不思議なレコード・・・2

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上のEMIの廉価盤ELECTROLAのレコードジャケット、右上角には、茶色のシールが張られている。
拡大するとこうだ。
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なぜこのようなことを行ったのか。
その疑問は以下のジャケットとセンターシールを見ることで解決がつく。

下の写真は仏パテ盤の、非常に評価が高い、ミンシュとパリ管のブラームス1番の交響曲。
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ジャケット右上隅には、拡大すると以下のようなロゴマークが記載されている。
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当時のヨーロッパの国の殆どでは、有名な犬のマーク、HMVのニッパー君は、EMIが使用権を持っていたようだ。

しかし、輸入先がたとえば日本だとすると、日本では日本ヴィクターがヴィクター犬と呼ばれた陶器の置物が、ヴィクター製のステレオ装置を買うと、必ずついてきたように、ニッパー君の使用権者は日本ヴィクターであった。

それで下のセンターシールのように、何かを隠すようなシールが上から貼られていたものもあった。
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このことは、何を隠そうニッパー君の姿をシールで覆い、輸入元の権利を侵害しないような配慮だったのだ。

しかるに、輸出先に合わせて専用に作るというわけにいかないから、このような見っとも無い方法として、輸出先か、輸出元か、あるいは扱いの輸入商社か、いずれかにおいてシールを貼って、商品として成立させたものだろう。

このやり方は、一番上の写真のように、輸入盤でかなり見る事が出来るが、さらに不思議なのはすぐすぐ上の写真、仏パテ盤のミンシュのブラームスだ。

ジャケットの右上隅のニッパー君は、これが正規のマークだと思うのだが、EMIのロゴと一緒になっている。

しかし中身のレコードのセンターシールには、おそらくそこにニッパー君があったと思われる上から、EMIオンリーのロゴマークが貼り付けられている。

ジャケットには、当時の正規EMIのマーク、すなわちニッパー君が存在するものそのままなのだが、何故か中身ではそれを消している。

これでは意味がないように思うのだが、その理由とはいったい何であろうか。

このレコードの制作はフランスのパテ。
フランス国内ではニッパー君の使用権は、やはりEMIが持っていたのだろう。

ヨーロッパで流通するのには、ジャケットはEMI正規のままで勿論よかったが、この仏パテ盤を、直輸入することになった扱い業者が、日本に輸出あるいは輸入するに当たり、ニッパー君の使用権問題があって、日本ヴィクターともめるのを恐れ、それを隠すシールを貼ったのだと推測される。

ではなぜジャケットのロゴは、そのまま正規のものが付いたままになっているのか。

ニッパー君を隠すのならジャケットもシールを貼らなくてはならないはずだ。

このことが不思議でならないから、かなり考えた挙句、ジャケットの該当部分を、人差し指の腹でなぞってみると、他の部分がスベスベなのに、なんだかザザラザラしていて、シールか何かが貼ってあったことを示す、糊が塗られていたあとのような感触だった。

この部分のニッパー君の個所には、おそらくシールが貼ってあったのだろう。
それが何らかの拍子に、剥がれてしまったと考えるのが正解ということになろうか。

いずれれにしても、輸入盤にはこのようなことが多く、また当時のレコード業界は、海外と国内での協力関係の大きな違いがあることを教えてくれる。

EMIも国内では東芝エンジェルレコード以前は、違うメーカーがタイアップしていたが、近年業界は幾度も再編を繰り返し、今は複雑すぎて何が何だかよくわからなくなってしまった。

以前ブログに書いたことのある、カラヤンとウイーンフィルのベト7、小生所有のレコードは、日本ヴィクターだが、音源はDECCAである。
DECCA音源の多くは、日本ではキングのロンドンレコードより発売されたが、グラモフォン発売のものにも使用されたことがあった。

東ドイツのエテルナ音源が西ドイツのオイロディスクに貸し出され、西ドイツでレコード化されたということもあったようで、この業界の貸し借り・・・「トラ」の存在は、昔からあったようだ。

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by noanoa1970 | 2011-03-11 09:00 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)