暑いときには暑苦しい曲を

これだけ暑いと、涼しげな音楽などさっぱり役に立たない。
そこで逆の発想はいかがかと、暑苦しい音楽を取り上げて聴くことにした。

いろいろあるが、普段あまり聴かないもので、この際集中して聴こうと、ブルックナー最大の交響曲8番を取り上げることにした。

これを、手持ちのものすべてと、DLしたものを加えた、総勢9種類を聞こうと決めた。

1曲80分あまりあるから、オーディオ装置でなく、寝転んでも聴けるようにと、PCを利用した。

いくつか聞いていて、ブルックナーの交響曲でよく問題となる「版」の違いによる曲想の違いに改めて気がついた。

コンヴィチュニー/ベルリン放送交響楽団の演奏は、中でも最もお気に入りの演奏だが、これはハース版だ。
そしてテンシュテット/ロンドンフィルはノヴァーク版。
さらに、もっとも毛色が違って聞こえたのが、エリアフ・インバル/フランクフルト放送交響楽団の演奏で、之は全く別物といってもいいほどの、音響の違いを聞かせてくれ、ブルックナーでは、使用する版の違いが、指揮者の解釈の違いを、はるかに凌駕することを教えられた。

それで、ややこしい「版」について少し整理してみたので、覚書としておくことにした。

ブルックナー交響曲、「版」についての覚書

作曲者自身による改訂・・・1887完成/1890改訂
出版の経緯・・・1887年版=第1稿(作者自身によるオリジナル版を1稿とする)
     ・・・1890年版もしくは第2稿(作者自身による改訂)
他の改訂者によるもの
     ・・・1892年シャルクによる2稿版=初版=改訂版
・・・1939年ハースによる第2稿第1次全集=原典版
・・・1955年ノヴァーク版第2稿=第2次全集
・・・1972年ノヴァーク版第1稿

特筆事項
*ノヴァーク版には、第1稿の改訂版と2項の改訂版がある。
*エリアフ・インバル/フランクフルト放送交響楽団の8番は、珍しいことに、ノヴァーク版第1稿 を使用している。
*冷戦下の東西ドイツでは、もっぱら東の演奏家がハース版、西の演奏家がノヴァーク版を使用したとされる。
*クナッツパーブッシュは、複雑な自己改訂を施した演奏をしているようだ。
*第1稿と第2稿の、よくわかる聴感上の主な違いは、1楽章のエンディングが、単調か長調かであ ろう。

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by noanoa1970 | 2010-08-03 18:49 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(0)