壊れたCDプレーヤーの話
今から約15年ほど前のこと。
愛用してきた117V仕様のメリディアン207Ⅱを、そのころ流行った電源クリーンと昇圧を兼ねる機械を使って100→120Vに増圧して使用していたが、ある日のこと、この電源装置が壊れたせいで、207Ⅱを100Vで使用すると、コントロールができなくなってしまった。
再度電圧を上げる機械を購入しようかと思ったが、これだけで相当の出費だし、使用しだして20年近くなる間に、デジタル技術は極端に進歩しているから、新しい機種を調達したほうが良いと思ったが、メリディアンのアナログ的な音質が魅力的だったから、どうするかしばらく躊躇していた。
何か掘り出し物はないかと、オーディオ専門店街を物色していると、昔から知っている中古専門店に、新品の箱が5.6個並んでいて、よく見ると、フィリップスCD950とあり、それがCDプレーヤーであると知った。
価格は65000定価→35000、安売りの理由はわからなかったが、このぐらいの値段のCDプレーヤーなら、電源装置を購入するよりもかなり安上がりだし、もしダメでも繋ぎに使用できればよいからと思って購入することにした。
今思えば、CD951という新製品が出たから、950は旧製品となってしまい、在庫処分品として中古屋が格安で仕入れて、売りさばこうとしたと考えられるが、950と951はほとんど変更箇所がなく価格も同じであるから、欲しい人にはものすごくお買い得であったように思う。
視聴して驚いたが、35000円のCDプレーヤーとは到底思えない音がしたので十分追い込んで使用すれば、メリディアンに劣らない音がするのではと、期待感を持って本格設置した。
使用されている、スイングアームCDM-9、ビットストリーム方式1ビットDACのDAC-7は、国産プレーヤーの高級機が採用しつつあったもので、アナログ的音質のよさで評判のメカであった。
定価65000という安価なものにまで、こうしたメカを採用できるのも、メカそのものを製造しているからであろう。
1992年発売ベルギーで作られたCDプレーヤーであるが、1994年には951へ変更されていているから、わずか数年の寿命でしかなかったようだ。
小生が購入したのが1995年か6年ごろだったから、既に950は生産中止になっていて、だから投売りされていたのだろう。
そんな事情はまったく知ることなく、ただ安かったから、ダメモトで、暫く繋ぎに使えればよいというつもりで購入したのだった。
価格からは想像できない音質のよさに大満足して、それから役5年余り使用したが、あるときclose/open
ボタンを押してもトレイはうんともすんとも言わなくなり、CDの入れ替えができなくなってしまった。
トレイ開閉のモーターは回っているようだから、たいしたことはないのではと思いつつ、無理やり引っ張り出して、ギヤやベルト他のなにかが破損するのもいやだと思い、修理の機会を探るべく、暫く冬眠状態にすることに決め、SACD、DVDオーディオの音に興味が出始めたこともあって、パイオニアのマルチディスクプレーヤーを購入することにした。(950は機種はギヤを使用している)
CD単体プレーヤーに比べれば、音質低下は仕方がないと思ったが、SACDとDVDオーディオの音を想像し、そしてレーザーディクスプレーヤーにDVDプレーヤーを追加したかったので、音質劣化は承知で踏み切った。
しかしマルチディスクプレーヤーにもかかわらず、以外にも音質はかなり良いもので、デジタルオーディオの進歩葉、相乗異常に激しく、プリとの間にデジタル雑音除去を目的として、トランスを入れ込むことで、単体プレーヤーと遜色ない音質になった。
今も使い続けているが、不満はこれといってない、しいて言えばピュアオーディオからは遠くなったという、精神的な弱みがあって、ピュアオーディオだったら、さらに良い音がするのではないかという気持ちが、どこかに存在しているのは事実だ。
でももう10年以上使っているが、どうしても機械を変えなくてはならないという欲求を、起こすことがなかったということは、ほぼ満足であるとして良いと思う。
一昨日のことだった、棚のレコードの位置を入れ替えるため、壊れて使えなくなったフィリップスのCD950をいったん床に下ろそうとして持ち上げたとき、前面が傾いて下のほうを向いたせいで、音も立てずに、なにかがスルット滑り落ちできた。
なんとそれはCDの挿入口、トレイと呼ばれているものではないか。
壊れたと思い、手で開けるのを躊躇したのに、こんなことでほとんどスムーズに滑り出すとは。
音は出るのかどうか、それを確認するために、取り回しが楽なSTAXのシステムに接続し、ヘッドフォンで聴いて確認してみようと思い立った。
つかみ所がないので多少てまどったが、割と簡単にトレイが手動で開いた。
CDを挿入し今度は手動でトレイを閉めた。
ERROR表示が出たので、ダメかと思ったが、トレイを手動で閉めた後、CLOSEボタンを押すと、READING表示に変わり、やがて時計表示になったので、あわててヘッドフォンを装着し、アンプのヴォリュームを上げると、音はきちんと出ているではないか。
