神無月の朝はショーソンでも、そう思ったが

八百万の神々が、こぞって出雲に出かけてしまう10月。
大多数の土地土地から、土着の神がいなくなる。

普段神を意識したことは無いが、10月はほんの少しだけど、神様を気に留める事が出来る月。
居なくなることで意識させるとは、神様も皮肉な性格をお持ちのようだ。

ここ数日で、めっきり秋らしくなって、蝉時雨がいつの間に虫の音に変わっていて、風を入れるため窓を開る夕方になると、蟋蟀、邯鄲、青松虫が競うように鳴き始める。

蝉もそうだったが、これらの虫たちも同様に、人間が音楽の音を大きくすると、負けてなるものかと彼らもいっそう声を張り上げる、其れがまた面白い。

もう少しすれば、馬追いも鳴くだろう。
おととしは松虫とクツワムシが鳴くのを耳にすることが出来たが、今年はどうだろうか。

昨夕・夜聞こえてきた虫の声の印象が強い今朝、聴く音楽が決まらない。
それでもなにか無いかと暫く探して、これにしようと決めたのが、ショーソンの「ピアノ、バイオリン、弦楽四重奏のためのコンセールOP.21」という変わったもの。

曲も演奏者も変わり者で、曲は総勢6人の超変型スタイルで、バイオリンソナタ+弦楽四重奏、あるいはピアノ五重奏+バイオリン追加、またはピアノトリオ+ヴィオラ、バイオリンなど、さまざまな内訳が出来そうなスタイルだ。

このような変型スタイルは、それまでお目にかかったことが無かったが、曲が気に入ってというより、テラークという高音質録音で知られるレコード会社製作だったから、というほうが当たっていて、デジタル録音のアナログディスクの音質を確かめたかったこともあってのことだった。

クリーブランド弦楽四重奏団は理解可能だが、追加バイオリンがローリンマゼール、そしてマゼールの奥方のイスラエラ・マルガリットがピアノを担当するという奇妙な取り合わせは、マゼールが当時クリーブランド管の首席指揮者だったことで、理解できることである。

一説に、マゼールのバイオリンはソリスト級だとのうわさを聴いたが、かなり難曲だといわれるこの曲を弾きこなせるということは、噂は真実である公算が強いようだ。

曲想は、ずばり「瞑想」といってよいと小生は想う。
そして遠くない位置には、フランクが、フランクのバイオリンソイナタがあるように感じられて仕方が無い。

まだまだなじみの曲になってないが、想像以上のできばえの曲で、かなり高感度が高い。

しかしこの曲、気分が滅入ってくるようで、早朝聴くには相応しくない。

早朝には、やはりプーランク、其れも「牝鹿」「オーバード」がよいようだ、「ピアノ協奏曲」も入れなくては。

残念なことに、テラークの割には、音がザラツイテ、すべての楽器の音が、電気をかませたような音になってしまったが、おそらくこれはプレスの悪さが原因だろう。

盤面を透かして見ると、すぐに分かるぐらい、溝が結構な荒さであるが、ダイナミックレンジが高い性ばかりではなさそうだ。

録音状態のよいことを、髣髴させてくれるようなところが見受けられるだけに、そしてテラークオリジナル米国プレスだけに非常に残念だ。

ショーソンがなぜこのような変型スタイルで作品を書いたのか、其れを解き明かすだけの音楽的ヒント、すなわち音質が不足していて、ハーモニーが適正に響かないため、解答を得ることがかなわなかったのは残念だった。

ダニエル・マジェスクさんは、クリーブランド管のコンマスである。
1979年だからデジタル最初期録音だ。初期デジタル録音は、当たり外れが多かったように記憶する。
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Ernest Chausson: Concert, op.21
Lorin Maazel (Vn)
Israela Margalit (Pf)
The Cleveland Orchestra String Quartet
{Daniel Majeske (1st.Vn), Bernhard Goldschmidt (2nd.Vn),
Robert Vernon (Vla), Stephen Geber (Vc)}
(Rec. 4-6 May 1979、Severance Hall、Cleveland、Ohio)
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by noanoa1970 | 2011-10-01 11:56 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(4)

Commented by Abend at 2011-10-01 23:10 x
sawyer様、こんばんは。
2泊3日で検査入院をしていました。激痛系の病気を数種類体験している私ですが、入院は初めてでした。DMPを持って行って聴いていましたが、室内楽を入れて行ったら良かったと後悔しました。
マゼールのヴァイオリンがソリスト級というのは知っていましたが、その腕前を耳にしたことがなかったので、玉稿を拝見して俄かに関心が湧きました。彼が少年時代に指揮をしている映像を観て、凄いと思ったことがあります。近年では、ニューヨークPOを率いての北朝鮮公演など、ユニークな活躍をしていますね。
Commented by noanoa1970 at 2011-10-02 03:37
Abend さま
検査入院お疲れ様でした。激痛の病気とは心配なことです。
持病は小生にもありますが、痛みが無いだけに余計厄介かもしれません。
うまく付き合っていって下さるようお祈りいたします。

マゼールのバイオリン、思った以上の腕前で感心いたしました。
少年期から才覚を発揮した、何をやらしてもそつが無い指揮者ですね。

お互いがまだ少年時代に、ホロヴィッツ唯一の弟子となった、バイロン・ジャニスとの共演で、ラフマニノフの2番を演奏したという話は聞及んでいます。
昨日バイロン・ジャニスの協奏曲集の格安盤を発注したところでした。「The Legendary concerto Recordings」BRL9182
ブリリアント発売、マーキュリー音源、4枚BOXで2000円を切る安さでした。ラフマニノフ、チャイコ、プロコ、リスト、シューマンと聴きなれたものばかりですが、ジャニスはまとまって聴いたことが無かったので。
北朝鮮での公演、ニュースで取り上げていましたね。新世界より他がプログラムのようでした。
マゼール、80歳を超えているけど、まだまだ若く見えます。ここらで決定的な仕事をしてほしいものですね。
Commented by Abend at 2011-10-02 21:56 x
sawyer様、ありがとうございます。
バイロン・ジャニスとは、うれしい限りです。ジャニスは、オグドン、パネンカとともに、好きなピアニストの一人です。ご注文なさったのは、PHILIPS輸入盤で出ていた"GREAT PIANISTS OF THE 20th CENTURY"シリーズのBYRON JANISⅠ・Ⅱ(各2CD)をボックスにしたものですね。私はⅡの方と、シューマン、チャイコフスキーのP協を収めたマーキュリーの日本盤を持っています。Ⅱの方には、リスト第1、プロコフィエフ第3、ラフマニノフ第1&第2、チャイコフスキー第1に、プロコフィエフのトッカータ、シューマンの『クララ・ヴィークの主題による変奏曲』が収録されています。
Commented by noanoa1970 at 2011-10-03 14:12
Abend さま
60年代初めはバイロン・ジャニス、しばらくしてヴァン・クライバーンが知れるところとなりました。中でもジャニスのラフマニノフは演奏録音ともに評価が高かったです。コンヴィチュニーがSKDを振ったベト4画初出され、カップリングには2度目の「家庭交響曲」、そしてグルダとのモーツァルト23番協奏曲と、ザルツブルグ音楽祭の興味をそそる音源で発売されましたので、早速注文して期待して待っているところです。