの前、「運命と田園」という、CDならではのカップリング音盤を入手したが、これが以外や以外、期待を大きく上回るハイグレードな音質の音盤であった。
DSDマスターリング、ルビジウム・クロック・カッティングという技術を使用したと書いてあるが、プロデューサーのジョン・マックルーア、エンジニアのウイイリアム・ブリテンのオリジンルマスターに忠実なデジタルリマスターを行ったこと、其れを可能にした再登板の彼等の耳と、最新技術があいまって、限りなくアナログに近い音質の最初期盤に近いと推測される音盤が完成したのだろう。

CD製作に関与したのも、ジョン・マックルーアであったことは、ワルター音盤で音質のよいものは、ジョン・マックルーアが製作に立ち会ったものに限るということになる。

多分ワルターぐらいの指揮者になると何十回となく再発されたことと思うが、満足度の高い音質の音盤を選択するとして中古レコードであれば、、ジョンマックルーアが製作指揮をしたCBSコロムビア初期盤か、CBSSONYのNEW REMIXED REMASTER盤、それに現在発売中のDSDマスターによるCDのいずれかでなくてはならない。
CBSコロムビアの初期盤360soundもなかなかよいと思う。
sonyの白と青のレーベルのレコードと、3500円時代のCDは絶対避けるべきだと小生は思っている。


現在発売中のCDも、いつ何時廃盤になって、また新しく再発の憂き目となるか分からないから、今のうちに入手しておいたほうがよいだろう。

こればかりではないとは思うが、音質の決め手は、カッティングヘッドや機材もmさることながら、其れを生かすことが出来るミックスダウン、トラックダウン技術者の耳であるということだ。

EMIの音盤の極端な音質の違いも、それに携わりマスターを製作する人如何にかかわっていたのかも知れない。

最近そういう傾向にはあるが、CD製作会社は、製作にかかわる情報を、今いっそう濃いものにする必要があろう。

音盤は指揮者とオケなどの演奏者だけで出来上がるわけではないから、エンジニアのプロフィールも必要とされる時代になったことに、気がついていただきたいものである。

by noanoa1970 | 2011-10-07 23:02 | オーディオ | Comments(13)

