あげひばり

ヴォーンウイリアムスの最もよく知られている曲の一つである。

小生、以前のブログで、この「揚げひばり」というタイトル表記を、音楽にふさわしくないと断罪したことがあった。

いったいどこのだれが「揚げひばり」などという情緒無き言葉を使ったのか、ひばりが空高く舞い上がっていくさまなのだから、そして季節は春であろうから、このような省略言葉を使うことは、ヴォーン・ウイリアムスの音楽にも不似合だ。

それが長年この言葉が、平気で使われるのは、納得できかねるしかなり心外である…
確かそんな内容の記事だった。

ところが・・・
この言及は、小生の無知が招いた結果であることが判明したのだ。

恥ずかしながら、小生はこの「揚げひばり」という略語が使われた文献や、あるいはその作者についてまったく知らなかったのだが、本日ネットである調べ物をしていて、偶然発見することとなった。

小生はまったく知らなかったことだが、教育で教えられた人もいるらしい、ロバート・ブラウニングの詩(上田 敏訳)の中に、「あげひばり」が出てくるという。

時は春、/日は朝、
朝は七時、片岡に露みちて、
揚雲雀なのりいで、/蝸牛枝に這ひ、
神、そらに知ろしめす。/なべて世は事も無し。
--劇詩『ピパ、過ぎゆく』(1841年)

そしてさらに、この曲は、「あげひばり」と題する「ジョージ・メレディス」の詩から
ヴォーン・ウイリアムスがイメージを受けて作られたようで、「彼は舞い上がり旋回を始め・・・」という詩の内容がスコアに書き込まれているということ。

CDの解説文には記載されていたのかもしれないが、小生は解説文は読まない、いや細かくて読めないのである。
だから強く興味を持つ解説は、スキャナーでパソコンに取り込み、拡大して読むことにしている。

しまったことをした。
その昔から「あげひばり」を、誰か音盤制作者や評論家連中が、無理やり作った略語で、まるで現代の女子高校生のようで、実にいやな言葉だと思っていたが、それは歴史的経緯を知らぬが故の、小生の勝手な思い込みであった。

文学者がそれも2人、そしてベルレーヌの訳で有名な上田敏の訳となる言葉だったとは。
しかし、予想だにしないことで、少々面食らった。

でも・・・「揚げひばり」は、よくない。
せめて「あげひばり」という表記にしていただきたい。

そう思うのは、負け惜しみか。

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by noanoa1970 | 2011-02-04 17:44 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(2)

Commented by kyoko at 2011-02-22 11:15 x
はじめまして。偶然こちらのブログを拝見して気になりましたので
コメントさせていただきます。揚雲雀(あげひばり)は俳句の春の
季語にもあるくらい古い言葉ですよ。
Commented by noanoa1970 at 2011-02-23 08:40
kyoko さん、コメントありがとうございます。
揚げ雲が俳句の季語として存在するとは知りませんでした。
ご教示感謝です。
揚雲雀は雲雀の子季語・・・(「雲雀」という春の季語がある。この「親季語」には、告天子、夕雲雀、初雲雀、揚雲雀、舞雲雀、朝雲雀など複数の「子季語」がある。)
以上によれば、揚雲雀は子季語ということですから、季語へ組み入れられたのは、そんなに古いもの(親季語と同じぐらい)ではなさそうです。上田敏の時代、すなわち明治期ではないかと、小生は推測しますが、古いとはどのくらいのことをおっしゃっておられるのでしょうか。季語には、歳時記など割と古くからあるものと、新しく組み入れられたものとが一緒に存在するように思うのですが・・・
揚げ雲はどのぐらい古いのか、もしご存知でしたら、教えてくださると、ありがたいです。