ハーモニカをバカにしちゃいけない

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音盤購入時の記憶は、CDの時よりも、LPレコードのほうが、より鮮明なことが多いようだ。

CDでも1枚3800円という初期の価格の時に入手したものは、その時の記憶が割と鮮明だが、のちにCDの価格がとても安価になって、購入手段が通販、そして購入枚数が増えると、昔ほどの購入時の記憶がないことが多い。

だから稀ではあるが、同じものをダブッて入手してしまうこともある。

このLP購入時の記憶は、しっかりと頭の中に存在している。
1988年の冬、近くのMデパートで、レコードの大バーゲンをやると言う情報を得て、堀出しものを探すべく、勇んで駆け付けたことがあった。

それまでは、同じ録音でLPとCDが同時に発売されrていたが、この年になると、もうCDがLPの発売量を上回るように、かなりの勢いで市場をにぎわしたころ。
レコード製造を中止するメーカーも多くなってきたときである。

レコード業者は、LPの在庫が掃けないことを懸念して、この手のバーゲンセールを時々開催した。
その中には輸入専門の商社もあり、それらが大手デパートとタイアップしてバーゲンセールを企画したものもあった。

情報には「輸入レコードコーナーも開催」とあったから、何か良いものはないかとばかり、コーナーへ向かい、これがいつも疲れる作業なのだが、大きな箱が、幅40cm奥行1mほどに仕切られた中に入っているレコードを、1枚ずつチェックしていくことになるのだ。

4列ずつ向かい合っているその箱には、8人しか触れないから、誰かが検索中だと、そばで終わるまで待っていなくてはならない。
空いたらすぐに場所を確保しないと、目指すものは入手不可能なのだ。

手慣れた人も中にいて、銀行員が札束を勘定するような速さで、レコードをチェックしていく。
作業中の人の様子を見て、速いと思う人の後ろに並ぶのが肝心なことなのだ。

遅い人は作業も遅く、チェックし取り出したレコードをジックリ眺めるから、物凄く時間がかかる。

小生は気があまり強くない・・というより、気を使う性質のようで、後ろで待っていられるとものすごくきぜわすうから、よほどの時以外は先に譲ることにして、空いているところに移動することが多い。

レコードの並ベ方には、なんの必然性もないから、ひょんなところでひょんなものを発見することがある。

このレコードもそのうちの1枚。

ハーモニカをフィーチャーし、メロディアスな曲で編曲構成されたもの。
見知らぬおじいさんが、ジャケット写真に大きく記載されていた。

もうう少しでピックアップしないところであったが、CHADOSというレーベルと、イギリスの管弦楽団、セントマーチン・イン・ザ・フィールドの室内楽がバックだと記されていたこと。

それにハーモニカという、小学生のころはよく吹いていたが、今では全く吹くこともなくなり、また聴くこともない楽器と室内楽の組み合わせ、それにクラシックからビートルズまで、よく知っている曲が録音されていて、しかも去年発売されたばかりのホヤホヤのデジタル録音が、国内廉価盤と同じ価格になっているから触手が動いた。

硬いクラシック音楽の間にでも聴けば、心が和むかもしれない、そういう淡い期待もあって、もう1枚今度はハーモニカとハープのDUO.

この音盤にはイギリスやアイルランドの伝統化が収録されていて、曲によって、大型ペダルハープとアイリッシュハープに持ち替えての演奏。
ハーピストは女性だ。

今日はその中から、最初にあげたトミー・ライリーがハーモニオカを吹いているものを聴くことにした。

ハーモニカという楽器が、そして鍛錬した達人の手になると、かくも美しい響きを出すのか。
未だかって聞いたことのないような、柔らかく美しい音色で、一時違う世界で遊んでいるような錯覚を覚えたほどであった。

とにかく美しいその音は、プロだから当たり前かもしれないが、音が混ざって発するような、いやな音をまったく発しない。

多分長年のハーモニカとの付き合いで、口の形状がハーモニカに合うように、変化していったのではないだろうか。

そういえば小生も昔は、トンボ、ミヤタ、ヤマハなど家にいくつかあったハーモニカを、いつも吹いて遊んでいて、そのうちかなり上手になって、小学校3年のクラスでハーモニカの名手と呼ばれたこともあった。

比較など到底出来はしないことだが、単音ハーモニカで吹くと、必ず隣の音をひっかけてしまう。
小学生の小さな口でさえそうだから、大人の口では相当な訓練をしなければ、あんな濁りの全くない素晴らしい音が出せるはずがない。

このアルバムで注目すべきことは、収録曲に、ヘンデルのリコーダーソナタソナタ ヘ長調HWV369編曲抜粋 とフォーレの「パヴァーヌ」「ロマンス」そしてドビュッシーの前奏曲2集から「ヒースの生い茂る荒地」そしてビートルズの「エレノアリグビイ」「ミシェル」他自作曲を含め集録されているが、いずれもBGM的に流しても、ジックリと聴いても、どちらでも対応できる、レベルの非常に高い音楽性を持つ演奏となっている。

このころの「デジタル録音」のアナログ盤には、聞くに堪えないようなものが相当あったが、流石はCHANDOS、CD満開となってもまだレコード制作をし続け、すべてCDに切り替えたのは、おそらく一番遅いメーカーだったと記憶する。

良い時期のデジタル録音で、盤面も非常にきれい、従って音もすこぶる良い。
室内楽のバックの弦の音はもちろん、ハーモニカは人物と口の大きさまでわかるような優秀録音である。

収録曲
1.BULGARIAN WEDDING DANCE NO.2 J,MOODY
2.PAVANE Op50 :FAURE
3.ROMANCE :FAURE
4.NORWEGIAN DANCEOP35NO.2:GRIEG5ADAGIETTO :G・MARTIN
5.ADAGIETTO :G・MARTIN
6.AVIATOR:D.REILLY7Serenade :T・REILLY.
7.Serenade:T.REILLY
8.SONATA :HANDEL
1. Allegro
2. Alla siciliana
3 .Allegro

9.AU BORD DE L’EAU Op8 NO.1 :FAURE
10.BRUYERES :DEBUSSY
11.ON WINGS OF SONG Op34 NO.2 :MENDELSSOHN
12. MY LAGEN LOVE :IRISHTRAD
13.TWO BEATLE GIRLS:(ELEANOR&MICHELLE) :LENNON&MCCARTNEY 
 

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by noanoa1970 | 2011-03-06 15:05 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(2)

Commented by こぶちゃん at 2011-03-07 23:07 x
おお、トミー・ライリーですか。実は私はCDで数枚持ってます。
ハープやピアニストとのデュオが素晴らしかった。
Commented by noanoa1970 at 2011-03-08 05:10
さすがこぶちゃん
お持ちでしたか。
ハープとのデュオは、スカイラ・カンガとの、ブリティッシュフォークソングでしょうか。これも聴くとホッコリする音盤です。ハーモニカは、ソロでもどの楽器と組み合わせても、かなりいい線を行く珍しい楽器。CHANDOSの録音は、地味ですが良いものが多いので、より楽しめます。