Commented by noanoa1970 at 2011-10-08 22:22
ベイさんこんばんは
ブログを書いてから気づいたんだけど、マックルーアの関与の具合によって相当音質が違うようです、最近のDSDマスターリングの「「運命/田園」では、4チャンネルのマスターの程度のよいものが残っていたのを利用し、マックルーアがデジタルリマスターリングをやったという、まるで最初期のレコードと同じような状況下で製作されたということです。年代別にいくと、最初期83年盤にもマックルーアの関与があります。高城重躬によると、オリジナルマルチテープからジョンマックルーアがリミックスしたという。
Commented by noanoa1970 at 2011-10-08 22:23
続き
そしてだからマスターテープ並の素晴らしい音のCDになったといっている。
しかし小生の耳にはこの35DC番号の音質は、22年前のマスターテープのミックスからカッティングし、マスターを国内に持ってきてプレスしたLPよりも劣るように思います。帯域が狭く息が詰まりそうになり、聴いていてワクワクするものが何もない感じです。デジタルマスターリングの技術的問題か、マックルアーの関与度が低かったせいかもしれません。
Commented by noanoa1970 at 2011-10-08 22:23
96年発売のSRCR番号のCDは、MASTER SOUNDというキャッチで、SBM,PDLSといった技術を用いて、マスターリングされたとうたっています。しかしマックルアーの関与については記述がありませんし、どのマスターテープが使用されたかも分かりません。83年盤と同じマスターテープの可能性もあります。
この音質は、83年盤に比べ、ハイもローもカットしてないらしく、表情が細やかになります。しかし特に弦の音色のつややかさは、初期に近いLPにはかないません。音が荒いのもきになります。
Commented by noanoa1970 at 2011-10-08 22:24
LP再発の連続でマスターテープを使い倒した結果上体の完全といえないものまでは使われたのだと思います。CD初期の発売に近い少し前に製作発売された、ブログ写真の運命/未完成および英雄は、オリジナル初期盤に相当近い音質になるよう、デジタルリマスターリングを行っていると思われ、立体感、定位、広域と低域のレンジ幅が相当広くなっています。SBMCDは其れに近く、透明感や定位は十分ですが、立体感に乏しく、弦の音の艶やかさに、今一欠けるようです。
96年のCD、SICC番号は、2CHのオリジナルマスターテープが経年変化を起こしたのか、使用不可となったようで、手付かずで残っていたと思われる4CH用のマスターから2CHにトラックダウンしたことが鮮度の大きな違いで、その上にDSDマスターリングとルビジュームクロックカッティングという新技術を採用したこと。さらには、デジタルマスター製作あたり、マックルアーが全面的に力を注いだこと。
ようやく必要3条件がすべてそろって出来上がったCDといえるでしょう。
Commented by noanoa1970 at 2011-10-08 22:24
実際に聞けば分かることですが、90年盤の欠点を全て解決した音質になっていて、初期盤あるいはそれに近い国産LPと殆ど遜色のない音になっています。SONYが意地をかけて製作したCDであると言って過言では無いように思います。もちろん再生装置側の問題もあり、音の好みの問題もありますから、決め付けは出来ませんが、少なくとも、情報量が多いことと、至極音楽的になっていること、ワクワクドキドキ感があるので、最後まで聞きたいという欲求に満たされること。新しい発見があること。それらが、其れまでのCDとの大きな違いだと思います。SACDやブルーレイディスクは聴いていませんが、元ネタが新鮮なのだから、きっと素晴らしい音となっていると推測します。
Commented by noanoa1970 at 2011-10-09 04:48
ベイさんおはようございます。
小生が評価してない35DC盤について、以下のような記述もあります。また中身は米国直輸入であったと言う話もあります。情報が錯綜しているので真実が見えません。
『35DC版というのは、CD時代の初期に、ワルターの録音がCD化した時のCBSソニー (当時) の国内盤、「35DC」で始まる品番のものを指します。ワルターの音楽を愛する人たちの間では「最初にCD化された音源が、一番音が良い」と言うことになっており、珍重されているようです。』国内盤という言葉でプレスまでが国産というイメージになってしまいますが、輸入盤を国内販売したということとが正しいのなら、こういう記述が誤解を招きますね。音質的に小生には、ハイもローも抑えてしまったチジコマッタ音に聞こええてしまいます。
Commented by noanoa1970 at 2011-10-09 04:48
この83年の音盤のマスターリング、マックルアーが直接関与した唯一のマスターリングのCDということですね。そしてマックルアーの関与がこれ1度と言うのは、それぞれの時代の今回の発売に関してそれぞれ関与したように書いてあるので、解説からは読み取れませんで、したが、一番情報源に近いベイさんがおっしゃるのなら、正しいのでしょう。
それぞれの解説書には、マックルアーの関与が、発売になるCDのうち数回はあったように書いていますが、実は83年の35DC盤のことを言っていたわけで、時系列表記がない記述を小生が今現在のことと読み違えたようです。
つまるところ最新だと思われるCD(96年と誤って書きましたが実は2008年の間違い)発売のDSDマスターリングのものも、ベイさんご指摘のように、源は83年のマックルアーのマスターリングで、それを踏襲したと言うことになり、製作過程の技術的革新が、更なるよい音が可能になる要因となっただけのことということになります。
つまり殆ど全てにおいてマックルアーが、初期CDのために製作したマスターリングが使われていると言うことになります。
Commented by noanoa1970 at 2011-10-09 04:49
よってマックルアーの関与度云々よりも、其れをどのように改善して仕上げたかが音の違いを産む大きな要因となったということになり、小生の推測は当たってないことになります。
マックルアーを神様のように扱った上手な広告戦略に引っかかってしまいましたが、DSDリマスターリングの音盤は、小生の知る限り、アナログの音盤の音質に近いように思います。マックルアーのマスターリングの直接の産物の35DC盤は、外見的付加価値がついた評価でしかないように思いますが、あのような音がよいという人が存在しているのも事実。
音のよしあしの感覚は非常に個人的なことだから、其れもアリなのでしょう。
Commented by HABABI at 2011-10-09 09:24 x
sawyerさん、おはようございます

