for sentimental reasons

リンダ・ロンシュタットという歌姫は、ロック、ジャズ、カントリー、フォークロック、オールディーズ、スタンダードとそのレパートリーは多岐に渡る。

クイーンがヒットさせたWe Will Rock Youをカバーしたヴァージョンでもお馴染みであるとおもう。
イーグルスをバックにしたものいいし、JD・サウザーや先に貼り付けたランディ・ニューマンなどSSWとのデュエットも良い。

特にカーラ・ボノフとJD・サウザーは、リンダのために何曲も提供している友人でもある。
バックを務めていたイーグルスを含め、ファルセットヴォイスをあしらった、ウエストコーストのカントリーフォークロックの香がする彼らの曲はとりわけて愛聴している。

ドリー・パートン、エミルー・ハリスとの3人が共演した、愛をテーマにしたカントリーソング集の「TORIO」「TRIOⅡ」は、3人の個性がよく出ていて、それぞれが順番にメインで歌うときの他の2人のバックコーラスも素晴らしい特別なアルバムだ。(TORIOⅡでランディー・ニューマン(Randy Newman)のFeel's Like Home」をカバーしている)昔小生の再生装置もそうであった時があるが、今歌っているのが3人のうちの誰か、コーラスの下と上のラインが誰であるかがわからないようでは、再生装置としては失格だといえそうだ。
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そして意外だが、さらなるお気に入りは、ほとんどLULABY中心に収録した「愛の贈りもの」 Dedicated To The One I Love は、リンダ・ロンシュタットの隠れ名盤で必聴の1枚である。
ブラームスからビートルズまで幅広い「おやすみの歌」を収録したアルバムだ。

彼女はどちらかと言うと、カバー曲が多いが、それらはオリジナルを凌駕することも多く、彼女の音楽的基礎と経験の上に成立つ実力を感じさせるものばかりだ。

彼女の声質は、聞けばリンダ・ロンシュタットであることがすぐに分かってしまう独特なもの。
ビブラートをほとんどかけずに、しかも腹式呼吸で長い息継ぎから出てくる芯のあるトーンは、特に長音で驚く程の伸びと張りのある声を聞かせてくれる。

音程の確かさや天性とも言うべきリズム勘、そして音域の広さも、多くのジャンルをカバーするためには必須条件だが、彼女は良き作曲陣や編曲者とめぐり合うことによって、この上なく素晴らしい音楽アルバムを、かなりの枚数供給し続けてきた。

我が国にも「徳永英明」という、カバー曲重点の歌い手がいるが、音程も性格、特に高域で伸びのある声、ビブラートレス歌唱など、リンダ・ロンシュタットとの共通点が多い相当の歌唱力の持主である。

リンダ・ロンシュタットは、ファッションセンスにも優れており、自分が似あうファッションをキチンと心得ていて、西洋人形のような顔と相まって、いつも実年齢を超えた若さがある。

そんな彼女のアルバムで、もう1つ抑えておかなくてはならないもの、それはオーケストラをバックに歌ったスタンダードナンバー集であろう。

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本日はその中から、「ネルソン・リドルと彼のオーケストラ」をバックに、有名なスタンダードナンバーばかり収録したアルバム「sentimental reasons」を聴いてみた。
「WHAT'S NEW」「LUSH LIFE」に続くスタンダード集である。

youtubeにB面最後に収録された、レコードタイトルと同じ曲があったので貼りつけておく。


ネルソン・リドルはビング・クロスビー 、ナットキング・コール、フランク・シナトラ、エラ・フィッツジェラルド、ローズマリー・クルーニーなどの歌い手の編曲とバックで有名、映画音楽まで作曲したアレンジャーの雄で、マーティ・ペーチと双極をなす。

この組み合わせのアルバムが、良くないはずはないことは、聞く前からわかっていたが、一体どのようなアレンジがされ、リンダ・ロンシュタットは先人たちが歌ってきた、有名なスタンダードンンバーをいかに表現し歌っているかが興味の的だ。

そしてさらに録音再生がが難しそうな、リンダ・ロンシュタットの声を、いかにリアルに表現豊かに捉えたのかも興味があったし、QUADから変更を余儀なくされたが、調整がほぼ終わり満足できるようになったYAMAHAで、再生が難しいヴォーカルでも、本当に満足を得られる再現性を見せてくれるのか、それも興味深かった。

出来ればCDとLPのの彼女のヴォーカルの再現性を比べてみたい。

最も注意して聞くべきは、彼女が高域で長く伸ばした時の音。
録音はもちろんだが、再生装置の調整が悪ければ、とたんにその粗をもろに出してしまうことは、過去に何度も経験したこと。

