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モーツァルトP協奏曲20番、23番演奏の疑問

モーツァルトのピアノ協奏曲の中でも、特にこの短調の協奏曲を好きな方は多いと思われる。
小生も23番に続いて好きな曲だ。

23番は長調だが、2楽章の侘び寂を彷彿させるような曲想は、モーツァルトの短調の曲に勝るとも劣らない陰鬱さを湛えている。

さて、このことは、実はずいぶん以前から気になっていたのだが、今再び思い出したので、忘れないようにブログに書いておくことにした。

通常20番の協奏曲は、オケの比較的長めの序奏から始まり、それはまるでシューベルトのように、地の底から聞こえてくるような陰鬱さを持っている。

それに引き続いてピアノが満を持して、おもむろに非常に美しいメロディを奏でるのだが、あるときグルダ/アバド盤をLPで聴いていたとき、そのことを発見した。

それは、オケの序奏と同時にピアノが弾かれていたことである。
そのことによってだろうか、オケの人員が少ないので、地の底から這って出るような低温部の音が、ややもすると軽い音になってしまうことがあるが、ピアノが同時に低音を響かせるから、それで補っていて、より重みと深みを与えているように感じたものである。

それまで聞いていた数種類の演奏では、そのことに気がつかなかったのだと思い、手持ちの音盤を全て聴きなおしたのだが、グルダ/アバド盤のように、最初からピアノが聞こえる演奏は見当たらなかった。

訂正させていただきます。
上のグルダ/アバド盤の20番の記事内容は記憶違いでした。
正しくはグルダ/アーノンクール盤23番です。
謹んで訂正させていただきます。
23番と20番の取り違えはありますが、冒頭にオケと同時にピアノが演奏されることは間違いありません。

23番でのグルダ/アーノンクール
20番でのブレンデル/パウムガルトナー
以上の演奏は冒頭からピアノが聞こえてきます。

それで小生はそのことを、グルダオリジナルだとばかり思っていたのだが、その後縁あってパウムガルトナー/ブレンデル盤を聴いたときに、グルダ盤と同じ演奏をしていることを発見し、どうもそのことはグルダオリジナルではなく、他の要因であるらしきことに気がついたのだった。

しかし
それが指揮者の裁量によるものか、あるいはピアニストの裁量によるのか、それとも楽譜の「版」に起因するものなのかは確認できずに現在に至っている。

そのほか聴くことが可能なもの全てで確認したのだが、今のところグルダ/アーノンクール、ブレンデル/パウムガルトナー盤以外にはそのような演奏にはお目にかかれてない。

多分探せば他にも存在するのだろうが、それはともかくこのままでは要因の推測が不可能だ。

しかしながら強いて推測すると、パウムガルトナーは、モーツァルト研究の権威としても知られた指揮者であるし、アバドは従来からピリオドよりの演奏をしてきた人だ。

ということから考えると、アーノンクールはパウムガルトナーの改定楽譜を使用したということが想像できる。

ところがどっこい、小生が最も好んで聴いているパウムガルトナー/ブルショルリ盤では、ピアノは最初から弾かれてないのである。

うーん、どうにも訳が分からなくなってきて、推測不可能に陥ってしまったようだ。

このことに関する著述は、探したのだけれど、一切無いから余計に事実を知りたいと思うのである。
どなたかこれについてご存知の方、いらっしゃらないだろうか。

グルダ/アバド盤の記述は誤りで、冒頭からピアノが聞こえる演奏は、どうもパウムガルトナーの裁量の可能性が高いようだ。font>

by noanoa1970 | 2010-01-06 10:32 | 徒然の音楽エッセイ | Comments(10)

Commented by こぶちゃん at 2010-01-06 12:39 x
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
それにしても良く聴き込んでうらっしゃいますね。

残念ながら、ここまでコメント出来るほど聴いてはいませんが、後で手持ちのペライア盤とブッフビンダー盤を聴いてみます。どちらもピアノ弾き振りだったと記憶してます。

さて、日記の書き損じですが今回は面白かったので指摘させて頂きます。

> グルダ盤と同じ 『塩素ぷ』 をしていることを

一瞬何だ?とビックリしました(笑)
Commented by noanoa1970 at 2010-01-06 15:02
あけましておめでとうございます。
本年もよろしく音が言いたします。
新年早々やってしまいました。
ミスタッチをそのまま見逃しましたが、個勘弁のほど。早速訂正させていただきました。
所で冒頭からのピアノは良く効かないと分かりにくいのですがこぶちゃんさんの装置であれな容易でしょう。
弾きぶりですと可能性は大ですが、はたしてどうでしょうか。