CDレンズクリナーを数回まわして掃除してから、視聴に入った。
多少操作に手間がかかるが、LPに比べればどうと言うとはないから、嬉しさがこみ上げる中、次々とソースを変えて、まったく問題ないことを確認した。
調整が終わって、ほぼ満足できるようになった現装置に繋いだら、どんな音が聞こえるか、大いなる興味を持って先ほど接続を終え、10年間電源を入れてなかったプレーヤーを、慣らすために、現在「ワルキューレ3幕」を流している。
まだまだ長時間のエージングが必要だと思うが、今でも音質はすこぶる良い。
マッシブになってきたことや、中低域が充実したこと、トラック終了のフェードアウトする時のリアリルさがよく出ていて、余韻が楽しめるようになった。
濁りがちだった「TRIO」での、ドリー、リンダ、エミルーが重なる声の濁りがより少なくなった。
音の定位が、今までで一番良くなった。
デジタル臭さがほとんどないのが確認できた。
16BitDAC、CDM-4採用のメリディアンとよく似た雰囲気の、アナログ的な音質であることが改めて確認できた。
CDプレーヤーの最新機種と比べると、設計が古いだけに性能面では太刀打ちできないとは思うが、CPを考えればものすごいものがある。
ブラインドで聴けば、僅か35000円のプレーヤーとは誰も思わないであろう。
オーディオの面白みはこういうころにもある。
先ほどネットでCD950情報を取得して見たが、評判は概して良いようで、中古でも人気があるようだった。
デザインや操作ボタンなど難点もあるにはあるが、音質に限ると評価はかなり高い。
ただ小生と同じトラブル、トレイの開閉ができなくなったというものが相当数あって、950の欠陥的問題がそこにあって、したがって951というう製品を急遽出したのではないかと推測してしまったが、発売開始して2年しか経たないのに時期製品を出すことを考えると、そしてトレイの開閉のトラブルが多いこと、性能の変化はほとんどなく価格も同じであることを考え合わせると、当たっているかもしれない。
それで、音が出ること、トレイの開閉は手動で可能なこと、音質はとてもよく金日いるレベルで鳴ってくれて、さらに追い込めばメイン装置として十分通用しそうなことなどを考え合わせ、手動式CDプレーヤーとして使っていくことに決めた。
リモコンが使えなくなったが、小生はもともとリモコンをほとんど使用しないから、どうでも良いことだ。
機械のボタンですべてのことが可能であることも幸いした。
壊れて使えなくなったと思っていたものが、チョットしたハプニングが元で復活した。
こういうことに出くわすと実に嬉しいものである。
by noanoa1970 | 2011-09-20 15:56 | オーディオ | Comments(9)
今のところは手動で何とか操作できてますが、もうリモコンの受け側もダメになっていますし、時間の問題で屁たると思います。950は安価ですが音は非常に良いので永津使えたらと思います。修理はご自分でなさるのでしょうか。結果が出ましたら是非教えてください。また部品調達などのようにしたのでしょうか、これについても、よろしければご教示いただけると助かります。
そうですね、ピックアップの寿命はまもなくかもしれません。でも心配無用です。たしかCDM-9はいまでもユニットやピックアップが部品供給されている(サードパーティかOEM元による製造のよう)ので修理できるはずです。
部品はインターネットでたしか台湾から購入しました。ebay やaliexpressなどで見つかるとおもいます。
リモコン受光部は汎用品が流用できるはずです。これは100円程度です。
私はリモコンがなくて残念な思いをしています。
修理は自分で行う予定です。すでに壊れたギアは大昔に取り出しているのでつけるだけです。たしかトレーを駆動する黒いゴムベルトの伸びによるすべりもあったような気がします。
隠れた名作ですよね。私にとっては950はフィリップス製品全般が好きになったきっかけのひとつです。ミニマルなインダストリアルデザイン、質実剛健、合理主義がツボです。ぜんぜんちがう方向性ですが、オフホワイトカラーのヤマハのISシリーズ(IS-44など GKデザイン)を彷彿とさせます。
色入りとご教示有難うございます。
オーディオ技術には全く乏しいので、小生の場合は修理業者頼みになるかもしれませんが、完全に壊れた場合でも望みがあるとは嬉しいことです。メリディアン207MKⅡが眠ったままですからこちらも修理効きそうですね。
情報ありがとうございました。
修理方法を拝見しましたが、細かい作業が出来なくなってしまいましたので、少々小生には荷が重いです。
幸いなことに、似たような音のメリジャン207が復活しましたので、もっぱらそれで聞いております。
いずれは2つともに修理の時期が来ると思いますので、950を早めにメンテしてもらおうかと考えています。