ほとんど掛けないビブラートも、小節のそして曲の後半になると、ほんの少しだけ掛けて主演を迎えるのがか彼女のパターンでもあるが、その時の声の変化・・・少しだけ鼻に抜きながら掛けるビブラートが特徴の彼女の声と、それにともなって起きるほんの僅かな声の揺れを、キチンと再生できるか否か。

あとはこういう大規模オーケストラをバックにする際起きがちな、オケの音量とソロ歌手のバランスの悪さ、指揮者の技量、録音エンジニア、プロデューサーの耳に大いに関わるが、殆どの場合、強めに出てしまうオケのそれぞれのパートが、ソロ歌手を活かすために、いかにセーブされているか、しっかり音を捉えながら、ソロ歌手の歌を邪魔しなく、さらにいうならば、双方の音が独立しながらも一体感があるという難しい課題に答えられているか。

ネルソン・リドルは百戦錬磨の大家であるから、そのあたりは十分心得ているはずだから、録音と再生側にゆだねられるものが大きいだろう。
そして、特にスタンダードカバーアルバムだからこそ、演奏側録音側すべての関係者の、音楽的知見とセンスが試されるところである。

相当厳しいチェックポイントになったが、これぐらい解決できないようでは、ベテランとは言えないから、期待を込めて聴いてみた。
当然再生装置のチェックも兼ねてのことだ。

ヴォーカルはアナログディスクに限るというのが、小生の持論だから、もちろん、CDではなく、LPレコードである。(時間が許せばCDとの比較も面白いと思う)

録音は数々の名録音のプロデューサーとしても、音響技術者としても、ミキサーとしても知られた存在の、チーフエンジニア、ジョージ・マッセンバーグの手になるもので、彼の手になるリンダ・ロンシュタットのアルバムは数多い。

彼は他にも超一流音楽家たちとの録音に多く携わったことは、ウイキペディアに詳しい。

取り上げたレコード、さすがは超一流のエンジニアであることがわかる録音で、小生が上げた課題をほとんどクリアーしているのには正直驚いてしまった。

さらに、再生が難しいから、録音も難しいであろう彼女の声は、いささかも破綻すること無しに、彼女の声質を完璧に近い状態で捉えていて、もし聞いていて問題があるならば、それは多分に再生装置に起因すると思ってよいだろう。

幸い曲の一部にだけ、最高音で耳障りになることがあったが、過去に聞いた時と比べると、全く出てくる音や響きが全く違う。

以前の再生装置では録音の良さが出しきれなかったので、あまり聞かなくなっているものも多いが、もう一度すべての音盤を聞きなおす必要を感じた次第。

小生の今の装置の音は、結果、気づけば無意識に、壊れて久しいQUADの音に近づいたようになったが、ある意味ではQUADを凌駕するように鳴り響くことが多くなって、満足度の高いものになってきた。

リンダ・ロンシュタットの声が、これほどまで美しく可愛く、時には精悍で勇ましく逞しく聞こえた経験は、今までしたことがなかった。

少ししか時間がないなか、CDを聞いてみたが、全体的にウスッペラな声で、満足度はLPの方に軍配が上がりそうだが、今後じっくり聞いてから判断をするとしよう。

オケとヴォーカルの絶妙なバランス感覚、それはジョージ・マッセンバーグならではの真骨頂なのであろう。

弱小時でもキチンとオケの音が伝わってくるし、ツッティでも決してヴォーカルを妨げないのは、鍛錬された耳と革新的技術だけがなせる技。

派手さはないが、録音の質も素直で自然な、あまりお目にかkれない素晴らしく良い音盤であるから、オーディオチェックのリファーレンスとしても活躍スルだろう。

ジョージ・マッセンバーグがプロデュース&エンジニアリングをした「TORIO」は、LPもCDも持ち合わせているので、次回はこれでCDとLPの差を追及して見ることにする。

果たして本当にヴォーカルはアナログが良いのかを。

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by noanoa1970 | 2011-09-11 00:12 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(7)