是非結果を教えてください。
Commented by こぶちゃん at 2010-01-06 18:29 x
あずは第一報。

今手持ちのCDと借りてきたCDを聴き比べ始めました。
カデンツアはベートーヴェン等数人が書いているので違いはあるでしょうが、M.J.ピリス盤を聴いた限りは冒頭のピアノは無しでした。

下記無料のフルスコアがPDFでDL出来ますから、一度ご確認下さい。
譜面をまともには読めない私ですが、ピアノ譜は6/56ページからソロがスタートしてますね。

※)楽譜のURLを貼り付けましたがスパム扱いされる設定の用です。
Wikipediaでモーツァルト ピアノ協奏曲 20番を引っ張ると、『国際楽譜ライブラリープロジェクト』があります。ここで無料楽譜が入手出来ます。
Commented by noanoa1970 at 2010-01-06 19:18
ご教示頂いた楽譜DLしました。
ただこの楽譜はいわゆるスタンダード版のようですから、オーソドックスですね。ピリスは通常演奏のようですが、ピアノが冒頭から聞こえる演奏の謎は以前解けません。モーツァルトやバッハ演奏には、思いもよらないものがあるので珍しくはないのですが、気にはなります。
Commented by こぶちゃん at 2010-01-06 20:02 x
今、4つ聴き比べました(詳細は私の日記に書きますね)。
残念ながら全て2分25~30秒までピアノは聴こえません。
グルダ&アバド(DG)は持っていないのでHMVで試聴したのですが、やはり冒頭は聴こえません。
何秒辺りでピアノが聴こえますか?
Commented by noanoa1970 at 2010-01-07 09:53
こぶちゃんさん
つつしんでお詫びしなければならなくなりました。冒頭kらピアノが演奏されるのは、グルダ/アーノンクールの23番の記憶違いのようでした。今確認してみたのですが、20番のグルダはおっしゃる通り、冒頭でピアノは聞こえません。
よって記事を訂正する必要に迫られました。
しかし後の表記パウムガルトナー/ハスキル、パウムガルトナー/ブレンデル盤の20番では、冒頭からピアノが聞こえます。
よってこれはパウムガルトナーの裁量の可能性が高いと思われます。またはウイーンの古い演奏法の慣習かもしれません。お手数を煩わして申し訳ありません。
もしハスキル盤をお聞きになりたい場合は
http://freeclassicmusicmp3.blog23.fc2.com/
のモーツァルトから該当演奏を選択しDLしてみてください。
Commented by noanoa1970 at 2010-01-07 10:38
こぶちゃんさん
拙稿
http://sawyer.exblog.jp/9329231/
の記事に書いたことが残像となってしまい、今回の記事となってしまったようです。
失礼いたしました。
Commented by こぶちゃん at 2010-01-07 14:53 x
ハスキル&パウムガルトナーをDLしてみました。
もしかして冒頭数小節からポロロン♬ポロロン♪いうあの伴奏でしょうか?
PCにヘッドホンでこの音質だと鮮明には聴き取りづらいのですが、
確かに不思議な感じですね。
他の演奏家がやっていないとするとパウムガルトナーの譜面なのでしょうね、きっと。
ハスキルもフリッチャイ盤では、この伴奏してないみたいですから。
Commented by noanoa1970 at 2010-01-07 16:18
こぶちゃんさん
おっしゃる通り、その冒頭の箇所です。
オケの音をフォロ^するように、あるいはオケと一緒になろうと思われるかのように、ピアノが弾かれます。
ハスキル盤では聞こえにくいので、どうかと思いましたが、さすがこぶちゃんさんですね。ブレンデル盤ではもっとはっきり聞こえてきます。記憶違いでグルダ/アバドと書いてしまい、お手数をおかけしたこと、改めてお詫び申し上げます。
Commented by noanoa1970 at 2010-01-07 17:33
今フリッチャイ盤で確認しましたが、やはりピアノは弾かれていないようです。
最も録音状態によっては、オケの低音部にピアノの低音が埋もれてしまうので、確かではないですが・・・
しかしフリッチャイ盤では低音部がよく出ていますから、ひょっとすると・・・・
でもピアノらしき音は聞こえません。
この件、意外に見過ごされることが少なくないような気がします。