SQ方式レコードでのパールマン

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昨日と同じジュリーニの録音。
イツァーク・パールマン、CSO:シカゴ交響楽団との演奏である。

Angel SQシリーズという、これも廉価盤である。
SQとはSTEREO QUADRA PHONICの略語で、音が悪いと悪名高い4チャネル録音。
ディスクリートだとかマトリックスだとか当時は4チャネル録音再生方式に、各メーカーがこぞって参入し、前2つ後ろ2つという4つのスピーカーを持つステレオ装置も登場した。

しかし、アナログ録音再生・・とくにフォノカートリッジでレコードに刻まれた溝を拾うから、物理的限界があったのか、また家庭では4つのスピーカ0の設置環境が制約されたせいか、この方式は普及することはなかった。

この方式で録音されたLPを、通常のカートリッジのプレーヤーと、2チャネルシステムで聴くと、音が悪いことが多かったように思う。

このレコードは、4チャネル再生用とは知らずに購入したから、輸入盤だというのに、当時からまともな音ではなってくれずにいて、それは今でもまったく変わりがない。

改めて再生してみたが、特にバックのオケの音が全体にどこか遠いところに行ってしまっているように聞こえるし、音がかなりざらついている。

それでも真ん中から聞こえるパールマンのヴァイオリンだけは、相対的だからかもしれないが、とても美しいし、ウエットかつ上品に響いてくる。

しかし4チャネル方式録音の2チャンネル再生だからか、ヴァイオリンの音が前に出過ぎで、しかもバックのオケの細かい表情がつかみ憎いから、アンバランスなブラームスになってしまっている。

パールマンのヴァイオリンの美麗さだけが、浮き彫りとなっているだけの印象を持ってしまう。
そして音程の・・とくに困難な高音部の確かさも、パールマンならではだろう。

ジュリニーは晩年ではないのに、かなりユッタリとしたテンポ設定で、音質が良ければ、聞かせどころも十分あるように思うのだが、なんせこのひどい音の洪水では、前向きな受け止め方が不可能だ。

この音盤はCDで買い直し改めて聞かねば正当なしい評価や感想は書きようがない。

パールマンについては、個人的な思い出があって、

それは小生がまだ現役だった1987年。
東京本社から名古屋支社に転勤になり、営業職から営業計画部で営業推進の職について数年たったころのこと。

小生がクラシックファンということは、言わずがなも仲間に知れることとなっていたようで、本社広報部から、今度パールマンのコンサートおよびリササイタルを、東京、大阪、名護屋で当社が主催することになったから、その段取りを任せられる人間を、というリクエストに、小生に白羽の矢が当たったというわけだ。

企画コーディネートが主業務の本社広報宣伝部と違い、現場の推進スタッフは、すべてのコンサート関連の仕事が振ってくるから、こういう仕事の経験がないものは到底勤まらない。

むろん小生もそのような経験が豊富というわけではなかったが、支社ナンバー2の同僚で子会社に転籍した人物の奥さんの友人夫婦が、スイス滞在のヴァイオリンとコントラバスのプロで、日本に帰ってきた時に、コンサートを開催したいという希望をかなえるべく、知り合いでお金も握っている支社ナンバー2に相談依頼があった。

それでその2人が出演するコンサートの、企画から何から何までを、クラシック音楽好きというだけで、小生が指名されたというわけだ。

出演者との打ち合わせ、日程調整、会場の手配、楽器運搬、プログラム策定、招待状作成印刷、招待者リスト作成、お客様への招待、受付、看板、職務任但振り、経費試算、レヴューなどなど、普通であれば担当者が割り振られるのだと思うが、ありとあらゆる仕事が、ルーティンの営業推進以外に、小生一人にまかされた。

ショウやフェアーの企画運営経験はあるものの、ことコンサートは、同じ職場の全員が素人だから、手伝ってくれるにもくれようがない。

おまけに小生も含め、全員が他の仕事を大量に抱えているのだ。

それで今回のコンサートを、カスタマーサービスコンサートとし、無料のコンサートとすることで、コンサートに付随する雑多な業務を少しでも軽減するのと、営業現場の営業職の手を借りることにした。

カストマーサービスであれば、普段その職種の営業職も大勢いるし、かれらのお手伝いということになるから、逆にかれれらの手を借りる事が出来るのだ。

そういうことで営業所に働きかけ、幾人かのメンバーを今回のイヴェント企画に参加してもらって、ひとでの助けもあってコンサートは、観客の入りもまずまず、無地終了することができた。

昨今その経験があったばかりだから、有無を言わさずに、パールマンリサイタルの中部営業事業部担当責任者として、小生にその任が下った。

前回の、失礼だがあまり名のしれない演奏家(現在は相当名前が知れてきたコントラバス演奏家)と違い、パールマンとあっては自然と力が入る。

オケとの共演でなくピアノをバックニしたリサイタルであったのが残念だが、会場も新設された白川ホール、名古屋に新設されたホールでのパールマンの音がいかなるものかの興味も働いた。

一般客と当社の招待客が混在するし、当社分の座席は一番良いところを200席。
これを当社大手の会社のトップクラスの招待にあてた。

大手担当の営業マンであれば、担当の会社のトップの趣味ぐらいはサーベイしてあるし、もしわからないなら、いつも面談している総務の担当者にでもヒアリングすればわかることだから、あまり苦労なく招待者は選別されることになった。

むしろ関連販売会社のトップを招待しろ、などという、おべっかを使ったようなアイディアを出す上司がいて、20枚しか余ってないチケットをうまく割り振るほうがよほど頭が痛かった。

紆余曲折で無事リサイタルが終わり、招待客全員にパールマンの…(このころはアナログレコード)を手渡した。

パールマンのコンサートは、その後も続いて開催され、確か1991年、2度目の責任者になった
その時には、お客様に渡す記念品はもうCDとなっていた。

小生も余った1枚をくすねてきたがバレンボイムとベルリンフィルとのベートーヴェンの協奏曲がそれだった。(それにしてもEMI初期CDの音質はよくない)

先ほど久しぶりに、2楽章まで聴いてみたが、パールマンのストラトバリウスの、美しくウエットで甘味な音色は、数多の名ヴァイオリニスト中でピカ1だと思う。

しかしながら、コンサート実施責任者という、個人的かかわりを持っことになった小生だが、パールマンの録音した音盤は、ほんの数枚しか持ってないのである。

その理由は、パールマンの美しすぎるヴァイオリンの音色が、人工的に聴こえてしまって、小生の好みから大きく外れるからである。

このレコードといい、所有のレコードやCDともに、録音が芳しくないのも、一層の拍車をかけているのも間違いない。

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by noanoa1970 | 2011-03-09 13:35 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)