たまにはこういうブラームスも

「こういうブラームス」でもと、やや否定的ニュアンスで、タイトルに付けた理由は、小生のブラームス観に、「厳しさ」や「寂寞感」を、他のなによりも先行させることが強く、どうしても好きな曲とその演奏の傾向が、それにそぐわった傾向になっているようだからであった。

だから、「こういうブラームス」とは、小生のブラームス観からは、いささか遠いところにあるブラームスであり、そういうブラームスを表現をする演奏のことになる。

それは、クラリネット五重奏曲であり、ウイーン室内合奏団、クラリネットがアルフレート。プリンツによる演奏のことだ。

これも一昨日、レコード棚から見つけて引っ張り出しておいたLPレコードだ。
珍しいことに、オイロディスク原盤のキングレコード発売である。

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このLPは30年ほど前に、雑誌で絶賛されていたのを読んで入手したものだ。
その頃はまだ音楽雑誌の評論家による、レコード紹介や批評を信頼し参考に出来ていた良き時代でもあった。

レコードジャケットの帯には、誰が考えた文句か「優美でふくよかなウイーンの香り」と記されている。

それで実際に聴いた感じはというと。
一番特徴が分かりやすいと思われる、2楽章でいえば、今まで聴いてきた演奏に比べると、まずはテンポが非常にゆったりしていること。

そして実によく歌っていることがあげられるし、その歌い方は、これをウイーン風というのか否かはわからないが、語尾を少し長く伸ばすという表現をとっていること。

クラリネットの音色も、LPレコードで聴いたせいかプリンツ固有のものかは、ハッキリいえないが、倍音がよく出ていて、それこそふくよかに、そして少々明るめに響く。

弦パートとクラリネットのアンサンブル関係が、バックとソロイストという関係性が濃くて、
主役はあくまでもクラリネットというがごとくのクラリネットハイライト型の演奏と聴こえる。

とはいうものの、今まで聴いた演奏では、いずれもが、とくに1Vnの高音弦の強い音が緊張感を醸し出すことが多いが、ウイーン室内合奏団では、同じ箇所がのびのびとしたやわらかい音に響く。

対比の意味で先ほど、ベルリンゾリステンとカールライスター盤を聴いてみたが、やはりその通りの傾向で、このあたりに、よく言われるような、ベルリンフィルとウイーンフィルの音色の伝統的相違があるのかもしれない。

ベルリンゾリステンでは、クラリネットを含む各パートが一体となっているように感じるのだが、ウイーン室内合奏団では、先ほども言ったようにクラリネットが主役、そして弦のアンサンブルも、アンサンブル重視というより、各々のパートが其々主張し合っているように聞こえ、不思議なのはそれできちんとつじつまが合っていることである。

2楽章、いつもは「寂寥感」という言葉がふさわしいように聴いていたのだが、ウイ0ンとプリンツの演奏からはそういった感じは起こらない。

穏やかで優しく、そして(普段は隠しているが)愛情あふれるブラームスが、そこにはあった。

すでに記憶が遠のいているのだが、かつてよく聴いた、ウラッハあるいはケルの歴史的演奏では果たしてどうだったか、いずれ聴き直してみる必要がありそうだ。

「優雅でふくよかな」という、ジャケット帯のキャッチは、まさに大当たりである。

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by noanoa1970 | 2011-02-25 10:57 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)