DVDオーディオで聴く「復活」

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たった1枚のDVDオーディオ所有ディスク、それはメータとイスラエルフィルのマーラー「復活」。

もう足掛け10年ほど前になるが、DVDを見るために購入したプレーヤーガ、マルチ対応だったから、かねてから音質が凄いと評判だったDVDオーディオディスクを一度聴いてみたいと思った。

しかし、ショップに行くも、ソフトは10数点しか発売されてなく、声楽付きの楽曲はと言えばこの「復活」ぐらいだったため、世間では評判の余り芳しくないイスラエルフィルとのものを選択せざるを得を得なかったのであった。

同じメータの復活ならば、ウイーンフィルとの演奏が評価されていたのだが、ほかの音盤は触手が全く動かなかったために、いわばしかたなく選んだに過ぎなかった。

この演奏については、ほかのブログにも相当な酷評があって、それはおおよそ以下の通り。

・集中力が高いとか、凝縮された表現と言うような、緊張感につつまれた演奏ではありません
・緩んだ雰囲気とか大味な演奏と言われてしまうような・・・
・モタ~っとした響きが全体を支配しているのが、なんとも・・・
・デッドなティンパニがどうも演奏に溶け込まない
・この演奏はメータ自身の姿勢が甘すぎる
・何の感慨もなく、この楽章も終って行きそうです
・弦の優しい響きもこのオケの特徴か、下品な金管との釣り合いもとれないオケです
・オケのメンバーも献身的に音楽をしようとはしていない
・これでは感動などありえない

プロではなく、アマチュアの好事家の言葉だから、これに反論すべくもないことだけれど、今回DVDオーディオで聴いてみて、明かなる違いがあることが分かった。

そして、CD評や録音されたものにおける演奏比較で、前々から気になっていることがある。
その重要なひとつがリスニング環境についてだ。

ほとんど多くの場合、CDの評価でオーディオ装置などの環境ついて触れられてないことだ。

オーディオ装置や、厳密にいえば、聴く部屋によって、音盤の録音に対する評価は、かなり異なってくる。

今回DVDオーディオという優れたフォーマットで、演奏録音ともに、世間での評価の余りよくないメータの「復活」を聴いて其の事が顕著となったように思われる。

いちばんの相違点としてあえて挙げれば、ティンパニーのデッドな音、そして金管の下品な音など「音」に関することが小生の視聴印象とまったく反対であったことだ。

ティンパニーがデッドなのではなく、これは使用するマレットが、柔らかい質のものであるということで、これなど多分普通のCDフォーマットでも聴きとれそうに思うのだが、悪評した人は一体いかなる環境で聴いたのだろうかと疑いたくなってしまう。

金管の下品上品などの聞え方も、オケの資質というよりも、ヒヤリング環境にその原因があることのほうが大だろう。

弦の優しい響きがイスラエルフィルの特徴か・・・などという論評は、録音がたまたま自分の環境に合っているからで、金管が下品に響くことと等価であろう、しかしDVDオーディオを小生の環境で聴くかぎりにおいては感じられない。

よって其の評価を違えることは、DVDとCDというフォーマットの違いもさることながら、装置そのほかのリスニング環境:再生能力に原因があると多分に推測されること。さらに『耳』の問題も大きいが。

緩んだ空気とか、モターッとした響きの印象などは、DVDオーディオと小生のリスニング環境下で聴く限りは全くといって無い。

これらのことは低音部が頭打ちとなってしまうCDフォーマットと、十分に低音を再生できない音響装置を含むリスニング環境両方の問題だ。

そしてこのことは、小生が以前から危惧している、録音が悪い、あるいは自分のリスニング環境に適してない音質の録音の場合、それが要因で、演奏そのものの良否の判定につながりやすいことを物語っているのではないか。

言いかえれば、録音が良いことが演奏の評価を高まる傾向はないだろうか。
例を挙げれば、ハイティンクやコリン・デイビスの一部の録音にその傾向が強いように思うのは、小生だけだろうか。

そして、たとえばパソコンとアクティブスピーカーでCD評を語る人や、ポータブルプレーヤーとイヤフォンで聴いて語る人など、それぞれの装置でよい響きのするものを、録音演奏ともに認める傾向があるのではないだろうか。

ステレオ録音絶対主義者もよく見掛けるが、ひょっとすると、彼らもそういう一族であるのかも知れない。

そしてDVDオーディオで聴くメータの「復活」は、大編成のオケの、器楽と音声・・しかも女性のソロとコーラスという、再生の比較的難しい録音にもかかわらず、細かいニュアンスから、ダイナミズムに富んだ音まで無理なく、そしてあえて言うならば、生のコンサートでは、埋もれてしまい聴けないような、マーラーにとっては大切だと思われる超微弱な音まで再現を可能にするものだ。

ダイナミックレンジだけがDVDオーディオの取柄でなく、音楽の表情さえも情報としてあたえてくれ易いのではないか。

市場ではこのDVDオーディオフォーマット、余り人気がないようだが、マルチディスクプレーヤーのハードの価格も相当安価になったし、音質や録音時間など、どれをとってもCDやSACDを凌駕するのだから、ソフトの安価な提供を含めメーカーにがんばっていただきたい。

たとえば、CDでは約15枚の「ニーベルングの指輪」が、1夜ごとにDVDオーディオ4枚程度に収録されればいろいろなメリットがあろうはず。

はたしてDVDオーディオの復権はなるのだろうか。
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by noanoa1970 | 2010-10-10 16:15 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)