積年の疑問が・・・

モーツァルトピアノ協奏曲20番は、昔から23番との組み合わせで音盤になることが多い曲で、小生は、ブルッショルリのピアノ、パウムガルトナー指揮モーツァルティウムウム管弦楽団の演奏で初めてこの曲を聴くこととなった。

モーツァルトの数々の曲の中では、特に短調の曲に絶大なファンが多いが、20番もニ短調でやはりかなり人気の高い曲だ。

短調の曲群は俗に、デモーニッシュの要素があるといわれることが多いが、この曲もその仲間といってよいだろう。

小生のこの曲への疑問は、その昔からつい最近まで40年近く、いや実際にこのことを気にしだしたのは、この曲を何回も聴き込むようになった、もう少し後年になるが、ようやく本日その疑問が解決した。

以前のブログでも、そのことを話題にしたことがあったと記憶するが、その疑問とは、20番の協奏曲第1楽章の冒頭のこと。
以下にグルダの弾き振りがyoutubeにあったのでリンクさせていただいた。


冒頭弦が奏でる、暗いところから湧き上がってくるような不気味な音楽。
そして長い間、小生の耳には、テンポがずれているようで、しかし最後にはつじつまがキチントあっているから、実に不思議なテクニックを使って、モーツァルトが作曲したものだと思っていた。

しかし、どんな手法を使って、このような不思議な音を作ったかを想像しても、わからなかったし、過去には掲示板で問いかけてみたのだが、明確な回答は得られず、勝手にヘミオラなどと、そのとおじ覚えた作曲技法ではないかと、想像しつつも、一物の不安がよぎるばかりであった。

そんな疑問をスパット解決してくれたのは、「音楽探偵アマデウス」というTV番組で、今朝たまたま再放送らしきもの、サブタイトルがこの曲20番のピアノ協奏曲だったので見ることにした。

積年の疑問が解決するなどという期待はせずに観たのだが、番組最初に小生の疑問についての回答が、わかりやすい楽曲分析を伴いながら説明された。

それによると、暗いそしてデモーニッシュな雰囲気を持つ、音がずれるようだが、最後に辻褄が合っているような、不安定さを醸し出すあの不思議な音楽は、高弦群が作るシンコペーションに、低弦がアウフタクトで合わせる効果によるものだという。

2つのパートが、お互いにシンコペーションンとアウフタクトによるアクセントの位置変更で、ずれを作っているという、実に不思議なテクニックは、後年ロマン派の音楽で使われるようになった、ヘミオラの先駆的用法、いやそれ以上に高度な技法ではないだろうか。

お互いがずれて進むが、最後にはずれもが、ずれを解消しておさまり、新しい展開へと進む。

ずれの同時進行、それがあの暗い淵から湧き上がってくるような、いわゆるデモーニッシュな音楽の背景作曲技法であった。

そして、このような技法が恣意的ではなく、自然に出てくるところは、流石は天才モーツァルトである。

今朝は、積年の疑問が解決したので、天気とは逆、非常にさわやかだ。

改めて20番を聴くことにする。
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by noanoa1970 | 2011-03-01 09:38 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(5)

Commented by cyubaki3 at 2011-03-01 22:12 x
20番は21番との組み合わせの方が多いような気もしますが。
それはともかくモーツァルトは本文に書かれておられるようなずらしとか変則的なのがけっこう得意ですね。不協和音も有名な弦楽四重奏曲以外でもよく使われていますし。他にも例えば「フィガロの結婚」序曲などライヴで聴くと音が左から右に流れていく(移動していく)ような所があって、昔コンサート会場でそれに気がついた時はちょっと驚きました。これは座席の位置にもよると思いますが。
Commented by noanoa1970 at 2011-03-02 05:28
cyubaki3 さん
コメントありがとうございます。

>変則的なのがけっこう得意ですね。不協和音も有名な弦楽四重奏曲以外でもよく使われていますし・・・

そうですね、そしてそれが作為的でなく、自然に使われているような感じを持つのが、素晴らしいところでしょうか。

昔の話ですが、26番のピアノ協奏曲で、隣の音をわずかにひっかけるように弾いているのを聴いて、ミスタッチをしているものとばかり思っていましたら、それを繰り返し、そして他の演奏者でも同じようにやっているので、楽譜にそう書いてあると認識したことがありました。

Commented by noanoa1970 at 2011-03-02 05:29
cyubaki3 さん
続きです。

>音が左から右に流れていく(移動していく)ような所・・

モーツァルトでは経験がないのですが、ベートーヴェンの7番の交響曲では、弦の音が左から順に右に移動してゆきますね。ただしこれは近代オケ配置の話で、最近流行りの両翼配置ではそのようには聞こえません。
小生はベートーヴェンの時代から、今の近代配置に近いものががあったのでは、と睨んでいます。しかしそれを左右の・・第1と第2Vnの掛け合いという人も多いですから、やはり両翼がベートーヴェン時代のオケ配置なんでしょう。
小生は移動していくほうに、面白みを感じます。「フィガロ」で確認してみようと思います。面白い視点の提供、ありがとうございました。
Commented by cyubak3 at 2011-03-02 21:14 x
>26番のピアノ協奏曲

私も昔同じことを思いました。あれは間違えてるように聴こえますよね。

>近代オケ配置

私が移動して行くように感じたコンサートの時はチェロが一番右に来るアメリカ式の配置でした。随分昔なので記憶も曖昧ですが、サントリーホールの最前列かそれに近い席で、チェロの最後列の人の前あたりでした。遠く(第一ヴァイオリンの方)から音がこっちに向かって流れてくる感じで効果満点でした。流れるように聴こえる箇所は最後の方です。例えば演奏時間が4分30秒だとすると4分過ぎくらいです。同じ音形で2回あります。
Commented by noanoa1970 at 2011-03-03 05:02
cyubak3 さんおはようございます。
フィガロ序曲の後半とのこと。
ご教示ありがとうございます。
これで該当部分探しやすくなりました。
ベト7の左右の移動ですが開始からすぐ、下記のフルヴェンの演奏(モノラルだからこれはダメですが)では1分から3分の間に聴こえます。ステレオの近代配置なら音が左右に行ったり来たりするのが聞こえます。youtuybeではカルロス・クライバーしかなく、これは両翼配置ですから、聞こえてきませんが、掛け合いの面白さはわかります。
参考フルヴェンのベト71楽章
http://www.youtube.com/watch?v=5vSYlKG7XOo