ブラームス弦楽六重奏曲を3種聴く

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どうしても、ベルリンフィルハーモニー弦楽八重奏団演奏のアナログ盤で聴きたくなった。

理由は2つ有って、何故かといえば、1つはオーディオ機器調整のリファーレンス音源となっているからで、特に1番2楽章の第1Vnの最高音部がキンキンせず、音楽性豊かに再現されるかであり。

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いまひとつは、昨日から聴いてきた、コチアンSQ+スメタナSQピックアップメンバーの録音、そしてアマデウスSQ+第2ヴィオラ セシル・アロノヴィッツ 、第2チェロ ウィリアム・ブリース の演奏が、今一つピンとくるところが少なかったことによるものだ。

それでレコード棚を探すと、運よくすぐに見つかったから、先ほどから聴いているというわけだ。

上記2つの演奏が決して悪いというわけではなく、アマデウスSQも、トラ出演メンバーのスメタナSQも定評あるカルテットで、小生はあまり縁がないが、コチアンSQはスメタナAQと同国出身の実力者との評価の高いカルテットであることは、聴けばすぐにもわかることだ。

小生の不満点を、ザックリと言うことが許されるなら、その理由は、2つの演奏ともに、小生のイメージするブラームスとは少し違うように感じるからだ。

演奏スキル自体は高水準、いやそれどころか大変素晴らしく、その観点からの不満らしきものは見当たらない。

2番のヴィオラとデェロの2人を、トラで借りてきたアマデウスSQ、コチアンSQのように、2番のヴィオラとチェロをスメタナSQから借りてきた、急ごしらえのユニットにしては、そのデメリットなどは、まったく感じさせない、見事なアンサンブルを聴かせてくれた。(急ごしらえのユニットでなく、かなり付き合いの古くからあるメンバーなのかもしれない)

この曲に対する小生のイメージは、甘いメロディでできた2楽章優先の楽曲では決してないということで、映画に使われて一躍知られるところとなった、あの有名な2楽章を甘く切なくしすぎない演奏を好んでいる。

あえて言葉で言えば「ストイックな演奏」というのが似合っている。。
言い換えればザッハリッヒなスタイルの演奏、それがより好みなのだ。

ブラームスは、内心を包み隠す性格の持ち主で、それが音楽に顕著に反映されて居るのではないか、そのように小生は、これまでのブラームスとのお付き合いを通じて思うようになってきた。

だからあからさまな、甘くやさしいメロドラマのテーマ音楽然とした部分があったとしても、あえて厳しく演奏し、奥のまた奥から、時々ほんのちらっと顔をのぞかせ、すぐに引っ込む、そんな感じの表現の演奏を好むというわけだ。

ブラームスは、言いたいことを和声の奥に閉じ込め、すぐには悟られないように、和声というベールで包み隠す。
音楽の奥に隠された、あるいは包み込まれたものとは、ブラームスの内声の叫びに他ならない。

したがって、ブラームスが重きを置いたと思われる、内声部、和声を常に意識した演奏、それをどのように処理しているかということが、小生のブラームス演奏の重要な視点、チェックポイントということになる。

上記2つの演奏は、今一歩そのことが希釈気味だから、小生にとっては非常に惜しい演奏だ。

ベルリンフィルハーモニー弦楽八重奏団の演奏であるが、いつものオケのメンバーで構成されたユニットで、しかもさまざまな指揮者で訓練を積んできたことが力になったせいなのか、ブラームスの楽曲解釈に、そのことが非常にプラスに働いているようで、ビルトーゾ風派手さはまったくないが、実直に自分のパートをこなすことは勿論、ブラームス演奏の方向性が、頑丈な1枚岩のように実にしっかりしていて、最初から最後まで緊張度の高い、裏の音や横の線を明確に表出する演奏を聴かせてくれた。

自己流メジャメントの2楽章の処理の仕方も、甘く切なくとは聞こえてこない。
したがって、それに固執するようなところ、あるいは郷愁にしがみつくような素振りがまったくない、客観的な演奏スタイルをとっているから、小生が気に入ってしまう演奏となった。

縦の線同様、横の戦を重視した上に、長年ベルリンフィルで活動した成果なのか、音楽的構成の完成度という点は随一ではないだろうか。

小生はめったに使わない言葉だが、こういう演奏スタイルをドイツ的と言い換えても、あまり陳腐ではないような気がするから、お許し願いたい。

アンサンブルの緻密さ
ベルリン>アマデウス>コチアン
2楽章甘く切ない雰囲気
アマデウス>コチアン>ベルリン
構成の強固度合
ベルリン>アマデウス>コチアン
優美加減
コチアン>アマデウス>ベルリン
裏の和声・内声部の表出具合
ベルリン>アマデウス>コチアン
録音
コチアン>ベルリン>アマデウス

以上が小生のリスニングポイントで3種を比べた結果だ。
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by noanoa1970 | 2011-01-28 15:51 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(2)

Commented by HABABI at 2011-01-29 06:57 x
おはようございます。

かつて、私のところでスピーカーバランス調整用に使っていたLPはブラームスのピアノ5重奏曲で、リヒテルとボロディン弦楽四重奏団によるモノラル録音でした。中音から低音にかけてのバランスと音の抜け具合、それとモノラルですので左右のスピーカーが同じように鳴るよう調整する際に使っていました。何故か、ブラームスの室内楽曲がステレオ装置調整用に使われるものの様ですね。
弦楽6重奏曲は、メニューイン、アロノヴィッツ、ジャンドロン達が集まって録音したLPを好んで聴いています。メニューインの演奏ですので、甘美に歌い過ぎず、常設の団体ほどにはきちっと揃っておらず各自に自由さが認められ、若干チェロが響き過ぎている感じはありますが、スケールの大きい演奏ながらバランスの良い案外まとまった演奏になっています。
Commented by noanoa1970 at 2011-01-29 10:11
HABABI さん
体調は回復されたでしょうか。どうぞお気を付けくださって、無理せずに、お大事に過ごしてください。
小生がベルリン八重奏団のLPを使った理由は、ややもすると2楽章において、バイオリンの最高音部の音が鉄ノコのように響くことからでした。それまであまり聞かなかったYAMAHAが、現在はすごく良い音で鳴ってくれており、問題の個所も、以前とは違う音色で再現してくれています。
メニューイン盤は機会を見つけて一度聞いてみたいと思っている音盤です。
」きょうから聴き始めた、アルバーニSQ+ヴィオラ、チェロの演奏は、インテンポとほんの少しのスタッカートを随所に入れる演奏で、思いのほかストイックな演奏をしています。イギリスのSQといだけで、何者なのか詳細が分かりませんが、イギリスの地名アルバーニから命名されたと思われます。まだ3回しか聞いてないので、ブログ記載はもう少し聴いた後にしたいと思います。