アンゲルブレシュトのレクイエム

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シャルランが録音した珍しい逸品。
どうもシャルランは、オルガン録音を得意にしていたようで、残されたもののなかにはオルガン曲が相当ある。

そして、声楽曲はシャルランの録音の性質を、とてもよく表現するものだと、小生は思っている。
それで最初に今シリーズで入手したのが、フォーレのレクイエムであったが、これは前復刻盤に比べかなりましではあったが、全体的にスッキリしない印象で、少々期待はずれであった。
ただし、シャルランらしいアナログの良さは、前復刻の数倍は出てはいたように思うが・・・
小生の好きな、初期エラートの録音と、余り差がないようであった。

小生実は、フランクのオラトリオ「至福」を入手したかったのだが、残念なことに、この音源復刻はなされなかったようだ。
サブマスターに瑕疵があったのかもしれないが、返す返す残念なことである。

それで、同時に入手したアンゲルブレシュトが作曲したレクイエム(アンゲルブレシュトのフォーレのレクイエムは定評がある)そして「ヴェゼレイ」という、交響的招魂と呼ばれる、いわば宗教的交響曲の、いすれもが世界発録音のカップリングで、宗教曲を得意にしたジャン・フルネ指揮で録音されたもの。

アンゲルブレシュトは、1911年の「聖セバスチャンの殉教」初演の合唱指揮者で、翌年全曲の指揮も行ったいわゆる初演指揮者である。
ドビュッシーとの親交が厚く、ドビュッシーのスペシャリストとして知られている。

このレクイエム、基本的には、フォーレのレクイエムの7曲編成を、踏襲していると思われ、本来のレクイエムのスタイルからはかなり遠い位置にある。
フォーレとの相違点は、以下「赤」オッフェルトリウムは含まれず「黄色」のディエスイレを加えている点。

イントロイトゥスとキリエ(Introitus et Kyrie)
ディエスイレ(Dies iræ)
オッフェルトリウム(Offertorium)
サンクトゥス(Sanctus)
ピエ・イェズ(Pie Jesu)
アニュス・デイ(Agnus Dei)
リベラ・メ(Libera me)
イン・パラディスム(In paradisum)

曲は重苦しいオルガンの序奏で始まり、合唱があとを追う。
キリエでは、フォーレのレクイエムの冒頭とよく似たフレーズが印象的。
やがてファンファーレとともに強烈な合唱が始まる。

作曲年代・・1940年あたりからすれば、現代音楽なのだが、それに反し、印象主義的・神秘主義的、そして浪漫主義的な雰囲気が垣間見れる音楽となっているのは、ドビュッシーや仏6人組あたりの影響だろうか。

フォーレにはないディエスイレを入れているところは、レクイエムの必然のように感じるが、続くサンクトゥスがディエスイレのように激しい音楽となっているから、緩急のメリハリからは、これはあえて入れなくても良かったようにも聞こえるが、フォーレをそっくり踏襲するのを避けたのだろうか。
ここにおいて、少しの不協和音が見られるが、現代音楽然とはしてないため、非常に聴きやすい。

シャルランの録音は、オケと合唱のffにて其の手腕が分かる。
声楽もオケもオルガンも・・・すべての合奏のアタックにおいて、少しも音質がにごらないのは見事だ。

いちばんの聴きどころは「サンクトゥス」ではなかろうか。
ディエスイレよりも相当強烈であるが、凄く耳になじむ。

フォーレで最も印象的なPie JesuとIn paradisumを、アンゲルブレシュトは、どのように表現しているか期待して聴いた。
一言でいうのは困難なことだが、幻想的な雰囲気に仕上がっている。
リベラメの詠唱を聴くと、神秘主義に通じるようにも感じられる。

全体的には、オルガンの使用頻度がフォーレより高く、前面におしだされる場面が多い。
20世紀の作品の割には、とても聴き易い作品だ。

フォーレのレクイエムの影で、ひそやかな存在となっているのだと思われるが、デュリフレのレクイエム同様の評価を得ても良いのだと思う。
今後演奏や録音の機会が増えることを臨む。

「ヴェズレイ」についてはいずれ書くつもりでいる。

アンゲルブレシュト:レクイエム
         :ヴェゼレイ
クリスティアーヌ・エダ・ピエール(Sop)
レミ・コラッツァ(Ten)
ベルナール・クリュイセン(Br)
ベルナルド・ジャン・フルネ( 指揮)、
フランス国立管弦楽団、フランス国立放送合唱団
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by noanoa1970 | 2010-08-31 10:11 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(1)

Commented by k_hankichi at 2010-09-04 19:27
アンゲルブレシュトが作曲家でもあったことを、初めて知りました。