4つの最後の歌・・・「9月」を聴く

9月にちなむクラシック曲といえば、どうしてもずばり、この曲に行きつく。

小生は、カラヤンとヤノヴィッツの録音が好きなのだが、歴史的録音としても、演奏内容から言っても、ホウボウで絶賛されている、フラグスタートがフルトヴェングラーのバックで歌ったものを聴くことにした。

未だフルヴェンの音盤は所有してないので、著作権切れの音源を集めたWEBよりDLして聴いた。
MP3で圧縮されているが、もともとが古い音源だから、そんなに問題はなく、十分に聞けるものだ。

この音源はライブ録音で、R・シュトラウスが亡くなって数ヶ月たった頃の世界初の演奏録音である。

小生は第1曲(通常は第3曲)「眠りにつくとき」のヴァイオリンのソロの部分が大好きで、聞くたびに感動させられる。

以前N響が演奏したとき、ヴィブラートをタップリとかけすぎたヴァイオリンソロ演奏を聞いて、この楽曲の意味がわかっているのだろうかと、随分がっかりした覚えがあった。
楽曲よりも、自己アピールが強い印象の演奏は、其れだけでこの曲全体を破壞してしまった。

そういう意味で、この楽曲におけるヴァイオリンソロは、詩の内容をを理解した上でなければ、決して成り立つわけがないが、さすがにカラヤン、セル、フルトヴェングラー指揮下のオケのコンマスは、N響のそれとはちがう。

美しく響かせることは必要だが、この楽曲の場合、過多なヴィブラート頼るのは、もっての外であろう。
技術的には西欧の演奏に勝るとも劣らないとは思うが、こういうところに、其の差が表れてしまう。

「9月」の」詩と訳は以下の通り。

Der Garten trauert,
kühl sinkt in die Blumen der Regen.
Der Sommer schauert
still seinem Ende entgegen.
庭は喪に服し
雨が花々に冷たくしみ込む
夏は震える
静かにその終わりを待ちながら

Golden tropft Blatt um Blatt
nieder vom hohen Akazienbaum.
Sommer lächelt erstaunt und matt
In den sterbenden Gartentraum.
金色の葉が次々と
高いアカシアの木から落ちる
夏は慌てて物憂げに微笑む
絶えてゆく庭の夢に

Lange noch bei den Rosen
bleibt er stehn, sehnt sich nach Ruh.
Langsam tut er
die müdgeword' nen Augen zu.
長い間薔薇の傍らに
夏はたたずみ、休息を望む
そしてゆっくりと
疲れきった目を閉じる

第4曲はアイヒェンルドルフの詩によるが、あとの3曲はヘッセの詩によるもの。
フルトヴェングラーは、3→1→2→4の順にしているが、人生の終焉を前にした夫婦が、昔の日々を回想して現実を目の当たりにした魂を、安らかに保とうとするかのようで、この順番にしたのは大いに説得力がある。
さすがはフルトヴェングラーだ。

録音の具合を考慮しても、フラグスタートの歌唱はヴィブラートを押さえ気味で好印象である。
高域から低域までストレスガ全くない歌唱力だ。
ワーグナー歌手と言われるのが十分うなづける。
シュバルツコップも良いのだが、この曲にはそもそも合ってないように、いつも思っていて、それはコロコロと転がるような美声による所が大きいのだと思う。

ヤノヴィッツは自然に創り上げた陰影が印象的な歌唱で、弱小音がとくに素晴らしい、そしてカラヤンが珍しくと言っては失礼だが、BPOをモノトーンに仕上げたことも、この楽曲に大変そぐわしい。

(3)「 眠りにつくとき "Beim Schlafengehen" 」
(1) 「春 "Frühling" 」
(2) 「九月 "September"」
(4) 「夕映えの中で "Im Abendrot"」
キルステン・フラグスタート(S)
フィルハーモニア管弦楽団
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)

 録音時期:1950年5月22日(ライヴ)
 録音場所:ロンドン、ロイヤル・アルバート・ホール

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by noanoa1970 | 2011-09-03 09:46 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(3)

Commented by HABABI at 2011-09-04 16:42 x
sawyerさん、こんにちは

「4つの最後の歌」は、ある日曜の夕方、シュヴァルツコップ達の演奏を半ば夢うつつ状態の中で聴いて、特別な思いをして以来、その演奏への執着が強くなりました。凄く濃密な曲、演奏だと思います。

さて、9月といって思い出したのはサイモンとガーファンクルの「4月になれば彼女は」です。2分弱の短い曲ですが、4月から9月まで月ごとのことがそれぞれ短く歌われ、端折って書けば、「4月になってやって来る彼女との新しい恋は、9月には古いものになっていることを思う。」という内容で、9月で歌が終わります。映画「卒業」のサウンドトラック版のLPに入っていた曲ですが、今はそのLPはなく、それをオープンリールテープに録音したものが手許に残っています。聴いてみると、多分、録音したとき、サテンのカートりージを使ったらしい独特の響きが残っています。
Commented by noanoa1970 at 2011-09-04 22:18
>サイモンとガーファンクルの「4月になれば彼女は」
S&Gベストアルバム「明日に架ける橋」に入っているのを良く聞きました。「エイプリル・カム・シー・ウィル」は、最初変な英語で意味がよくわかりませんでしたが、多分音楽的に入れ替えてあるのだろうと、後で気づいた覚えがあります。
エコーが乗った録音という記億があります。
探して聞いてみようと思いますが、この音盤は音が良くないのが欠点です。CDを数枚入手しましたが、どうもS&Gは全体的に録音がかんばしくない印象です。



Commented by noanoa1970 at 2011-09-04 22:26
シュバルツコップは完璧と言っても過言でない歌唱です。
アッカーマンとの古い録音をDLしましたが、セルがバックの歌唱と大差がない印象です。
ただ1つだけ、彼女の声がかわいすぎて、この楽曲にそぐわない、其れだけがひっかかります。
ノーマン、カナワ、カーサ、そしてポップをyoutubeで聴きました。
小生がこの曲で求めるのは、彼女たちのような声質なのです。
ヤノヴィッツもそういう意味では、100点とは言えません。

ポップが以外に良かった印象です。
ショルティとカナワの組み合わせは気にいってしまいました。