ワルターの「田園」は、我が家に、1962年発売の日本コロムビアのLP(OS-194)、1980年代初め発売のCBSSONYのLP(15AC-1271):没後20周年特別企画、1990年代前半発売のベートーヴェン交響曲全集の中のCD(MK-42012)、1999年発売のSACD(SRGR 707)があります。傾向は、三つに分かれます。①最初の日本コロムビア盤は、残響が多く、ヴァイオリンと低弦のバランスが良く、適度に奥行きを感ずる、②CBSSONYの再発盤は、残響が減り、低弦が強調され、ヴァイオリンが引っ込み気味、しかし定位は少し平板気味、③CDとSACDは残響が多く、バランスは②と同様で低弦が強調され、ヴァイオリンが引っ込み気味で、かなり奥行きを感ずる。
②と③の残響の差は、LPとCD/SACDの差でしょうから、これを考慮すると、①対②③の二つの傾向と言ってもいいと思います。
私は、耳になじんだ①に特別の愛着を覚えます。
Commented by noanoa1970 at 2011-10-09 14:24
HABABI さんこんにちは
今回お持ちの音盤を聞き比べていただき感想を述べていただいたこと感謝です。
①は小生も親しんで聞いた音盤と同じだと思います。詰襟の指揮服を着たワルターの顔写真のクロっぽいジャケットではないでしょうか。(運命、未完成盤と交差しているかもしtれませんが)少年期に友達から借りて聞き、その後入手して聞いた懐かしいものですが、一体型ステレオから、えもいわれぬ音が鳴り響いた思い出があります。
62年盤ですからCBSのマスターやスタンパーが新鮮なときだったわけで、プレスさえ良ければ音質は輸入盤と遜色ないはずです。小生はこの初期レコードの音を髣髴させてくれるCDとして、今現在は2008年のDSD盤を揚げましたが、アナログが手元から消えてしまったため、聴くことがかなわなくなったのが残念です。
Commented by noanoa1970 at 2011-10-09 14:24
続きます
なじんだ音盤でもあると同時に音質も良いから、アナログに長く親しんできた人には、特に62年盤は最上級に聞こえることでしょう。
田園のSACD、まだ聴いていませんが、成功したものとそうでない、CDと余り変わらないものがあるようですが、果たしてどちらなのか気になるところです。シュタルケル/ドラティのドヴォコンが余り変わらなかった経験でした。演奏比較よりも、音源がいっしょで違うメディアや異なる発売時期のもので比較するのは、結構手間がかかりますね。今の時代全てやると言うことは、贅沢すぎる遊び、と言うよりれっきとした研究にあたいするでしょう。
Commented by HABABI at 2011-10-09 18:30 x
sawyerさん、こんばんは

田園のLPジャケットは、ベートヴェンの像を背景としたワルターの顔の絵で、詰襟・・・の写真のものは運命/未完成の方です。
私は、この録音に関し、多分、ステレオ効果を強調して奥行き感を出すことと、多分、数も少なく響きの上で難のあった弦楽器群、特にヴァイオリン群を如何に処理するかが制作時の課題で、それで残響が付加されているのではないかと推測しています。
日本コロムビア盤は、実にバランスの良い(もしかすると、ヴァイオリン群を強調し、低弦を抑えてバランスをとっている)好録音です。LPは、大抵、最初に発売になったものが、一番いい音ですね。
低弦を強調したリミックスの狙いがよく分かりませんが、その狙いの他、この作業をした時のモニター装置(スピーカー等)の影響とか、とにかく、何かが違っています。
SACDでは、低弦が床をよく振動させてくれ、奥行き感、空気感も豊かですが、音楽を聴く上では、最初のLPの方が良いです。
Commented by noanoa1970 at 2011-10-09 20:31
HABABI さんこんばんは
案の定記憶違いでしたが、田園のジャケット、ハッキリ記憶が戻りました。このころのワルターのジャケットは、顔写真を使ったものが多かったですね。普通これだけあの顔を見るといやになってしまいますが、ワルターはそうはならないのが不思議でした。
残響付加についての見解は、とても説得力がある洞察だと思いました。リミックスでの低音強調はそのころの家庭用再生装置、たとえばミニコンポのような、低音の再現力に乏しいものをターゲットの1つにしたためではないでしょうか。
聴いていて疲れることが少ないのは、なじんだLPであるということですね。小生も同じような傾向があります。
ダイナミックレンジ幅が特に広いSACDは聴き疲れするかもしれませんね。