たまにはこんなブラームスも・・その2

棚を漁って面白げなLPレコードをピックアップしておいたものを、徐々に聴いているところ、

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比較的安価だった廉価盤の輸入盤、コレクションの中でそんなには多くはないが、その中からスメタナSQとウラジミール・ルジーハのクラリネットによるブラームス。

ジャケットが漫画チックで、いかにも安っぽいから、中身も大したことがないように思えてしまうのは、致し方ないところだが、外観とは逆で中身の演奏は相当によい。

スメタナSQのブラームスは、何故か録音が少なく、他にはコチアンSQとユニットを組んだ弦楽六重奏と、弦楽四重奏曲第3番変ロ長調しかないようである。

室内楽の宝庫である、ブラームス作品の録音が極端に少ないのは、実に不思議なことだが何か理由があるのだろうか。

小生個人的には、スメタナSQの音色は、ブラームスにはあまりそぐわないように思うのだが・・・

ブラームス作品が少ないという意味では、本日取り上げるクラ5は、残された貴重な録音だといえるが、果たしてその演奏はいかに。

暖かく柔らかく人を包み込むようなブラームス。
スメタナSQの表情も、ルジーハのクラリネットの音色も、暖色系等の音楽を作っている。
この演奏では、北ドイツのブラームスといったイメージが醸し出すところはまったく存在しない。

スメタナSQの弦の音色は、ブラームスにはそぐわしくないような、柔らかさとしっとり感を横溢させ、しかもかなり歌うから、他の演奏のいくつかで、ブラームスが見せる緊張感や寂寞感は、ほとんど聞こえてこない。

ブラームスがその最後の作品群で到達した境地、涅槃寂静というものがあるとすれば、これはそれに近い表現の演奏のように受け取ることも可能だ。

少々飛躍するが、諦観・・・「吾唯足ることを知る」のような境地に到達したブラームスを、演奏方法と音色で表現すれば、この演奏が最も相応しいのかもしれない。

クラリネットの音色は、甘い香りを漂わせるが、いつも必ず仄暗さを併せ持つ。

ブラームスが最晩年の作品に、クラリネットの曲を3曲書いたことには、クラリネットの音色が醸し出すものに、大いに関系がありそうだ。

ブラームスには、一見明るく聞こえるが常に潜む暗さ、表面に出るものと本心は違うというクラリネットの概念が似合っていると小生は思うし、さらには心の揺れを打ち明けられず、いつまでも言い出しかねている、そんなイメージによる演奏スタイルがブラームス的だと思わぬでもなかった。

しかし、その逆の、ほんのりと明るく暖かいクラリネットの音色を出すルジーハと、それに加え柔和な弦の音色が相まって、今まで聴いてきたブラームスの音楽、そしてその演奏スタイルとは異なるももの。

それが先日のプリンツ/ウイーン室内合奏団であり、今回のスメタナSQ/ウラジミール・ルジーハの演奏だ。

カール・ライスターのいくつかの演奏録音とは、趣を異にしているが、このような演奏も決して悪くない。

こんなブラームス・・・ブラームスの人物像に、若干の変化を与えるようだ。

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by noanoa1970 | 2011-02-28 06:43 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)