Commented by HABABI at 2011-09-11 04:51 x
sawyerさん、おはようございます

エミルー・ハリスの1981年のアルバム"Evangeline"の中に、ドリー・パートン、リンダ・ロンシュタットと3人で歌った"Mister Sandman"が入っていて、当時よく聴いていました。ラジオでも聴いていました。私が、丁度、ナッシュビルで二度目の学生生活を送っていた頃で、ラジオからは、よくカントリーソングが流れていました。懐かしく思い出します。
Commented by noanoa1970 at 2011-09-11 09:28
HABABI さんおはようございます。
カントリー、フォーク、ブルーグラスのメッカ、憧れのナッシュビルにおられたこと思い出しました。機会あれば行ってみたい街で、グランド・オール・オプリー 、ライマン公会堂などエミルーが録音した場所も魅力的です。「TORIO」の前に3人が会したものを作っていたこと、はじめて知りました。Mister Sandmanとは、子供を眠らせる妖精で砂男と呼ばれていますね。ブラームスは「眠りの精」としてさっきょくしています。あいにくアルバムEvangelineは所有してませんが、Evangelineは、のちの「デュエット」そして初期の「ザ・バンド」のラストワルツでレヴォンヘルムと歌っていました。
彼女はギブソンのギターを使うことが多かったようです。胴の部分に真っ赤なバラをイラストしたギターが印象的です。
チェットアトキンス、マーク・ノップラーのスーパーセッションで、ゲストで登場した時の「プレシャスメモリーズ」という曲はよかったです。
Commented by こぶちゃん at 2011-10-05 19:35 x
子守唄は隠れ名盤の一つはその通りですね。エフェクターかけまくった分、マイナス点もありますが、もしこの曲を子守唄に育った子供がいるなら、さぞや性格の良い子になるだろうな…と思います。
オリヴィア・ニュートン・ジョンにも似た同趣向のアルバムがありますが、こちらも名盤です。
ネルソン・リドルとの共演した三枚は録音&内容ともにポップスの名盤であると共に、リドルの遺作…確か最後の録音だったはず。
このアルバムでリンダはポップ・カントリーシンガーから、米国を代表するシンガーになりましたね。
エラ・フィッツジェラルドはVerveでガーシュウィン・ソングブックをリドルと録音していますが、格は違えど見劣りしないのは素晴らしい。

さて、他にもいくつかありますので、そちらはまた。
Commented by こぶちゃん at 2011-10-05 19:50 x
1.リンダに大きな影響を与えた第一人者は西海岸人脈よりも南部リトル・フィートのローウェル・ジョージと言われています。リッキー・リー・ジョーンズをデビューさせた人でもあります。
2.リンダの代表作はグラミー賞を取った「風に消えた恋」の他、「クライ・ライク・ア・レインストーム」。特に後者の出来は素晴らしく、20年以上経った今も私の愛聴盤の1枚です。
3.隠れた名作には、自身のルーツでもあるメキシコ民謡のアルバムも中々の出来です。機会があれば、こちらも是非。
4.カントリーロックから民謡、スタンダード・ナンバーまで、多岐にわたるジャンルを歌いこなす歌唱力。本当に沢山の良いアルバムを作っていますね。
5.最近はもう声が出ないらしく、ここに挙げたような素晴らしいアルバムは残念ながら無いようです。寂しいですが、年齢を考えたら仕方ないですね。
Commented by noanoa1970 at 2011-10-06 08:32
こぶちゃんさんおはようございます。
博学のこぶちゃんさんならではの情報ありがとうございます。
昨夜は自身のブログチェックせずに眠ってしまいました。
返事が遅れましたこと、お詫びいたします。

リッキーリージョーンスをデヴューさせたローウェル・ジョージの影響が大きいとは全く知りませんでした。

化粧が割りと濃いほうなので分かりませんでしたが、メキシコがルーツというのも以外です。
そういえば其れらしい曲を歌っていたのを聴いたことがありました。
小生はリンダロンシュタットはウエストコーストの歌い手とのコンビのものがとりわけ好きですが、スタンダードジャズを歌う彼女も好きです。
ライブを体験したかった歌い手の1人です。
今日は「simple dreams」を聴いてみようと思います。
Commented by こぶちゃん at 2011-10-06 23:41 x
http://www.geocities.com/musashi43ht/japan/column/column011/

かなり詳しいローウェル・ジョージの話です。リンダは親友とあり、彼女のアルバムにはローウェルの曲が沢山入っています。
今は亡き米国版「南沙織」ことニコレット・ラーソンもローウェルと親しかった一人で追悼コンサートにはリンダと出演しているとのこと。

リンダは独墨の血筋と言われてます。墨西哥のアルバムはCanciones De Mi Padre。全曲スペイン語のアルバムです。
Commented by noanoa1970 at 2011-10-07 08:50
こぶちゃんさんおはようございます。
さらなる情報感謝です。
父方がメキシカンだという話がウイキにありました。
昨日聞いたアルバム「simple dreams」のなかの「Calmerita」もメキシカンの雰囲気で、確かラジオからマリアッチが聞こえるといっていたように記憶します。
このアルバム、バックコーラスに、ドリー・パートン、ドン・ヘンリー、JDサウザーという大物が起用されています。凄いことです。